内定者がディップのリファラル採用イベントを企画? 運営メンバーに聞いてみた。
2021年1月8日から計4回行われたディップのリファラル採用イベント(オンライン)。その企画者は、なんと人事ではなく内定者(現役の大学生)でした。どのような経緯でこのイベント運営に参加したのか、どのように企画を進めていったのか、運営メンバーの6名に聞きました。
「内定者主体でリファラル採用を進めたい」人事からの声かけに賛同した6名のメンバーたち。
高橋:今回、内定者主体でディップのリファラル採用のイベントを企画・実施したと伺いました。今回のプロジェクトはどのような経緯で始まったのですか?
門馬:ディップではリファラル採用を「シンクロ採用」と名付け、昨年までは私たち人事主体で行ってきました。ディップが“Labor force solution company”となっていく上で、フィロソフィーに共鳴でき、ともに走っていける仲間を増やしていくことは今後より重要になりますし、「人材採用は人事のやる仕事」という固定観念をなくすことが採用の本質だとも考えています。「ディップで活躍して幸せになれそうな仲間を見つけ、誘うことは、社員としてごく普通のこと」そんな風土をつくっていきたいと考え、今回は内定者のみんなにリファラル採用を推進してもらうことにしました。11月の頭くらいに内定者が参加しているSlackにて声をかけ、6名のメンバーが立候補してくれました。
高橋:なるほど。内定者のみなさんはどのような想いで参加を決めたのですか?
船橋:僕は「リファラル採用」という採用手法にそもそも興味がありました。一般の採用手法に比べてコストパフォーマンスがよく、かつ定着率が高いという予備知識を持っていたので、就活をしていた頃から「もっと世の中に広まるべき採用手法だ」と思っていました。それをディップが学生主体で進めたいと考えているという話を聞き、ぜひ参加したいと思い、手を挙げました。
大畑:今回の参加メンバーは、ふだんから「キャリア支援団体」などに携わっているメンバーもいた中で、私はまったくそのような経験がなく、未知の領域だったので、「採用をもっと深く知ってみたい」と思い、参加を決めました。あとは門馬さんの「採用は人事だけが担う仕事ではない」という言葉にも心を打たれました。ディップのファウンダーズスピリットのひとつに「自らがdipを創る」がありますが、まさに今回の企画も「自らがdipを創る」を体現しているなと思っていて。内定者の私に何ができるのかという不安も少しありましたが、興味・関心がそれに勝り、力試しの機会にもなるなと思ったのが応募した理由です。
高橋:たしかに、僕は新卒から13年ほどディップにいるので当たり前のように聞いていましたが、上場企業の採用イベントを学生(内定者)が企画・実施するって、けっこう大胆というか、ディップならではという感じがしますね。
目標、コンテンツ、スケジュール…すべて自分たちで決めていく。
高橋:メンバーが集まってからは、どのように進めていったのですか?
大畑:門馬さんからの声かけがあったのが11月の頭で、初回のイベントは翌年の1月8日に行ったので、実質2ヵ月くらいで準備を進めていきました。
まずは「リファラル採用とは?」というところから入り、そこからゴール設定を行い、次に何人の学生に声をかけ、イベントに来てもらい、選考に進んでもらいたいかなどの数値目標、その方たちに来てもらうにはどういったコンテンツが必要か、などを企画していきましたね。
堀川:ゴール設定では、門馬さんから昨年の実績、課題などをヒアリングするところから始めました。昨年は人事の方が主体となってイベントを企画し、内定者から学生を紹介してもらうという手法を取っていたのですが、参加者が思うように伸びなかったという課題がありました。その原因として、やはり内定者側に「当事者意識」が芽生えなかったのではないかという仮説に至って。今年は僕ら学生が主体となって企画するからこそ、21卒の内定者を全員巻き込み、同じ空気感でこのプロジェクトを成功させたい、そして昨年の実績を超えるイベントにしたいという想い、方向性が見えてきました。
高橋:企画を進める上で、どのあたりがいちばん大変でしたか?
