思い通りにならないことも面白がる。ディップ初の定年退職者、間宮さんに聞く【後編】

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間宮 克之
商品開発本部 メディアプロデュース統括部 広告審査室 室長 ▼詳細

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高橋 正憲
企画・統括本部 クリエイティブ統括部 広告制作部 コンテンツプロデュース課 ▼詳細

2021年4月29日、ディップ初の定年退職となる間宮さん。おもに求人広告について語っていただいた前編に続き、後編ではディップのこと、人生のことを聞きました。

ディップの強みは、dreamにあると思う

高橋:ディップに来られてから14年ほど経つわけですが、あらためて感じるディップの強み、良さってどんなところですか?

間宮:新卒1社目も、ルールや仕組みをキッチリするというよりは、みんなでガシャガシャやりながらスピード感を持ってやる風土でしたが、ディップはその数倍スピードがありましたね。今でも毎年加速しているように思います。

高橋:とくに思い出深いことはありますか?

間宮:やっぱり、2010年に社員総出でバイトル動画に取り組んだ“動画祭り”ですかね。あれは信じられないです、今でも(笑)多分、当時中にいた人間100人に聞いたら、100人中100人が本当はうまくいかないと思ってたんじゃないですかね。ムービー機能搭載のスマホが売られはじめた頃で、日常的に誰もが動画を撮るなんていうのはもっと後の時代の話ですから。

当時、僕は制作部の部長で、動画撮影の進行管理もやっていたので今でもそのときのシフト表を持ってますけど、営業や制作だけじゃなく、人事や経理の人たちも、いつどこに撮影に行くかというシフトがちゃんと組まれてるんです。朝から晩まで、撮影、撮影、撮影。営業も、営業活動をストップさせて、撮影を優先していました。よく「全社一丸」とは言いますけど、ここまでやる会社はねぇだろうと(笑)結果、約1ヵ月で2万7000件の動画をアップすることができました。まさに奇跡でしたね。

高橋:何がそうさせるんでしょうね。

間宮:多分dreamだと思います。そもそも、他の会社だったら動画撮影なんてプロに外注しますから。でもディップはまずは自社でやる、社員みんなでやるということにこだわりますよね。ある意味ロマンチストの集団だと僕は思っていますが、冨田社長のお言葉とか、発想とかの根本にある「dreamを大事にする」という、それによって社員のベクトルがそろってくるんじゃないですかね。だからスピードも自然と上がる。

あとは何て言うんですかね、「非常時の生き方」みたいなのがあるじゃないですか。「レジリエンス」と言えばいいんですかね。本来は大震災とかコロナ禍とか、そういった大きな変化が起こったときにどうやって生き抜くかみたいな言葉ですが、それは個人もそうだし、企業も同じだと思っていて。今までのセオリーが効かないシチュエーションで、どう判断して、何を大事にして、どう生き抜いていくかみたいな力を、ディップは持っているんじゃないかなと思います。多分社長がそういうのを創業の頃からずっとやってらっしゃるから。「生命力を持った会社」だというのは、怖いほどに感じます。

高橋:それがディップの強みだと。

間宮:とはいえ、ディップももうすぐ設立25年ですからね。そろそろ「ディップらしさ」を再定義する時期に来ているのかもしれません。そういったときに、「次の20年」を考えるのは昔の人じゃないですよ。今の人のセンスだったり、感性だったり、価値観を大事にしないと。結局その人たちがあと20年経ったときに、会社がどうなってるかという話なので。

でも、周りの若いメンバーを見ていると、ちょっと素直すぎるようにも感じます。もっと自分の考えとか言いたいこととか、ガンガン言わなきゃ駄目って。上の顔色見て話をするような人間になっちゃ終わりだよという話をいつもしてるんですよね。僕は「オープンマインド」と言ってるんですけど。今の人たちは本当にいい意味でも悪い意味でも優等生ですから。とってもいい人たちを人事は採用してるんだなと思いますけど。ある種それが同質化につながってしまうと、ちょっと怖いというか、寂しい気持ちはありますね。

たった100年ばかりの人生。面白がらないともったいない

高橋:前から一度聞いてみたかったのですが、間宮さんって「現場の制作職に戻りたい」と転職したのに、ディップに来てからは割とすぐに部長になられて、組織のマネジメントを任されていますよね。その後も新サイトの立ち上げ、広告審査室の室長と、「制作職以外の仕事」も担当されている。そういったある種の「思い通りにならない人事」に対しては、どのような思いで乗り越えてきたんですか?

