プロバイオリニストを目指していた私が、ディップのエンジニアになると決めたワケ。
「ガンガン作れるエンジニア200人体制」をキーワードに、当社サービスの内製化を進めるべく、現在ディップでは新卒・中途ともに採用活動へ力を入れています。今回は2023年新卒として入社予定、エンジニア職内定者の春木 渚咲(ハルキ ナギサ)さんと、最終面接を担当した執行役員CTOの豊濱 吉庸(トヨハマ ヨシノブ)さんにインタビューしました。
幼少期から音楽の世界で生きてきた彼女が、なぜエンジニアを目指したのか。そしてなぜ数ある企業の中でディップを選んだのか。一見異色な意思決定の真相に迫りました。
突きつけられた、演奏家としての厳しい現実
中村:今日はよろしくお願いします!まずは簡単に自己紹介をお願いします。
春木:2023年4月にエンジニアとして入社予定の春木渚咲です!ピアノの先生をやっている母の影響で1歳半からピアノを、3歳からはバイオリンも始めました。中学生の頃にバイオリニストになろうと決めて練習に励み、現在は音楽大学に通っています。学外ではオーケストラのエキストラの仕事に取り組んだり、カフェのアルバイトを2つ掛け持ちしたりと充実した日々を過ごしていました。今はアルバイトに加え、ディップでエンジニア職のインターンも行っています。
中村:ずっと音楽の世界で生きてきたのですね!
春木:はい、元々興味を持ったらなんでもやりたいタイプで、小さい頃は音楽以外にもさまざまな習い事をしていたのですが、やはり母の影響もあってか、ここまでずっと続けてきたのは音楽でしたね。でもピアノは中学生で辞めてしまいました。ピアノって一人で演奏することの方が多いじゃないですか。一方でバイオリンはみんなで演奏する機会が多く、チームワークがより求められる楽器だなと思っていて、自分にはそっちの方が合っていたみたいです。
中村:音楽大学に進学されたとのことなので、やはりプロを目指していたのですか?
春木:そうですね。プロのバイオリニストになることは思い描いていました。ただ正直に話すと、自分の人生の目標と置いていたのは「プロのバイオリニストになって生きていくこと」ではなく、「第一志望の音楽大学に入学すること」だったんです。そのため、入学したと同時に自分の目標を見失ってしまいました。それまではなんとなくフリーランスで活動していくイメージを持っていたのですが、大学生活を過ごすうちに、演奏家に対する仕事の少なさや不安定な収入といった現実を突きつけられました。そんな折にコロナ禍となり、これまで対面で行われることが主流だった演奏の仕事は、ほぼ完全にSTOP。ますますこの世界で生きていくことの厳しさを痛感し、一般企業へ就職することを決めました。
中村:演奏家として生計を立てていけるのはほんの一握りの人なんですね…。就職を意識しだしてからどのように過ごしてこられたのですか?
春木:大学入学時から演奏家として生きていけるのかと不安はあったので、1年生の頃から音大生向けの就活セミナーに足を運んだり、そこで知った企業の1dayインターンに参加したりはしていました。そして1年生の冬に、とあるSIer企業のプログラミングを行うインターンに参加したことが、自分のターニングポイントとなりました。
音楽とプログラミングが、不思議な縁で交わった
中村:急にプログラミングが出てきましたね!なぜプログラミングのインターンに興味を持ったのですか?
春木:私の父が子供向けのプログラミング教材を扱う会社で働いていて、よくおもちゃとかも持って帰ってきてたんですよね。私は全く触れてこなかったのですが、弟はそれで遊ぶことも多く、なんとなくプログラミングというものに馴染みは感じていました。それで試しに一度インターンに参加してみようと思ったんです。ちょうどその時期、大学のリモート授業用にPCを新調し、もっと使いたいとわくわくしていたのもありますが(笑)。
中村:実は身近な存在だったのですね。インターンに参加してみてどうでしたか?
春木:それがすごく楽しかったんですよね。「プログラミングで音を鳴らしてみよう」といった内容だったのですが、一緒に参加していた学生が「ファミリーマートの音を鳴らしたい!」と言っていて。ただその人が何度試しても思うようなメロディーにならなくて、それを見ていた私が「ここの音をこう変えたらうまくいくと思いますよ」とアドバイスしたんです。その時に、「あ、これまで学んできた音楽の知識はプログラミングにも役立つんだな」と気づき、そこからエンジニアの勉強を始めよう!と。
中村:将来の道を考えるようになって、たまたま行ったインターンでこれまでの経験と合致する体験をしたと。すごい偶然ですね!
春木:本当にタイミングがよかったと思います。そのあとは基本独学で学んでいたのですが、大学3年生の始めにプログラミングスクールの生徒募集のサイトを見つけて、同世代のエンジニアを目指す人はどのくらいのレベル感で、どのような勉強をしているのか、どのように就活をしようとしているのかなどを知りたくて入学することにしました。情報収集の意味合いが強かったですね。期間は5ヶ月間だったのですが、卒業するには中々ハードな条件となっていて、まず無断欠席したら一発で脱落。また、最初はハーバード大学のコンピューターサイエンスという授業の単位を取るところからスタートするのですが、週に1回課題を提出しなければならず、間に合わなければその時点で脱落です。入学当初は500人以上いたのに、最終的には50人程度しか残っていなかったですね。
中村:自走力や自己管理力が問われる環境ですね…。
春木:単位が取れたら残りの2ヶ月間は4人のチームで開発を行いました。言語はPythonで、Djangoというフレームワークを使っていました。言語やフレームワーク、開発物などは全てチームで決めています。最後にスポンサー企業への発表会があり、それを経て卒業となります。出来などは問われませんが、発表会で高く評価されたら表彰され、就活でも実績として話せるので、間違いなくアドバンテージにはなりますね。
中村:卒業後はいよいよ就活スタートですよね。どのように進めていったのですか?
