【対談】CTO×若手2年目エンジニア。新人時代の苦労やキャリア、ディップの良さについて語ってみた。

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豊濱 吉庸
CTO(最高技術責任者) ▼詳細

須田 耀平
商品開発本部 システム統括部 システム開発部 UX課 ▼詳細

長田 優希
商品開発本部 システム統括部 システム開発部 グロースエンジニアリング課 ▼詳細

中西 直也
商品開発本部 システム統括部 システム開発部 グロースエンジニアリング課 ▼詳細

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高橋 正憲
商品開発本部 クリエイティブ統括部 制作戦略推進部 制作企画課 ▼詳細

2020年11月に、ディップ初のCTOとして就任した豊濱。そんな豊濱と若手エンジニア(2020年新卒入社)3名を迎え、お互いの印象について、新人時代の苦労について、キャリアについて、ディップについて、対談を行った。
※写真右上より時計回りに、豊濱CTO、須田、長田、中西。司会はdip people編集部の高橋。

CTO=エライ人、というイメージが一変。Slackでも気軽に話しかけてくれる気さくな存在

高橋:今日はCTO豊濱さんと若手エンジニアのみなさんとの対談ということで、お集まりいただきありがとうございます。一応、司会は僕が行いますが、僕の存在は気にせず、みなさんでざっくばらんにお話しいただければと思います(笑)ちなみに若手エンジニアであるみなさんから見て、豊濱さんってどういう存在というか、どういう印象ですか?

長田:豊濱さんが昨年入社されたときは、「エライ人が増えるんだな」くらいにしか思っていなかったのですが(笑)、いきなりtimes(エンジニアが日々のコミュニケーションを取るために作成しているSlackの個人用チャンネル)に入ってきて声をかけられたりして、思っていた以上の距離の近さに驚きましたね。仕事終わりや休日にオンラインゲームをやったこともありますし、出社のタイミングが重なった際は一緒にアイスを食べたりしました。もう「友だち」といっても差し支えないくらいです(笑)

もちろん、距離感が近いだけではなく、エンジニアとしての知識も豊富で、エンジニアの視点を持った上で僕らの傍にいてくれる存在なので、今の印象で言うと「ただのエライ人」ではなく「エンジニアの最終進化形」くらいに思っています。

高橋:たしかにいきなり外部からCTOクラスの方が来たら、最初は身構えちゃいますよね。

豊濱:そりゃそうですよね(笑)

長田:最初は戦々恐々としていて(笑)でも実際はすごく距離感近く、ノリもエンジニア的な方なので、すぐに打ち解けられましたね。

中西:僕も最初はCTOという肩書きになじみがなくて、「どういう方なんだろう」「どう関わることになるんだろう」というのが分からないままのスタートだったのですが、率直に感じたのは、適切な表現かどうかは分かりませんがやっぱり「親しみやすさ」ですね。僕もtimesのチャンネルを最近つくったのですが、すぐに豊濱さんが入ってきてくださって、いろいろコメントをしてくれるんです。あと印象的だったのが、2年目になって昇格した際に、豊濱さんから「おめでとう。もしキャリアで悩んだときは、いつでも1on1で相談してくれていいからね」と言ってもらえたのが、すごく僕ら若手にも寄り添ってくれている感じがして、うれしかったです。

高橋:逆に、豊濱さんから見て、ディップの新卒・若手はどうですか?

豊濱:今言っていただいたのはディップの良さの裏返しだと思っていて。つまりみんなが僕を「受け入れてくれている」んだと思うんです。やっぱり世の中には堅いタイプの人もいて、僕のような気軽なノリが苦手な人もいると思うのですが、みんなが僕がこういうノリなんだと理解してくれて、友だち目線で話してくれているというのがとても大事で。そんな風に気軽に相談してくれる関係性がつくれた上で、真剣な話もしてくれるのは、すごくありがたいですね。

2020年入社のみんなとは、先期の3クオーター(2020年11月)から関わっていて、期末(2020年2月)に締めくくりとして新卒の成果発表会をやったのですが、率直にすごいなと思いました。よく1年でここまで成長したなぁと。元々のポテンシャルが高かったのかもしれないですが、今後がすごく楽しみです。

高橋:成果発表会では、どんなところが良かったですか?

