『Adobe Experience Maker Award 2020』受賞!週2~3本の新施策をテストする、バイトルのグロースハックチームとは。

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山下 ロルミス
商品開発本部 メディアプロデュース統括部 バイトルグロースハック部 ▼詳細

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高橋 正憲
商品開発本部 クリエイティブ統括部 制作戦略推進部 制作企画課 ▼詳細

ディップは、アドビ株式会社がオンライン開催したエクスペリエンスカンファレンス「Experience Makers Live」にて、国内における2020年度の『Adobe Experience Maker Award 2020』を受賞しました。今回は、バイトルのグロースハックを担当する山下に、受賞の経緯やグロースハックチームの体制などについて聞きました。

アドビ社のアダプションスコアは世界のTOP1%。

高橋:『Adobe Experience Maker Award 2020』受賞、おめでとうございます!まずはこの賞がどういった賞なのか、教えていただけますか?

山下:アドビ株式会社が、Adobe Experience Cloud製品を利用している日本国内の全企業を対象に、「Adobe Experience Cloudのテクノロジーを活用し、イノベーションに重点に置き、ユーザー体験を第一に考えている企業を表彰するもの」です。Adobe Analytics、Adobe Target、Adobe Audience Manager、Adobe Experience Manager…その他にもプロダクトはいっぱいあるのですが、これらを契約している日本国内の全企業が対象で、私たち企業側がエントリーするのではなく、アドビ社が契約企業の中から活用できている企業を選出し、表彰するというものになっています。

高橋:なるほど。エントリー制ではないのですね。

山下:Adobe Experience Cloud製品を利用している全企業なので、対象としては人材系の競合企業や、大手企業、IT企業などもたくさん入っています。今年はコロナ禍の影響でAdobe Experience Makers Liveというオンラインのイベントでの発表だったのですが、昨年まではAdobe Symposiumというアドビ社が日本で開催する最も大きなイベントの中で表彰する大規模なものでした。

高橋:受賞の知らせを聞いて、いかがでしたか?

山下:事前に受賞の連絡はいただいていたのですが、正直いただけるとは思っていなかったのでびっくりしましたね。ただ、アドビ社のコンサルタントの方と日々コミュニケーションを取る中で、「コンサルに入っている企業の中でもかなり高いレベルで活用できている」とは以前からおっしゃっていただいていて。これだけ多くのメンバーがツールを活用できていたり、施策を決めてからすぐに稼働できる体制が整えられていたり、施策の評価分析がきちんと行えていたり、そういった企業は他社と比べても珍しいようです。

高橋:そうなんですね。

山下:他にも、アドビ社内には「アダプションスコア」という独自の指標があって、そのスコアが世界でもTOP1%に入っていると伺ったこともあります。アダプションスコアというのは、Adobe製品の各機能の利用度などをもとに測定しているスコアらしく、ツールにあるたくさんの機能を活用しながら施策が打てているということかと思います。

2016年から、A/Bテストの専門部署をシステム開発部内に設置。

高橋:他社と比べてうまく施策が回せている、大きな要因は何だと思いますか?

山下:いちばん効いていると思うのは体制ですね。2016年頃にAdobe Targetを導入することが決まり、僕もバイトルのグロースハックを担当するようになって、当時の統括部長とも「もっと施策を高速回転していける体制をつくっていきたいね」という話になって。そこで、システム開発部の方々にお願いして、通常のエンハンスとは別にA/Bテストを高速で回すためのチームをつくってもらったんです。

体制を変更したことにより、施策を速く、たくさん回せるようになり、それによって社内にもナレッジが貯まって、より精度の高い施策を打てるようになっていきました。

高橋:他にも要因はありますか?

山下:体制の話と連動するのですが、分析の練度が高い人が増えてきたことにより、教育環境も少しずつ整ってきたというのはあるかなと思います。ツールを導入した頃はみんな手探りの分析だったのですが、分析をして、課題を見つけて、A/Bテストをして、結果が出たらなぜそれが出たのか分析して、次の施策を打って…とそのスパンが短く回るようになったことで、本人のレベルが上がり、そういったナレッジが部内で共有されることにより周りのメンバーの知見、スキルも上がっていきました。

高橋:なるほど。施策を高速で回す体制を構築したことにより、いろんなものがうまく回りはじめたのですね。

山下:体制を構築した後にバイトルのリニューアルが始まったので、2017年の夏くらいまでは割とそれにかかりっきりになっていたのですが…2018年頃から体制構築の芽が出はじめましたね。

体制構築とナレッジ蓄積で、週2~3本のA/Bテストを実施。

高橋2019年の『Web担当者Forum』さまの記事では「平均して週1くらいで施策を試している」というお話でしたが、今もそれくらいの施策を試されているのですか?