西脇:苦労したのはコンテンツの内容を決めるところですね。企画をゼロから設計する中で、僕らにリファラルや採用に関する深い知識があるわけではなかったので、その中でどういったコンテンツを用意するか、何を目的にするかなど、みんなで何度もミーティングを重ね、話し合っていきました。
甲田:最初はみんなでブレストしながら、「人材業界の全体像がつかめるイベントにしよう」「人事目線で就活を考えるイベントはどう?」「それなら人事や内定者と話せる座談会は?」とアイデアを10案くらい出していきました。そこから一つひとつの案に対して「どういった就活生に向けたイベントなのか」「このイベントを経て、どのような状態を目指したいのか」などを話し合い、「じゃあこういうイベントだとちょっと難しいかもね」「これとこれを組み合わせたらどう?」とアイデアをブラッシュアップしていきました。最終的には、「【採用人事×21卒内定者】そんなことまで聞けちゃうん会」と題し、ディップの説明+パネルディスカッション+座談会を主体としたもの、「個の生存戦略【予測不能な現代を生き抜くため、どのような就活にするか?】」と題し、これからの生存戦略+グループワーク+座談会を主体としたものの2種類を開催することにしました。
(当日の資料より抜粋)
甲田:「個の生存戦略」の案は堀川くんが出してくれたのですが、これから、コロナ禍をはじめ予測不能な時代になる中、そういった世界をどうやって生き抜いていくか、そのためにどのような就活をしていくべきかというのは、これからの就活生にとってとても気になるテーマだと思ったので、そのテーマを選ぶことにしました。
堀川:今回はあくまでも「リファラル採用」のイベントなので、参加者は必ずしも「ディップについて知りたい」「ディップに入りたい」という方ばかりではありません。そうなると、自分のキャリア、就活、悩んでいることなどが関心事になってくると思うのですが、就活を1年やってきて、さらにキャリア支援団体でも活動している僕としては、就活だけに目を向けてほしくないという考えがあって。自分の人生とか、未来とか、もっと大きな部分に向き合うのが就活の本質だと思っているので、そこに向き合ってもらうために、より視座を高く、長期的な考えを持ってもらえるコンテンツをひとつ用意したいなと考えました。
大畑:コンテンツを考える際にも、ひとつ「ディップらしいな」と感じた瞬間があって。私がディップに入ることを決めた理由のひとつに、「One to One Satisfaction」というブランドステートメントがあります。一人ひとりに寄り添い、一人ひとりの満足度を上げるというものです。先ほどの「個の生存戦略」について「誰が話すのか」という議論があった際に、私は「せっかく内定者が主体となって企画するのだから、内定者が話すべきではないか」と提言しました。でも門馬さんやみんなと話し合う中で、「『自分たちがやる意義』よりも、『学生が求めてること』って何なんだろうね」という意見があって。たしかに私の意見は自分本位だったな、私たちのような学生が生存戦略を語るよりも、もっと社会人としての経験を積んでいる人のほうがいいなと思い直し、採用の責任者である片沼さんに語っていただくことにしました。小さなことかもしれませんが、これが相手ファースト、相手に寄り添うということなんだなと実感しましたね。
内定者の巻き込み。目標は「全員1人」は集めること。
高橋:コンテンツの内容も決まり、次は「イベントの参加者集め」ですよね。ここは具体的にどのように進めていったのですか?
西脇:あくまでもリファラル採用のイベントなので、参加者は「内定者の紹介」で集めることになります。昨年のイベント参加者が60数名だったので、僕らは「94名の参加者」を目指すことにしました。
高橋:なぜ94名だったのですか?
西脇:内定者の数が94名だったので、「内定者1人につき1人くらいはディップにピッタリな人がいるはず」と考え、その目標数値に設定しました。あとは「昨年を超えたかった」というのもあります(笑)
高橋:募集はうまくいきましたか?
西脇:先ほど堀川くんも話していたように、人事の方や、僕ら運営メンバーだけが主体となるのではなく、「内定者全員が当事者意識を持つ」ことが大事だと考えました。そのため、具体的な目標や目的が明確になった段階から、内定者のSlackで「なぜこのプロジェクトを始めるのか」「僕らはどのような想いでこのプロジェクトに参加しているのか」「このプロジェクトをぜひみんなの力で達成したい」などを共有し、みんなを巻き込んでいきました。
高橋:反応はどうでしたか?
西脇:僕が個別に連絡を取ったメンバーは、最初から「探してみるね」「いるか分からないけど聞いてみるね」と前向きな人たちが多かった印象です。とはいえ、94人という目標は思ったより高く、最初は進捗も良くなかったのですが、Slack等で随時発信を続け、みんなを巻き込んでいけるよう工夫しました。
昨年の約2倍の参加者が集まったイベント。学生だからこそ掴めたニーズ。
高橋:イベントは2テーマ×2日間、計4回開催されたと伺いましたが、結果は…?