豊濱:すこし抽象的な話になってしまうのですが、ちゃんとみんなに伝えようとか、自分がやってきたことを他者に理解してもらおうとか、今後自分が何をしていきたいかがハッキリ伝わってきたんです。エンジニアだとどうしてもそういうのが得意じゃない人もいるのですが、みんなは1年目の段階でそれができている。

自社でプロダクトを持っている会社のエンジニアって、そういうスキルが必ず必要なんです。ただ「つくっておしまい」というわけにはいかなくて、相手の意図をくみ取ったり、どうすればもっと良くなるかを技術的な言葉ではなく、分かりやすくかみ砕いて伝えるスキルがとても大切なので。だから発表会の光景を見ていて、とてもうれしいなと思いましたね。「できてる、できてる」って。

「こうつくってほしい」の向こう側にある「目的」を確認することが大切

豊濱:ではここからは司会は僕にバトンタッチして。1年目を終えて、率直にどうでしたか?

中西:とりあえず、「思っていた1年目」とはぜんぜん違いましたね。いちばん大きく変わったのはエンジニア観。入社したての頃は一人前のエンジニアになるには個人の技術力を向上させることがいちばん大事な要素だと思っていました。でも、1年間働いてみて、技術力以外にも先ほど豊濱さんがおっしゃっていたようなコミュニケーション力、ユーザーが抱えているそもそもの課題って何だろうと考える力が大事なんだなとあらためて気づくことができました。

もうひとつは、やはり個人ではなくプロジェクト単位で仕事をするので、「チームにどれだけ貢献できるか」が働く上で大事な視点なんだなと思いましたね。

個人としての成長と、チームにどれだけ貢献できるかの両方が、良いエンジニアになるために必要なんだと気づいたのがいちばん大きな変化です。

豊濱:すごく共感できるし、それに1年目で気づけているのがすごいです。もっと何年か業務を積まないとそういう考えに至らない人も多いので。そこがみなさんの素晴らしいところかなと思います。須田くんはどう?

須田:研修中はある程度やることが決まった上で作業を進めていく感じでしたが、配属後はやるべきことの大枠は決まっているものの、そこに至るアプローチや「どうすれば最適に仕事ができるか」は個々人に委ねられているので、「どうすればこのプロダクトをより良くできるか」「自走してより良いものをつくるにはどうすればいいか」については悩んでいましたね。

豊濱:具体的にはどんなところで悩んでいたりするんですか?

須田:たとえば、リクエスターであるMP(サイトの企画・編集チーム)の方とやり取りをする中で、向こうから「こうやりたい」とあがってきた要望に対し、「そこを直しても本質的に改善されるんだっけ?」というモヤモヤを抱えたまま仕事をすることがあったりして。実際、指示通りにつくってもあまり良くならなかったこともあったので、「もっと根本的に良くするにはどうすればいいんだろう?」というのはいつも考えています。

豊濱:それはまさに真理で、「これをつくってくれ」というオーダーをそのまま実現しても、解決しないことはいっぱいあって。僕も22年エンジニアの業界で働いていますが、そういうのはたいていうまくいかない。結局、「『何かを変えてくれ』の向こう側にある目的」が確認できていないと、同じような課題が解決されないまま繰り返し繰り返しになってしまうので。だから、もし須田くんがそれを自分で聞けない環境やチーム構成にいたり、仕事のアサインのされ方をしているのであれば、まさにそういうことを僕に相談してほしいです。自分が目的を聞かずにそのまま作業しちゃうのはよくないと思うけど、みんなが置かれている環境では解決できないようであれば、僕が解決したいので、ぜひ相談してください。

須田:ありがとうございます。

豊濱:長田くんはどうですか?

長田:1年目の悩みというか今の悩みとしては、誰しもがぶち当たることだと思うんですけど、後輩育成についてですね。1年目は自分が自発的にやれば成長できるのですが、後輩となると自分が頑張るだけではなくて、相手が何をしたくて、何をやらせてあげるのが相手のためになるんだろうということまで考える必要があって、そこが今いちばん悩んでいるところですね。

豊濱:後輩育成の話は正解がないから難しい部分もあるんだけど…。でも須田くんの悩みと考え方は同じで、結局は相手が何を考えているかを理解しないといけないなと思っていて。多分新卒のメンバーを教えていると、「なんでそんなことになっちゃうの?」と感じる部分も多々あると思うんだけど、彼らも今考えられる範囲で一生懸命考えた末にそれを出しているはずで。であればその理由やプロセスを聞いた上で、「じゃあこうしたほうがいいんじゃない?」とアドバイスしたほうがいい。結果だけを見るんじゃなくて、その裏には悩んだプロセスがあるはずなので、その目的やプロセスを聞いてあげるといいんじゃないかなと思います。

長田:なるほど。豊濱さんはこんな風に悩んでいた時期ってありますか?