春木:卒業と同時にキャリアセレクトという就活エージェントさんがついてくれました。最初の1ヶ月ほどは自己分析や面接練習などに費やし、本格的に企業の選考がスタートしたのは大学3年の11月くらいからです。ディップもキャリアセレクトを通して出会いました。
目的意識と強い気持ち、それが彼女の大きな魅力
中村:ここからは最終面接を担当された豊濱さんにもお話を聞いていきたいと思います。豊濱さん、よろしくお願いします!
豊濱:よろしくお願いします。
中村:春木さん、ディップの選考はどうでしたか?
春木:最初はホームページなどから、「規模の大きい企業なのにベンチャー気質で、ユーザーを大事にしている会社なんだな」という印象しかなかったのですが、選考のたびにフィードバックをいただけたり、面接で自分の経験や考えを親身に聞いてくれたりと、ユーザーに限らずどんな人をも大事にする文化が根付いているんだなと感じました。
中村:入社を意識したのはどのくらいのタイミングでしたか?
春木:最終選考に臨むときにはもう「内定をいただけたらディップにいこう」と決めていました。人や雰囲気がマッチしていたのはもちろんですが、それ以上に自分が就職活動において大事にしていた軸に一番合っていると感じたことが大きかったですね。私は自身の経験を通して、「演奏家の活動を支える仕事をしたい」とずっと考えてきました。それがディップの仕事なら叶うなと思ったんです。
中村:ディップの手掛けるビジネスと演奏家、一見すると交わらなさそうな印象を受けるのですが、詳しく聞かせてもらえますか?
春木:フリーランスの演奏家の方って、演奏の仕事がないときはアルバイトをして生計を立てているケースも多いんですよ。そういった面でディップのビジネスは演奏家にとってなくてはならない存在だと思いますし、私の軸である「演奏家の活動を支える仕事」だと本気で思います。
豊濱:その話、最終選考でもしてくれていたよね。僕はよくいろいろなところで話すのですが、何かの目的があってモノは作らなければいけないと思っていて、こういう世界を実現したいと明確な理由を持ったうえでディップで働きたいと言ってくれたことはすごく嬉しかったですね。最初のきっかけはそれで十分で、きっと働いていくうちにいろいろなものが見えて、次はこれがやりたい、あれがやりたいと広がっていけると、とても良いですよね。
中村:豊濱さん、他にも春木さんの魅力に感じたところがあればぜひ聞かせてください!
豊濱:そもそも音大に通いながらプログラミングもやるって、相当ガッツがないとできないですよね。やるって決めたらやってくれる方だと思ったことは今でもよく覚えています。
春木:時間がなさすぎて電車の中で開発してました(笑)。
豊濱:ほらね(笑)。でも実際一番大事なのってスキルよりも気持ちだと思うんですよ。エンジニアの仕事って例えばいついつまでにリリースしなければならないなどがあって、それに自分の都合で遅れるなんてあってはならないことじゃないですか。中には諦めるとか誰かに投げちゃうとかって選択肢もなくはないですけど、夢中になって本気で取り組んでいればそんなことは考えずに、工夫や試行錯誤を繰り返して開発できるんですよね。春木さんは気持ちの強い方だと思ったので、ぜひ一緒に働きたいと思いました。
中村:春木さんや23新卒エンジニア内定者の皆さんに伝えたいメッセージはありますか?
豊濱:春木さんにはそうですね、頑張りすぎないでねと伝えたいですね(笑)。まあでもかっこよく言うと、プロって継続して成果を出すことが求められるんですよ。それがアマチュアや趣味との違いですよね。なので体調管理などにも気を使いつつ、よい仕事をしていってほしいと思っています。
23新卒の皆さん全員に言えることは、特に僕とかはアルバイトを探したりアルバイトで働いていたりする方と3世代くらい離れてしまっているんですよね。その世代に一番近いのが新卒の皆さん。だからどんどん意見出してほしいです。良かれと思っていろいろな検索軸とか作っても、結局は家の近いところで探すよね、だったらその機能をガツンと前に持ってきた方がいいよね、とか。ぜひ皆さんの目線で忌憚のない意見を言ってもらいたいですね。
春木:今のアルバイト先でどんな人がどういう理由でこの職場にいるのかとか、本当はもっとこういうことを知ってから応募したかったとか、スタッフやユーザーの声をたくさん吸収して、ディップの仕事に活かしていきたいと思います。ちなみに私はいま、アルバイトの求人を見るときに、「自分の生活リズムにこのバイトを入れるとどうなるか」というモデルがイメージできると、より良い仕事・職場選びになるんじゃないかと考えています。アルバイトと生活って密接にかかわってくるものだと思うので、この仕事や職場で働くことが無理がないかとか、日常生活に支障をきたさないかとか、そういうのが見れると安心できるなと思ったんです。
豊濱:なるほど。そのアプローチってあまり他のサイト見てもないよね。どういった形で取り入れられるか、ちょっと考えてみたいな。ありがとう。
中村:こういった感性、とても大事ですね。新卒をはじめ、若い皆さんの意見が反映されたサービスづくりが楽しみです。
就職はひとつの手段に過ぎない
中村:最後にこの記事を読んでいる未来の後輩候補の皆さんに向けて、メッセージをお願いします。
春木:就職をするということはひとつの手段にすぎないので、自分の優先したいことを自分と相談しながら選んでいくといいと思います。音大生などの方は一般の大学ではないから「就活は不利なんじゃないか」と不安になるかもしれませんが、むしろそれが強みになることも大いにあるはずです。皆さんがここだと思える仕事や職場に出会えることを願っています。