サイト企画部門のトップが語る。『バイトル』の未来図と、目指したい組織の姿。

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進藤 圭
執行役員/商品開発本部 副本部長 ▼詳細

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高橋 正憲
商品開発本部 クリエイティブ統括部 制作戦略推進部 制作企画課 ▼詳細

ディップの主力サービスである『バイトル』。競合サイトがひしめく中で、『バイトル』はどのようなサイトを目指し、どんな未来図を描いているのか。新規事業立ち上げ、次世代事業統括部長などを経験し、2022年3月よりメディアプロデュース統括部長、商品開発本部副本部長に就任した進藤に話を聞いた。

仕事探しの体験を、「ワクワクできるもの」に変えていきたい

高橋:2022年3月より、サイトの企画・運営を行うメディアプロデュース部門の統括部長に就任されました。ディップの屋台骨ともいえる『バイトル』について、今後どのような展望があるのか、お聞かせください。

進藤:ディップの企業理念は「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」ですが、『バイトル』においてもそれは同じです。つまり『バイトル』をとおして仕事探しの体験を「ワクワクするもの」に変えていきたい。今の仕事探しにおける課題を解決していきたいと考えています。

高橋:具体的には?

進藤:『バイトル』はアルバイトやパートなど有期雇用の仕事をメインに扱う求人サイトですが、そもそも「アルバイトとはどのような存在か?」から考えると、さまざまな人にとって仕事の「入口」になるものです。人生で初めてのアルバイトを探している高校生や学生にとってはもちろん、世の中との接点を持つためにパートを探している主婦(夫)さんにとってもそうですよね。

そして、本来は新しい世界を見に行くことは楽しいし、ワクワクするはず。それなのに、アルバイト求人サイトに訪れているユーザーに話を聞くと、みんな真逆なんです。つまり「ワクワクするものを探す」というより、「この条件ならアリかな」「これならまぁOKかな」と消去法で探している人が多いのが現状なんですね。

これらの問題を生み出している原因はさまざまですが、いちばんの理由は「求人サイト」や「仕事探し」がそもそもユーザーの要望が反映されづらい構造にあり、「企業が望むものを一方的に伝える場」になっているからだと考えます。ディップは、『バイトル』は、それを変えていきたい。企業側だけじゃなく、ユーザー側にしっかりと寄り添い、『バイトル』をワクワクしながら仕事探しができるサイトに変えていきたいんです。

高橋:仕事探しの慣習そのものを変えたいと。

進藤:ディップは「インセンティブプロジェクト」と題し、2022年1月よりディップの営業社員に扮したDAIGOさんがユーザーのアルバイト先に時給UPをお願いする「店長、時給上げてください」といったCMを放映していますが、それもその一環です。ユーザーは給与を上げてほしくても、なかなか自分では言えませんよね。だから誰かが代わりに言ってあげる必要がある。実際に、現在ディップでは全国の営業がクライアントに対し時給UPの交渉を行っており、バイトル内で時給UPしている案件数は20万件にのぼります(2022年5月時点)。

とはいえ、そういった大それたことを業界2位や3位のサイトが言っても、影響力には限界があります。『バイトル』は創業当初から「No.1」を目指していますが、そこにこだわるのもそれが理由です。『バイトル』が日本で、いや世界で1位の有期雇用の求人サイトになることで、社会を改善する影響力を身につけ、有期雇用における「仕事探しの課題」を根っこから解決したいと本気で考えています。

高橋:なるほど。

進藤:本当は企業だってワクワクした求職者に応募してもらいたいはずなんです。「こういう人がほしい」という企業と、「こういう仕事がしたい」という求職者。どちらか一方ではなく、両者の想いを重ね、マッチングすることが求人サイトにおいては大切です。

ユーザーが求めているものが、ユーザーが来た瞬間に見つかるサイトに

高橋:「ワクワクできる仕事探し」に向けて、具体的な構想はありますか?