豊濱:悩んでいたし、今もめちゃめちゃ悩みながら仕事してますよ(笑)僕は完璧な人間でも正しい人間でもないですから。とくに環境や会社が変わると、同じ課題でも解決策が違ったり、同じ解決策でもどうアプローチするかが変わったりするので、今ディップで6社目だけど、日々悩みながら仕事してますよ。

長田:ちょっと安心しました(笑)

豊濱:たとえば前にいた会社だと、エンジニアだけで150人くらいいて、エンジニア組織として3つの部を構成するくらいの人数がいたので、ある程度たくさんの社員がいる中でチームとしてどう成果を出すかとか、コンディションをどうチェックするかを考えられたけど、ディップだとエンジニア組織がまだ数十人くらいなので、同じようにはいかない。でも裏を返せば、数が少ない今だからこそ、準備できることがあるはず。

たとえば今のうちに週に1回、1on1でMTGをする文化を根付かせておけば、後から人が入ってきても、スムーズにできるのですごく楽です。もともと150人、200人いる組織に何かを取り入れようと思うとしっかり設計しなきゃいけないんだけど、今のディップの規模感ならそれがやりやすいかなと思います。だから今もそんな感じで、「今のディップに最適なことは何か?」について、悩んでいる最中ですね。

中西:ちなみに、豊濱さんはどんな新人だったんですか?

豊濱:あまり参考にならないと思うんだけど、新人時代は、正直悩む暇がないくらいめちゃくちゃ忙しかった(笑)自分の人生をどうしようとか、キャリアをどうしようと悩む時間がなかったですね。8年目くらいまではずっとそんな感じでした。

僕はラッキーな人間で、1999年にIT業界に入ったので、「事業」というよりは「インターネット市場」そのものが拡大しているときにいちエンジニアとして体験できたので、ぶっちゃけ何をつくってもウケるし、つくればつくるほど会社は儲かるし、自分のスキルは上がるし、成果としてフィードバックされるし、みたいな世の中だったので。本当に運が良かったんだと思います。その分めちゃくちゃ忙しくて、24時に仕事を終えて3時まで飲みに行ったりしてたので。それをみんなにやれとは思わないけど(笑)そんな感じだったので、新人時代は参考にならないかもしれないですね。新卒1年目のときは20世紀だったからね(笑)

高橋:「とにかくつくれば売れる」時代から、変化があったのはいつ頃ですか?

豊濱:明確なパラダイムシフトはスマートフォンの登場でしたね。僕が新卒で入ったのはポータルサイトを運営する企業で、PCの時代は正直な話、圧倒的なオンリーワンでした。ブラウザを開くとみんながそれを使ってくれるような状態。それが、スマホ時代になると自分が必要なものを機能単位でアプリとしてインストールするようになって、「ポータル」という考え方が変わり、収益の上げ方も変わってきました。そこで僕も「スマホというものがどういうものなのか」「どう活用していくのか」を意識していかないとこの先エンジニアとして生き残れなくなるな、と思うようになりましたね。でも今後もそういった大きなパラダイムシフトが10年、20年単位で起こるはずで、そういったときに、幅広い知識を身に付けておくと、いちいち「シフトする」と考えなくても対応できるようになるので、みんなにもそういう風に成長してほしいですね。

一生エンジニアでいたい。その先に、たまたまCTOという道があった

長田:豊濱さんは、現在はディップのCTOですが、キャリアについてはどのように考えてきたんですか?

豊濱:それ、今年の新卒採用の面接でもすごくよく聞かれます。「自分はCTOを目指してます」という人もいたし、「そこまで行きつくにはどうすればいいんですか?」と聞かれたりもするのですが、僕的には「一生エンジニアでいたい」という思いがすごく強くて。そのためにスキルを広げたり、新しいモノに触れたり、あとは自分が担当している事業やコンテンツにどう貢献できるかの試行錯誤を繰り返していたらこうなった、という感じで。「CTOになりたい」と思っていたわけではなく、「結果ここにいる」みたいな感覚なんですよね。

昔から、役職もあまり気にしていなかったです。だから冒頭に言ってもらった「役職者なのに距離感が近い」というのも、そこに出ているのかなと思っていて。あまり自分が役職を持っているとも思っていないし、1社目でよく言われていた「役職は役割でしかない」というのがすごく僕の頭の中に残っていて。組織の中のヒエラルキーとしての「偉い人」ではなく、「こういう役割をする人」としか思っていないので。タグ付けみたいなものですね。そういう考え方でずっとやってきたので、キャリア観もほぼそれと同じで、結果キャリアがついてくるものだと思っています。

