「社員幸福度No.1」を目指す人事総務本部のあるべき姿とは?教えて、CHO(Chief Human Officer)鬼頭さん!

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鬼頭 伸彰
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dip people編集部
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「人が全て、人が財産」の信念のもと「社員幸福度No.1」を目指している人事総務本部のビジョンについて、入社間もない森が、CHOの鬼頭 伸彰(キトウ ノブアキ)さんにインタビューしました。

社員の幸せな人生を心から願って。「社員幸福度No.1」実現へ。

森:実は、私と鬼頭さんは、20年以上前に同じ職場で働いていました。その頃の鬼頭さんはなんと27歳の若手営業マン!中小企業のお客様から愛されていましたよね。

鬼頭:不思議な縁ですね。20年を経てまた一緒に働くことができることを本当に嬉しく思っています。

森:今やCHO!こんなに偉くなられて…という感慨深さは一旦脇に置いて(笑)、ディップの掲げる「社員幸福度No.1を目指す」という目標は、素晴らしいと思います。なかなか宣言できるものではないですよね。

鬼頭:社名が示す通り、ディップは夢とアイデアと情熱を大切にする会社です。会社組織にとって「問題発生→対策」は必要ですが、そこで終始してしまう会社が多いことも事実としてあります。一方で、ディップは「理想→素早く行動→(新たな)理想」を繰り返す会社です。まず理想を描いて、言葉にして宣言する。そして、素早く行動し、その行動によって生み出される変化から発見・気づきを得て、さらに理想を描き出す。だから「社員幸福度No1」という宣言が必要だと思っています。

森:それを大胆に宣言するという姿勢は、ディップらしいところと言えるのではないでしょうか?

鬼頭:そうですね。以前、私たちは「社員満足度No1」を目指していました。この概念には、満足を感じる主体(社員)と満足を生み出す主体(会社)の関係がはっきりとしていたのです。しかし、幸福度という考え方はより包括的で、個々人の特性や状況によって対応が変わります。これは、社員が自身の仕事や会社にどれだけ満足しているかだけではなく、その仕事や会社が彼らの人生全体に対してどれだけ意義や価値をもたらしているかを反映しています。ディップという組織が、社員にとってただ仕事を行う場所というだけでなく、その人生全体に対して意義や価値をもたらす存在であることを心から願っています。それがディップの目指す「社員幸福度No1」の意味です。

社員は会社の財産。成長への支援を大切に。

森:鬼頭さんのこれまでのご経歴ですが、リクルートキャリアで営業を経験された後に、キャリアアドバイザーになり、人事に異動。そして、OJTソリューションズというトヨタ自動車とリクルートが設立したモノづくりと人材育成のソリューション企業に出向された後、メイテックというプロの技術者を派遣する企業にて人材開発に携わられました。いわゆる「採用・人材開発・組織開発のプロ」としてのキャリアだと思いますが、これらのご経験はディップCHOのミッションにどのように活かされていますか?

鬼頭:人事という職務は幅広く、具体的には人事制度、労務管理、給与計算、福利厚生、人材開発、組織開発、採用活動と多岐にわたります。一般に、人材開発や組織開発の専門家が人事部門のトップに立つというのは珍しいケースで、ほとんどの場合、人事制度設計や労務管理の分野で長い経験を積んだ人が就任しています。

森:鬼頭さんは珍しいケースなのですね。

鬼頭:近年の大きな流れとして、人的資本経営が注目を浴びており、社員を企業経営の核と位置付け、中長期的視野で投資を行い、その可能性を最大限に引き出すことが重要視されています。そういった観点からすれば、守りの意識が強い人事制度・労務管理の経験者よりも、攻めの姿勢を持つ人材開発・組織開発の経験を持つ私のような人材が人事の最高責任者を担うことは、一定の意義があると思います。

森:全体的に、人材開発・組織開発に対してどのような課題感をお持ちでしょうか?