進藤:目指したいのは「ユーザーが求めているものが、ユーザーが来た瞬間に見つかる」サイトです。たとえば通販サイトでいえば「小説を探しているのに写真集が出てくる」「マンガを探したいのに小説が出てくる」みたいな状況では、離脱が起きて当然ですよね。

アルバイト探しにおいては、学生さんも、主婦(夫)さんも、フリーターの方も、まずは自分がよく知っている企業や、イメージできる仕事から見たいはずなんです。でも、残念ながら現状ではそのようなサイトにはなっていません。自分の希望ではない仕事や、知らない仕事、興味のない仕事もたくさん出てきてしまいます。そうではなくて、サイトに来た瞬間に「お、近所のあのお店の求人が出てるな」といった世界を作りたいんです。

方法はいくつかあると思います。たとえば、仕事探しにおいて個人の好みはもちろんさまざまありますが、統計的にはある程度の「みんなに人気の仕事」が存在します。よってサイトのTOP画面にまずはそういった求人を優先的に掲載し、「ユーザーが応募しやすい環境を用意する」のもひとつの手です。

高橋:それだと、人気の仕事に応募が集中しませんか?

進藤:それを解決するのがパーソナライズやレコメンドです。たとえばもくもくと作業するのが好きな方に対して、「あなた、実は製造業が向いてるかもしれませんよ?」といった情報をレコメンドしていく。いわゆる人気のお仕事や、ユーザーが想定していた仕事だけじゃなく、「実はこういうのもいいんじゃない?」ということを、ユーザーの情報や行動データをもとに、サイト側から提案していくんです。

また、ゆくゆくは「バイトルで応募すると、仕事が決まるまで面倒を見てくれる」という世界も目指していきたいです。今、ユーザーにアンケートを取っていて、20代の方は1人5応募くらいするとだいたい仕事が決まるのですが、年齢が上がるにつれ、なかなか仕事が決まらないという問題が起きています。でも、世の中には年齢や経験を問わず採用している企業ももちろんたくさんあって、要はその両者が出会えていないんです。そういったマッチングをうまく『バイトル』側が提案できれば、1人で何十件も応募しなくても、誰だって仕事が決まる状態をつくれるはずです。

高橋:なるほど。

進藤:「まずは身近な気になる仕事に応募してもらう」「それでうまくいかなければレコメンド、パーソナライズされた『思ってもみなかった』仕事に出会ってもらう」「そして仕事が決まるまで徹底的にフォローする」。『バイトル』でこういったことが実現できれば、ユーザーは「いい仕事」に出会え、企業も「人材不足」が解消でき、より良い世の中になっていくのではないかと思います。

とにかくユーザーの声を聴く。そしてユーザーに近い若手に任せる

進藤:いまお話した構想はあくまでもひとつのアイデアです。時代やユーザーの気持ち、世の中の課題は変わり続けますから、常にそれらに適応していくことが大切です。そして、そのために必要なのが「とにかくユーザーの声を聴くこと」です。

2022年3月から私がメディアプロデュース部門の統括部長を務めていますが、現在私たちが進めているプロジェクトについてはどのプロジェクトにおいても必ずユーザーにインタビューとアンケートを実施しています。少なくとも1ヵ月に1~2本は、必ず誰かがユーザーへのインタビューを行っている状態です。今まで『バイトル』では、ユーザーの声を聴く機会を多くはつくれていませんでした。私は新規事業を担当していたときも「フットワーク軽くユーザーの声を聴く」ことを大切にしていたので、『バイトル』など主要サイトを担当するメディアプロデュース部門においても「まずはユーザーの声を聴き、リアルな声をもとにアイデアを考え、検証する」ことを組織の文化にしていきたいと考えています。

また、他の取り組みとしてはとにかく組織が抱えている「業務量を減らす」こと、とくに「ユーザーに対してメリットをもたらさない業務を減らす」ことを徹底しています。ディップは創業から25年が経ち、社員数も2300名を超えました。同規模のほかの企業と比べるとスピード感、ベンチャースピリットともに誇れる自信がありますが、それでもどうしても「以前は必要だったが今は意味が薄れている仕事」「ユーザーの価値にはつながりづらい仕事」も少しずつ増えてしまいます。よって、今年度に入ってからはそういった仕事を棚卸しし、必要がないものは思い切ってなくし、「全員がユーザーにとって価値ある仕事」に取り組める状態を目指し、改善しています。