長田:最初に僕が「エンジニアの最終進化系」と言いましたが、合ってたんですね。

豊濱:そうなのかな?(笑)あとは、僕みたいにCTOやVPoE(企業の技術部門のマネジメント職)のようなポジションの人って、いわゆる「ジェネラリスト」に近いんだろうなと思っています。もう一方、対極すると「プロフェッショナル」みたいな道があると思っているんだけど、「自分はプロフェッショナルじゃない」と思った瞬間が何度かあって。新卒で入社して5年目くらいまでに接してきた先輩たちの中には、ガチでこの人たち「世界が違うな」と思う人がざらにいたので。たとえばPythonのバグを見つけて作者にメールするような人とか(笑)その当時のPythonなんて今みたいにドキュメントがいっぱいあるわけじゃないからね。そんな中、自分の書いたコードが間違っていると思うんじゃなくて、「これ、もしかして言語仕様が違うんじゃないか?」と探って送れる人なんてそうそういないと思うんだけど、当時は周りにたくさんいたので(笑)自分はこうはなれないなと思ったし、それ以外に役に立てるところはないかを見つけようと思って、トライしてきた結果が今にあるのかなと思います。

高橋:「スペシャリストになれない」と感じられた結果、「どこを目指そう」と思われたのですか?

豊濱:僕の中の「スペシャリスト」のイメージで言うと、たとえばLinuxのカーネルを直接いじれるだとか、さっき言った言語自体のバグを発見したり、今でいうOSSコミッターみたいな感じの人たちです。で、僕がそこに行けないということは、一定の技術力を持ちながらも、世の中の課題とか、プロダクトに貢献するところをうまくやらなきゃ生きていけないなと思いましたね。

職人が仕事を選ぶような世界ってあるじゃないですか。芸術家とか建築家とか。ああいう域には達していなくて、建築家でたとえるなら、「自分の作品をつくる人」ではなく、クライアントと一緒に家をつくるときに「この予算だとこういう材料がいいですよ」「こういうレイアウトだったら暮らしやすい導線になりますよ」みたいなところを含めてやる人にならないと、多分生きていけないんだろうなと思いましたね。

でもそれに気づいたのもエンジニアのだいぶ初期の頃ですよ。まだ21世紀になっていない頃に、「このレベルの人たちがスペシャリストなんだったら自分には無理だ」と2年目くらいで思いましたね(笑)

高橋:若手のみなさんは現時点でキャリアについてどう考えていますか?

長田:正直まだよく分からないなというのが本音です。自分が何をやりたいかが分からないわけではなくて、やりたいことがめちゃくちゃある中でどれをやっていけばいいかが分からない、という状態です。なのでやりたいことを突き詰めたらCTOになったというお話を聞いて、僕もやりたいことをやっていればいつか何かのキャリアが見えてくるのかなと安心しました。

豊濱:これは個人的な意見だけど、現時点でキャリアを考えられているのがベターではあるんだけど、必須ではないと思っていて。昭和の人間みたいなことを言うのもあれだけど、最初の3年くらいはガムシャラにやってもいいのかなと。それを後から振り返ると、結果的に何かが積み上がっていると思うので。それくらいの気楽さで目の前のことを頑張る、自分が今やりたいことを頑張るのでいいんじゃないかと思います。

たまに、「こうするのが正解でしょうか?」とキャリア相談で聞かれたりするんだけど、誰にも今後のことなんて分からないと思っているので。成功か失敗かも定義があいまいだし。逆に、今その年齢だったらたくさん失敗できるじゃんと思う。別に失敗してもいいんです。失敗したらそれは失敗しただけで、技術的なスキルや糧には絶対になってるはずなので。別のことに生かせばいいだけだと思います。

中西:僕も長田くんと同じで、明確に考えているわけではないですね。しいて言えば、「チャレンジすること」が大切だと思っていて。これまでも情報系の大学ではない中でプログラミングを始めたり、新しいチャレンジに対してワクワクする気持ちが強いので。仕事をする上でもそういう自分の幸せを追求していきたい、新しいことへのチャレンジは追い求めていきたいなと思います。