西脇:最終的に無事126名の参加者に集まっていただけました。
高橋:おぉ、すごい。目標を達成し、実数でも昨年の倍くらいになっていますね。
船橋:おかげさまで、たくさんの方に参加していただくことができました。参加後にアンケートも取っているのですが、総じて満足度は高かったですね。とくに座談会、次に片沼さんの「個の生存戦略」のコンテンツの満足度が高かったようです。座談会では、内定者2名くらいと就活生10~15名くらいのグループを2~3ほどつくって、内定者がローテーションで回るようにしました。
高橋:座談会では具体的にどのようなことを話したのですか?
西脇:質問で多かったのは、就活全般についてや、ディップについて、また、「なぜディップにしたのか」などですね。満足度が高かったのも、まさにそこに就活生のニーズが集まっていたからだと思っていて、「リアルが聞きたい」「就活やディップのリアルを知りたい」というニーズが強かったからではないかと考えています。僕たち内定者も、人事の方も、包み隠さずすべてお話しするようにしました。
豊田:アンケートを見ても、自分たちが就活生に伝えたかったことと、就活生が評価してくれた点が一致していたので、みんなで話し合ったことは間違っていなかったんだな、学生の僕らが企画するからこその意味があったんだな、と思います。
西脇:イベントはいったん終了しましたが、参加者の二次選考以降についても、僕ら運営メンバーで面談やフォローを行っていく予定です。具体的にどのような施策を行っていくかは、現在みんなで話している最中です。
裁量があっても、手を挙げなきゃ意味がない。
高橋:今回、内定者主体のリファラル採用に参加してみて、学びになったことや感想はありますか?
船橋:まずは「やってよかった」というのが一番大きいです。就活生時代には見えていなかった採用の裏側みたいなところを知ることができましたし、自分の視野も広がったのではないかと思います。
もうひとつ大きな学びになったのは、「採用の難しさ」です。あれだけみんなでコンテンツを考えて、イベントを開催して、満足度も高かったので、「参加者はみんなディップを志望してくれるんだろう」くらいに思っていたのですが、参加者に面談などを行うと、まだ「ディップが第一志望」という方は少なくて。「もっと学生を引き付ける魅力付けができたんじゃないか」「採用ってそんなに甘くないんだな」という現実を知れたのはとてもいい機会でした。
豊田:僕も、まず手を挙げてよかったと思います。なんでかと言うと、就活時代に「裁量権」を就活の軸に入れる方は多いと思うし、僕自身もそうだったのですが、いくら裁量権のある環境でも、手を挙げないと分からないこと、経験できないことってあると思うんです。今回自らが手を挙げたことで、自分に何が足りていないのかということを知れましたし、「手を挙げれば任せてもらえる」というディップの社風をあらためて感じることができたので、とてもよい機会だったなと思います。学生で経験もスキルもない僕たちに、会社にとって大事な採用の一部を任せてもらえたのは、とてもありがたいですし、人事の方をはじめディップの器の大きさを感じることができました。
甲田:私は、学生の立場のまま、採用を知ることができたのは非常に貴重な経験だったと思います。社会人になってから人事をやるのとは別の気づきや、学生だからこそ価値提供できることなどが学べたかなと。私は入社後は『ナースではたらこ』のキャリアアドバイザーとして配属予定なので、求職者の方の気持ちや、求職者の方への心配りなどは、入社後も忘れないようにしたいです。
西脇:今回のプロジェクトを通して、ディップは「声を上げやすい環境だな」と思いました。自分の意見、アイデアが必ずしも採用されるわけではないですが、みんなが声を上げやすい環境があるからこそ、よりいい企画、いいアイデアが形作られていくんだろうなと思います。
あと、就活生のみなさんに対しては、本当にディップの選考を受けてみてほしいなと思います。僕も就活中はたくさん面接を受けましたし、僕自身もキャリア支援団体で学生の話を聞く機会が多いのですが、ディップのように合否にかかわらずきちんとフィードバックをくれる企業ってなかなかありません。だから、そういったフィードバックが受けられるだけでも、学生にとってはとても貴重な機会だと思います。それに、ディップを知らないまま就活を終えるのは本当にもったいないと本気で思っているので、ぜひたくさんの方に受けてみてほしいですね。