高橋:素晴らしいですね。ところで、進藤さんとはもう10年以上の付き合いになりますが、昔から「若手がやる」「若手に任せる」を徹底されている印象があります。

進藤:理由はカンタンで、若手メンバーが『バイトル』を利用しているユーザーにもっとも近いからです。プロダクトや施策の企画は、ユーザーをもっとも知る人、ユーザーにもっとも近い人が行うのが最善だと考えています。

また、最近ではそういった若手が「直接経営層にプレゼンできる機会」も増やしています。今まではせっかく若手が企画した施策も、経営層には企画部門の部長格がプレゼンしていることが多くありました。でも、それだと若手が育ちづらいですし、何より若いメンバーのリアルな声や温度感が直接経営に届きません。よって、私が統括部長になってからは、若手メンバーにも執行役員会議などに参加してもらい、自分が企画した施策については直接経営層にプレゼンしてもらっています。同時に「とにかく粗くてもいいから企画を出してほしい」「3~4割の完成度でもまずは企画を出すことが大切」とも伝えていますね。

高橋:なるほど。

進藤:私の今後の役目は、みんなが楽しく仕事ができる環境をつくること。今は仕事が多いのに、人が足りず、評価制度などにも改善の余地があります。そういった環境づくりは組織長である私が行いながら、ユーザーと対話したり、プロダクトや企画を進めるのはユーザーに近いメンバーに任せていく。それが私が目指す組織の姿です。

夢を叶えるには、もっとたくさんの仲間が必要です

高橋:先ほど「人が足りない」というお話もありましたが、採用についてはいかがでしょうか。

進藤:サイトを企画するメディアプロデュース部門も、サイトを開発するエンジニア部門も、新卒中途ともに積極的に採用しており、環境・制度も整備を進めています。

企画職、デザイナー、エンジニアなど、採用を進めている職種はさまざまですが、どの職種においても大事なのは「自分の領域を超えて、ユーザーにフォーカスした仕事ができる」「新しいチャレンジが好き」なことです。先ほどからお話しているとおり、『バイトル』は今後より「ユーザーファースト」を大切にし、ユーザーにもっとも選ばれる求人サイトを目指しています。だからこそ、企画・開発に関わらず、一人ひとりが「ユーザー目線」で考え、「ユーザーファースト」で組織を横断しながら企画を進め、新たな挑戦をし続けていくことが必要です。

また、エンジニア領域においては「軽くて速いサイトをつくるために、データベースをチューニングする」「大量アクセスに対応できるように、引き続き大きなトラフィックをさばく」「何十万人、何百万人ものデータを分析し、レコメンドをつくる」「Webサイトはもちろん、アプリにも注力する」などが大きな課題です。そのため、そういった課題を解決できる方にもぜひディップの仲間として加わっていただきたいです。

高橋:叶えたい夢が大きいからこそ、もっとたくさんの方にディップを知ってもらい、ディップの仲間になってほしいですね。本日はありがとうございました!

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進藤 圭

執行役員/商品開発本部 副本部長 2006年新卒入社。早稲田大学を7年かけ卒業後、ディップに入社。営業職、ディレクター職を経て、開始後3年で15億円の売上に成長した看護師人材紹介「ナースではたらこ」など、40件以上のサービス企画に参加。直近では、AIアクセラレーターやDigital labor force「コボット」を提供するAI・RPA事業がある。書籍「いちばんやさしいRPAの教本」、「いちばんやさしいDXの教本」を執筆。

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高橋 正憲

商品開発本部 クリエイティブ統括部 制作戦略推進部 制作企画課 3代目dip people編集長。2008年に新卒で入社し、進行管理、広告審査室、制作ディレクター、管理職などを経験。2020年4月より現職。