豊濱:うん、それでいいと思います。

須田:僕も現状そこまで考えられてはいないですが、数年単位の話で言えば、今のところは今やっているフロントエンドやUXの専門性を高めていこうと思っています。悩みというほどではないですが、仕事上だとフロントエンドやUX以外は今のところ触れていないので、今後キャリアとしてさらにスキルを広げていくときにどうすればいいのかなとは思っています。

豊濱:みんなの話を聞いていて、明確に「こうしたい」「こうなりたい」がなくても、やりたいこと、吸収したい知識があるのは分かったので、それを愚直にやるだけでもいいのかなと思いました。これも僕の考え方だけど、回り道をすることってエンジニアをする上でマイナスになることはなくて。たとえば非同期通信でこのことをやりたいけどうまくいかないとなったときに、その答えが出るまでに1週間くらいかかってしまって、「なんだ、こうすればいいじゃん」と後になって気づくことがよくありました。でもその回り道したことが知識になって、似たようなことが起こったときに「ここは探さなくていいのか」と気づけるヒントになる。だからチャレンジして失敗して回り道したことが、将来絶対に役に立つんです。「正解を知る」ことよりも、「自分で考えて試して、知識をものにする」ことが大事かなと思います。

ベンチャー気質がありながら規模は大きい。こういう会社こそ面白いことができるんだと思う

豊濱:ちなみに、ディップで働いてみて、どうですか?

中西:豊濱さんを筆頭に、先輩のやさしさは感じますね。コミュニケーションひとつとっても、「これをやれ」と独断でおろしてくるようなステレオタイプな先輩はいなくて。寄り添ってくれる、アクセプト(承認する、受け入れる)の精神がある先輩が多いなぁという印象です。

須田:僕は学生時代に2社のベンチャー企業でアルバイトをしていました。そこは2社とも社員数が10名くらいの小さなベンチャーで、そこと比較すると、まず福利厚生がいいなと思います。各制度が整っていて、そこから得られるメリットが大きいのがひとつ目のいいところです。もうひとつは、ベンチャーのいいところであった「人との距離の近さ」のようなものが、ディップのシステム統括部にはいい形で残っていると思っています。ベンチャー気質は残しつつ、ベンチャーにはできないことをやろうとしているのは、とてもいいところだなと思います。

長田:僕がエンジニアになろうと思ったきっかけが、プログラミングを趣味でやっていて、「どうせ働くなら趣味の延長で働きたい」「働いても苦じゃないところで働きたい」というちょっと消極的な理由だったんです(笑)というのも、どちらかというと働くことにマイナスのイメージがあって、「言われたことをやる」「自分の意見は通らない」ようなイメージがありました。でもディップに入ってみて、上から言われたことをやるんじゃなくて、「問題や課題を解決するためにどうすればいいか」から自分で考えられるし、「こう改善したいんです」という提案に対しても、「いいじゃん、やりなよ」と言ってくれる環境が、働いていてすごく楽しいし、もっとやりたいなと思えます。だからディップが1社目で本当に良かったなと思います。

高橋:豊濱さんから見て、ディップの特徴、良いところはなんですか?

豊濱:須田くんが言ってくれたこととかなり近くて、ベンチャー気質が残っているのに規模はそこそこデカいって、他社ではあまり体験できないフェーズにいると感じます。たとえば「規模がデカい」と言っても、僕がいた前職だと世界中に2万人以上も社員がいるような会社もあって、そうなるともうそこそこの街ですよね(笑)もちろん誰が働いてるかなんて全員は分からないし、社長もきっと社員全員の顔と名前なんて知らないはず。でもディップは従業員数2400人規模とそこそこ大きいのに、考え方が前向きで、ベンチャー気質で、「面白いことができるのはこういうところなんだろうなぁ」と入ってからすごく感じますね。

付け加えると、僕らは「dip2025」という中期経営戦略を掲げて、これから「ガンガン作れる200名体制」を目指してエンジニアの数を増やしていくわけですが、今くらいの人数だとだとみんなで和気あいあいとできるんだけど、それが100人、200人になってくると、ある程度仕組み化しないといけなくなる。その中で、こういったマインドやスピリットを失わせないのってすごく難しくて。そこは今僕がいちばん悩んでいるところですね。研修も、組織構成も、縦割りの文化にならないようにするにはどうすればいいかを、今ものすごく考えています。だから今後もし意見があれば、どんどんもらえるとうれしいです。

高橋:ディップ全体では2400名規模とそこそこ規模が大きいのに、そういったベンチャーっぽさが残っていたり、気軽なコミュニケーションができる要因はどこにあるんでしょうか?