間宮:うーん……人事だけじゃないですよ、思い通りにならないのは。皆さんよりちょっと多めに生きているから言うと、恐らくね、「自分の思い通りに生きて大往生しました」なんていう人、世の中絶対いないと思いますね。だから、それは多分、人事だけじゃないんですよ。

もちろん自分で会社をつくったりしたら、それはそれで自分の思った通りになるんでしょうけど、じゃあそれがうまくいくかというと別の話じゃないですか。それで失敗して、路頭に迷うかもしれないわけですよ。

そう考えたら、世の中ってどう転ぼうが、ある意味ではなるようにしかならないし、でも「成らぬは人の為さぬなりけり」ということは絶対にあるんじゃないですかね。

高橋:乗り越えるための、何か秘訣はありますか?

間宮与えられたミッションに対して、どれぐらい「面白がれるか」じゃないですかね。面白がるというのは大事ですよ。興味を持たないと、いわゆる食わず嫌いで終わっちゃうので。だから「面白い」じゃなくて「面白がる」ですね。

さっき(前編)採用の企画を考えるという話をしましたけど、それも一緒で、世の中「面白い会社」ばっかりじゃないですからね。僕は世の中から嫌われているような企業の広告もつくったことがありますけど、そりゃホントは誰も担当したくないですよ。でもやるってなったら、やるしかない。いつも有名企業、人気企業ばかりを担当できるわけじゃないですからね。

だけどそうやって腹をくくって取り組むと、その会社にはその会社のいいところがあるのが分かってくる。どんな会社だって、そこで働いている人が1人でもいる以上は、絶対にいいところがあるんです。やりがいがあるはずなんです。じゃなきゃみんなそこを辞めてますよ。

だから何事も面白がらないと駄目ですよ。せっかく、たった60年か70年、今の若い人たちは100年か。たった100年の人生でしょ。もったいないですよ。面白がらないと。

高橋:なるほど。

間宮:それも、できれば1人で楽しむんじゃなくて、いろんな人と楽しんだり、いろんな人に面白がってもらうほうがいいですよね。やっぱり人を面白がらせる仕事がいちばん面白いですから。そういう意味では芸人というのは究極の仕事だと思うんです。やっぱりあの人たちは、モテるじゃない?みんな知ってるんだよね。人を喜ばせる仕事をしてる人って、やっぱり魅力的なんだよね。

不安と期待と半分ずつ。でも「働かない」という選択肢はない

高橋:最後に、定年退職を迎えられるにあたり、今の率直なお気持ちを伺いたいです。

間宮不安と期待と両方ですかね。ようやく企業勤めを終えて、一気に選択肢が増えるという意味でのワクワク感。一方で、年を取ってくると、だんだん変化が怖くなって、面倒くさくなって、「変わらないほうが居心地がいい」というシェアが高くなってくるんだけど、企業勤めを終えるということは、その安定していた生活がなくなっちゃうわけだから。その不安も少しはあります。

高橋:何かお仕事はされるんですか?

間宮:あー……というか、「仕事をしない」という選択肢はない。仕事しないんだったら、もうお墓の準備した方がいいんじゃない?(笑)

仕事というのは、別にボランティアでもなんでもいいですよ。幸いに、もう高橋くんみたいにガツガツ稼がなくてもよくなっちゃってるんで(笑)もう食えたらいいので、自分たちが。年金もいただけますし、もうローンもないしね。しがらみがないというのはそこのしがらみもないということだからね。

とはいえじゃあ何も仕事をせず、1日ボーっとしてるだけなら、朝目覚めなくていいじゃんっていう(笑)だからその選択肢だけはないですね。今までの経験を生かした仕事なのか、まったく違う仕事なのかはまだ分からないけど、どちらにせよ、これからも何か仕事は続けるつもりです。

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間宮 克之

商品開発本部 メディアプロデュース統括部 広告審査室 室長 2007年3月中途入社。筑波大学 芸術専門学群(視覚伝達デザインコース)一期生。大手求人広告会社に20年勤め、新卒採用、中途採用、新媒体の創刊、代理店の制作などに携わる。その後、インターネット広告代理店の取締役、制作会社のクリエイター職を経て、ディップへ。趣味は80年代のJ-Popsを聴くこと、ミステリー小説を読むこと。

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高橋 正憲

企画・統括本部 クリエイティブ統括部 広告制作部 コンテンツプロデュース課 3代目dip people編集長。2008年に新卒で入社し、進行管理、広告審査室、制作ディレクター、管理職などを経験。2020年4月より現職。Twitter:https://twitter.com/MasanTakahashi