医療・介護・福祉業界の深刻な人手不足。私たちだからこそできる真の価値提供について、事業責任者に聞いてみた。

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北里 友宏
執行役員 エージェントサービスオフィサー兼エージェント事業本部長 ▼詳細

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中村 美月
人事総務本部 採用戦略推進室 ▼詳細

現在の日本における最重要課題の一つ、少子高齢化。それに伴う医療・介護・福祉の人手不足の問題は、今や誰にとっても他人事ではない深刻なものとなっています。ディップでは2009年に看護師専門の人材紹介サービス「ナースではたらこ」を立ち上げて以来、この深刻な社会問題の改善に努めてきました。今回はエージェント事業本部長の北里 友宏(キタザト トモヒロ)さんに、日本の未来に対して我々ディップに何ができるか、お話しいただきました。

人手不足が引き起こす深刻な問題

中村:今日は日本の超高齢社会における医療・介護・福祉の人手不足の問題に焦点を当ててお話を伺いたいと思います。北里さん、まずこの問題の現状についてお話しいただけますか?

北里:日本では、2025年には看護師と介護士併せて約50万人の人手不足が予想されています。では、人が足りないとどのような問題に直面すると思いますか?

中村:適切な医療が受けられなくなってしまう…?

北里:一つはその問題ですよね。人手が足りないことで、必要な人に必要な手が差し伸べられなくなる可能性が考えられます。もう一つは、看護師が疲れ果て、過労による医療ミスが起こるということです。実は、医療ミス件数は年々増加し高止まりしている状況です。では、介護の現場はどうでしょうか?

中村:例えば自分の両親など、代わりに介護をしてくれる方がいないため、自分が担わざるを得なくなってしまうように思います。

北里:まさしくそうです。少子高齢化に伴い働き手は減少、一方介護を受ける人の数は増加していきます。人手不足で施設に入居できないということは介護を担う側、すなわち我々世代の負担が大きくなります。その結果、働き盛りにも関わらず親の介護による離職が年々増加し、その数はついに10万人を超えていくと言われています。ただでさえ人手不足なのに、介護離職により働き手が減少するといったことが起こるわけです。これは日本経済においてとても大きな影響を与えます。

中村:改めてですが、そもそもなぜ医療や介護、福祉業界はこんなにも人手が足りないのでしょう?

北里:大きく2つの理由があります。それは「離職が多い」ことと「業界へチャレンジする人が少ない」ことです。例えば介護職なら、労働時間の割に給与が安い。看護職なら、時間外労働(残業)が多い。こういった要因により離職に繋がっています。そのため、せっかく資格を持っていても、同じ業種に復職したり、この業界に新たにチャレンジしようとする人が少ない状況になっています。

Labor force solution Agentへの進化を

27期社員総会でのプレゼンの様子

中村:これらの問題って私たちのように人材紹介ビジネスを提供している会社であれば解消できる問題のように感じます。

北里:そう思いますよね。ただ、人材紹介ビジネスにおいて重要なのはマッチングだということはお分かりいただけると思いますが、まず先ほど申し上げた通りマッチングさせようにも人がいない。マッチングのしようがないんです。さらに、従来は「条件のみのマッチング」が多くなされていることも事実で、例えば看護師さんの場合、ある病院から次の病院へとスライドしているだけで、人手不足の問題に対して根本的な解決ができていないんですよね。ということは、そもそもこの業界で働く人たちの負を解消しない限り、いくら人材紹介ビジネスがあったとしても日本は良くならないよね、と。