豊濱:ディップにはまだ1年もいないので、ただの感想になっちゃいますが、ディップって社名の「Dream」「Idea」「Passion」の意味をみんなが知っているとか、自然と企業理念やビジョンについて語れると思うんです。ディップにいると当たり前に思うかもしれませんが、それってものすごくデカくて。イメージとしては、「ディップはみんなが立ち返れる場所がある」んじゃないかなと思いますね。「会社に忠誠を捧げる」というようなブラック企業的な意味合いではなくて、「立ち返れる場所がある」が、僕のディップのイメージです。

10年、20年後には、きっと想像できない世界が待っている

高橋:最後に、本日の感想などがあればお願いします。

須田:率直に思ったこととしては、豊濱さんくらい長く経験を積んできて、ディップでCTOをやっているような方でも、過去に自分たちと同じような悩みに直面していたり、同じような問題を抱えていたり、現在もそういった問題に対して悩んでいるんだなと知れて、ちょっと安心しました(笑)と同時に、自分たちが今やっていることや、失敗や回り道も、思ったほど間違いではなくて、自分たちの成長や経験のためには良いものなのかなと前向きにとらえられるようになりました。

長田:豊濱さんがCTOとして経営層に入ってきてくださって、これからエンジニアの組織づくりや、採用を強化していく中で、豊濱さんが今悩んでらっしゃるというのも分かったので、僕もぜひ力になりたいなと思いました。一緒に頑張っていきたいです!

中西:豊濱さんがおっしゃっていた「ディップはまだ人数が少ないからこそ、理念を浸透させやすい」というのは、たしかにその通りだ、なるほどと思いました。

キャリアについても、まずは自分のできることや強みというのを、日々チャレンジして見つけていくことが大事で、豊濱さん自身もそういった積み重ねでCTOになられたという話を聞いて、自分のキャリアを考える上でもすごく参考になりそうだなと思います。

豊濱:みなさんありがとうございました。最後にひとつだけお話すると、対談を通してキャリアの話だとか、今までどうしてきたかとか、結果こうなってるよみたいな話をしたのですが、今後10年、20年経って、みなさんが僕くらいの年齢になったときには、全然違う世界だろうし、何が求められているかなんて正直まだ分からないんです。だから、ある意味ちょっと突き放したような聞こえ方になったら申し訳ないのですが、今日した話は参考程度に聞いてもらって、自分で決めたほうがいいよという話です(笑)あくまでも僕が歩んできたこととか、学んできたことはお話できるのですが、これをやれとか、こうしたほうがいいよというつもりはあまりないので、参考程度に聞いてもらって、みなさんの「こうしたい」に生かせるところがあったら、取り入れてもらったらいいのかなと思っています。

なので5年後、10年後に、逆に僕がいっぱい教えてもらえる関係になれたらすごくうれしいなと思います。10年後はみなさん30代ですね。その頃にはいろいろな経験を積んで、自分がこうやりたい、そのためにはどうすればいいかもある程度分かっている状態だと思うので、そんな感じでいろいろ経験を積んでもらえたら僕はハッピーなので。これからもよろしくお願いします。

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豊濱 吉庸

CTO(最高技術責任者) 2020年11月入社。大手ITサービス企業ではコンテンツの設計・開発、開発リーダー、テクニカルディレクター、CTO-Boardのキャプテンなどを担当。その後は、さまざまな企業にてシステムアーキテクチャを担当。ディップ初のCTOとしてジョイン。

須田 耀平

商品開発本部 システム統括部 システム開発部 UX課 2020年新卒入社。就活時にディップの社員の就活生に対する真剣さを目の当たりにし、入社を決意。現在は「はたらこねっと」のフロントエンド開発、管理画面開発などを担当。

長田 優希

商品開発本部 システム統括部 システム開発部 グロースエンジニアリング課 2020年新卒入社。主に「ナースではたらこ」のユーザーサイトの改修、保守を担当。趣味はギター、ドラム、ゲームなど。

中西 直也

商品開発本部 システム統括部 システム開発部 グロースエンジニアリング課 2020年新卒入社。「バイトルマスター」を担当。自分の関わるプロダクトやサービスに愛を注いでいきたいと思っている。そのために「ユーザーにとって使いやすいのか」「これはユーザーのためになるのか」という視点を持って開発に取り組んでいる。

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高橋 正憲

商品開発本部 クリエイティブ統括部 制作戦略推進部 制作企画課 3代目dip people編集長。2008年に新卒で入社し、進行管理、広告審査室、制作ディレクター、管理職などを経験。2020年4月より現職。