鬼頭:多くの人事責任者との会話を通じて感じるのは、人材開発や組織開発についての知識や理解が少なく、未来に向けたすばらしい戦略を描くものの、具体化する場面になると、結局のところ、その実現を研修会社に全て委ねてしまっているように思います。人的資本に対する中長期的な課題を真に理解し、その問題に対応する戦略を展開するためには、人材開発や組織開発を理想をもって具現化する知識と経験が不可欠だと思います。

「夢とアイデアと情熱」を胸に、思い切って未来へ飛び込む勇気を

森:これまでディップ人事総務本部は、新卒612名採用、小学生のキャリア教育(バイトルキッズ)、障がい者採用、DEI推進などに取り組まれてきました。ディップは、圧倒的な事業成長を遂げながらも、社会のなかで周縁化されてきた存在をとりこぼすことなく、「社会を改善する存在になる」というフィロソフィーを持つところに魅力があると思います。人事総務本部はいま、どんな問題意識をお持ちですか?

鬼頭:ChatGPTの出現など、AIをはじめとする先端技術がビジネスや生活に革新的な変化をもたらしています。これまでの社会は一般に、勤勉に学び、優れた学校に入学し、就職活動を順調に進め、一流企業に入社し、社内でキャリアを築くことが暗黙のうちに良しとされてきました。しかし、この先の社会は急激に変化し、その未来を予測することは極めて難しくなります。私たちは何度も予想外の転機に直面し、その都度自身を適応させる必要があるでしょう。過去の自分と決別し、思い切って未来へ飛び込む勇気がこれからの時代には必要となると私は考えています。

森:Unlearn(アンラーン)して新たな挑戦をするためには、夢とアイデアと情熱が必要不可欠だということですね。

鬼頭:そうですね。ですが、私自身を含め、そのような意識の変革や行動変容に対して十分な取り組みがなされているとは感じていません。未来への大胆なダイブを実現するために最も重要な要素は、夢とアイデアと情熱だと私は考えています。私たちディップの社員が社会を改善し、自身の人生で幸福を具現化するためには、このフィロソフィーが不可欠だと信じています。

森:フィロソフィーを体現できる人材は「どこにいる・どんな人」でしょうか。こんな人に出会いたい!ディップならこんなことを実現できます!という、鬼頭さんのパッションを教えてください。

鬼頭:私は、「優秀なビジネスパーソン」という考え方があまり好きではないんです。ビジネスは、置かれた環境によって適したタイプや求められる能力が違うのではないかと感じるからです。ディップに中途採用で入社し、その後活躍している人の多くが、これまでの人生の中で「切った張った」をやってきた人なのではないかと思います。リーダーには時として、乱暴な判断とか、非情な判断をしなくてはいけない状況があって、そこを逃げずに向き合ってきた経験を持つ人にはやはり魅力を感じます。ディップは社会を変えていこうとする会社だし、変化のスピードが早い。だから、「どうしたらいいんだ…」「もうだめだ…」と追い詰められるときがある。そんな時、楽観的になって「なんとかなるや」「今日はとりあえず寝るぞ」となれる人がディップのリーダーとして向いているように思います。

森:ディップには、「ピンチはチャンス」というフィロソフィーがありますよね。

鬼頭:はい。ですが、ピンチの時はやっぱりピンチとしか思えないものです。その時、逃げずに、諦めずに、なんとかその状況を乗り越えようと、夢とアイデアと情熱を奮い立たす先に、気がついたらピンチを乗り越えていて、振り返ったらチャンスになっていたということなんじゃないかと思っています。

森:そのような素養がある方を迎えて、今後どのような組織をつくっていきたいとお考えですか?

鬼頭:これまでの人事には、「制度設計」、「労務」、「採用」、「人材開発」、「組織開発」がそれぞれの機能をちゃんと果たしていればいい、というような価値観があったように思います。ですが、これからの人事はより統合的になっていく必要があるのではないでしょうか。「統合的」と言うのは、人事の各機能がより連携を深めていくということと、未来と現在を統合して考えるということだと思います。人事は、どうしても現場で発生する課題や法改正などに対して「後追い」になりがちです。未来に向けて、会社はどのようなビジネスをしたいと考えていて、どのような人を育てていきたいのか。そうした「未来思考」で考えられる組織にしていきたいと考えています。

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鬼頭 伸彰

CHO (最高人事責任者) 人事総務本部長 兼 ディップ総合研究所長 建築設計事務所で勤務後、株式会社リクルートキャリアにて営業、人事を経験。その後、組織開発コンサルタントや、技術者派遣会社の人材開発部門責任者を経て、2014年にディップ株式会社に入社。現在はCHO(執行役員 人事総務本部長)を務める。

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『dip people』の企画・運用・制作を行い、ディップの情報を社外へ発信しています。