中村:そのような状況を私たちは変えにいこうとしているのですよね。

北里:はい。我々は条件のマッチングだけでなく、看護師さん・介護士さんに新たな選択肢を提供すること、そしてその方のパーソナリティーをクライアントにしっかりと伝えることで、採用の更なる可能性の創出と離職の減少を目指しています。例えば、看護師さんには病院やクリニックだけでなく、今後需要の高まる訪問看護など、多様な選択肢の提案を実際に行っています。また、離職を減らす上で大切なのは、その人が自分らしく活き活きと働ける職場であることです。条件のみのマッチングでは「働きやすさ」「スタッフ同士の人間関係」などといった、目には見えない部分でのミスマッチが生じやすく、結果離職を生んでしまいます。「人材需要の偏在の解消」と「離職を生まないマッチング」を実現していると思っていただければ。

さらに、我々にはコボットをはじめとしたDXサービスがあります。これにより、無駄な作業と残業を減らし、人が人でしかできない仕事に集中できる環境を整えることでも離職を軽減させることができます。

中村:先ほど人手不足の理由として挙げられていた離職と新たな流入の問題を同時に解消していくのですね。たしかにこれは「求人メディア」と「DXサービス」の2つを強みに持つ私たちディップにしかできないことですね。

北里:いわば「Labor force solution Agent」ですね。従来の価値提供からの進化が始まっています。

私たちの仕事は、「人と日本の安心・安全な未来をつなぐ」仕事

中村:これまでお話しいただいたことを実現するために、現在目標にしていることはありますか?

北里:今私たちが目指しているのは、どこよりも医療・介護・福祉業界の人手不足を解消できる存在になるということ。この業界の人手不足により苦しんだり悲しんだりする人を一人でも減らし、希望あふれる未来を創っていきたい、創らねばならないと思っています。

中村:私の周りにも病気や介護などで苦しんでいる人がいます。その人たちを救える可能性が私たちにはあるわけですね。改めてこの事業の意義を感じます。

北里:先日行われたエージェント事業部でのキックオフで、私からメンバー全員にVision(目指す未来)/Mission(存在意義・役割)/Value(大切にする価値観)をお伝えさせていただきました。Visionは「私たちdipは、安心安全で豊かな医療・介護・保育が在り続ける日本の“未来”を実現する」Missionは「私たちdipは、プロフェッショナルとして社会に寄り添い、医療・介護・保育の雇用問題を改善する」Valueは「私たちdipは、医療・介護・保育に関わる全ての人たちの”オンリーワン”パートナーになる」です。これらを実現するためには、クライアントや求職者の皆さんから「いちばんに想起され、選ばれ、信頼され、いちばん多くの最適な”働く”を提案し共に創造する」ことが欠かせません。当社のサービスを通じて、直接関わる求職者だけではなく、その先の医療・介護サービスを受ける人へ価値を届けることが、本質的な価値だと考えます。Labor force solution Agentへと進化し、この大きな社会課題に立ち向かうためには、たくさんの仲間が必要です。なので、30期には1,200名を超えるメンバーでこの課題にチャレンジしていきます。

中村:最後に本記事を読んでいただいている方にメッセージをお願いいたします。

北里:我々、ディップのエージェント事業本部のミッションは、人と企業を繋ぐだけでなく、人と日本の安心・安全な未来をつなぐ仕事です。私たちとともに、本気でより良い社会を創っていきたいと思っていただける方との出会いを楽しみにしています。

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北里 友宏

執行役員 エージェントサービスオフィサー兼エージェント事業本部長 2005年ディップ入社。入社以来、派遣会社・人材サービス会社を主な顧客とするHR領域での営業を担当。2016年にHR事業部長、2018年より執行役員に就任。2021年5月に開始した専門職の総合求人サイト「バイトルPRO」ではプロジェクトリーダーとして、1年間で50万件を超える求人件数の獲得を先導。現在はエージェントサービスオフィサー兼エージェント事業本部長としてエージェント事業(ナースではたらこ)の責任者を務める。

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中村 美月

人事総務本部 採用戦略推進室 2012年入社。2年間営業を経験した後、人事新卒採用チームへ異動。現在は新卒採用マネジャー兼dip people編集長として勤務中。2歳娘を育てるワーママ。