山下:いえ、最近では週2~3本は施策を回すようにしています。

高橋:え!すごい!何か工夫はされているのですか?

山下:施策が偏らないよう注意しています。たとえば試したい施策が100個あったとして、すべて応募フォームの施策だと同時に試すことができなくなってしまいますよね。なのでなるべく施策の箇所が偏らないよう、「こっちではAのテストをして、こっちではBのテストをして」と同時並行でテストできるよう采配には気をつけています。

高橋:そういった施策は、誰がどのように企画しているのですか?

山下:ディップは新卒採用も積極的に行っていて、毎年メディアプロデュース統括部全体で7~8名は入ってきます。2020年度は、その内3名がバイトルグロースハック部に配属になりました。そうなるといきなりサイト全体の施策を考えることは難しいので、「●●さんはこの画面の担当」などと役割を決めて、施策を考えてもらったりしています。ただ、それにも欠点があって、ユーザー体験は本来「線の施策」だと思うのですが、改善箇所を限定してしまうとどうしても「点の施策」になってしまうんですね。なので組織の人数、体制、スキルセットによって担当を付けたり付けなかったり、試行錯誤していますね。

高橋:A/Bテストはどれくらいの期間行っているんですか?

山下:やっている施策によっても違いますが、平均すると1施策につき1~2週間でテストを終了させています。データ量が少ない箇所だと有意差が見られないので、1ヶ月ほど試したりしていますね。

高橋:週に何本も施策を進めるとなると企画も尽きるような気もするのですが…そういったA/Bテストはどのように企画していくんですか?

山下:最近は競合企業をベンチマークするというより、他業種のWebサイトやアプリを見ながら「この機能やUI/UXをウチのサービスに取り入れたらどうなるだろう?」と考えることが多いですね。たとえば世の中的にチャットで相談するWebサイトが増えてきたと思うのですが、だったらバイトルにも導入できないかな、とか。

高橋:なるほど。求人サイトというよりも、いろんなサイトからヒントを得ているのですね。

ビジョンの実現に向け、今後はより高度なパーソナライズ化を目指す。

高橋:最後に、今後の課題や実現したいことなどがあれば教えてください。

山下:もともと、メディアプロデュース統括部のビジョンとして「日本で一番多くの“働きたい人”を助ける手助けをする」を掲げていて、その実現のためにサイトのパーソナライズ化を目指しています。今はレコメンド以外の部分で機械学習を用いた施策が十分に打てていないので、今後はAIや機械学習のナレッジや必要な知識を取り入れながら、より高度なパーソナライズ化を実現していきたいですね。

高橋:具体的なイメージなどはありますか?

山下:これはまだ本当にただの妄想段階なのですが…将来的には仕事を「探す」ということを限りなく少なくしてあげたいです。その人に合った求人案件が限りなく自動で出てきて、最後は「選ぶ」だけの状態にしてあげたい。バイトルが求職者の方のコンシェルジュのような存在になって、その人に寄り添って提案してくれるというか…。

高橋:夢が広がりますね。

山下:とはいえ、「選ぶ」だけの状態にするには現時点での技術力では難しいですし、自分自身の知見もまだまだ足りません。なので少しでも理想の姿に近づけられるよう、この記事を読んで興味を持っていただけた機械学習に強い方、データサイエンティストの方には、ぜひディップにジョインしていただきたいです!

高橋:僕からもぜひお願いします!笑 本日はありがとうございました!

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山下 ロルミス

商品開発本部 メディアプロデュース統括部 バイトルグロースハック部 2014年10月中途入社。前職はゲーム会社にてゲームディレクターを担当。ディップ入社後は『はたらこねっと』の担当を経て、現在は『バイトル』のグロースハックなどを担当。

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高橋 正憲

商品開発本部 クリエイティブ統括部 制作戦略推進部 制作企画課 3代目dip people編集長。2008年に新卒で入社し、進行管理、広告審査室、制作ディレクター、管理職などを経験。2020年4月より現職。