地方移住に興味があるバイトルユーザーは約6割。ディップが目指す地方創生とは。

interviewee

竹内 和喜
企画・統括本部 営業企画統括部 地方創生事業開発室 室長 ▼詳細

冨樫 良樹
企画・統括本部 営業企画統括部 地方創生事業開発室 マネジャー ▼詳細

author

高橋 正憲
商品開発本部 クリエイティブ統括部 制作戦略推進部 制作企画課 ▼詳細

「東京一極集中」という大きな社会課題の解決に向けて、ディップは2017年に地方創生部署を新設。移住体験イベントの開催や、内閣府地方創生推進事務局との連携協定など、さまざまな取り組みを実施してきました。今回は地方創生事業開発室長である竹内と、マネジャーの冨樫に話を聞きました。

バイトルユーザーの多数が移住に興味あり。ディップに何かできないか。

高橋:地方創生事業開発室、存在は知っていたものの、実は何をされているのかイマイチ分かっておらず…。今日はいろいろ教えてください。まず、立ち上げの経緯を教えていただけますか?

竹内:社会問題として「少子高齢化」「東京一極集中」という大きな問題が存在しています。そんなとき、2016年にバイトルに登録いただいているユーザーの方にアンケートを取ったところ4割強の方が「移住に興味がある」という結果が出たんです。

高橋:え?そんなに。

竹内:我々としてもすこし驚きの数値でした。バイトルには移住に興味があるユーザーの方がたくさんいて、地方では後継者や人材不足で悩まれている企業、自治体がたくさんある。この両者をどうにかマッチングできないかという想いで立ち上がったのがそもそもの背景です。

高橋:なるほど。具体的にはどのようなことに取り組まれたのですか?

竹内:まずは2016年、茨城県の笠間市とNTT東日本様、ディップの3社で「移住促進のための連携協力に関わる協定」を結び、地域活性化につながる移住促進策の仕組み構築に向けた共同研究を開始しました。そこで生まれたのが移住体験ツアーです。具体的には町の魅力が伝わる特集ページをディップにて作成し、その内容をバイトルのユーザーにメルマガとして配信しました。実は2016年頃から国も地方創生に力を入れ始め、各自治体も移住体験ツアーなどを開いていたのですが、なかなか人が集まらないという課題があったんです。でもこの笠間市の移住体験ツアーでは定員80名に対し1,150名の方に応募いただくことができ、大反響となりました。結果、笠間市の担当の方からも大きな評価を得ることができたんです。

高橋:すごい。やはりバイトルのユーザーとの親和性が高かったのですね。

竹内:はい。想定以上の効果が出たので、移住体験ツアーを事業の柱として進めていくことになりました。たとえば笠間市では初回とは別の切り口でイベントを開こうとなり、「婚活」を切り口にしてみたり、「子育て」を切り口にしてみたりしました。また、笠間市の反響が良かったため、他の自治体の方からもお声がけいただけました。結果的に、2017年~2019年の間に33の自治体にてイベントを実施し、計75イベント、延べ1,500名以上の方を地域にお連れすることができました。

内閣府と連携し開始した「ふるさと求人」。

高橋:他には何かありますか?

冨樫:2018年より、国のほうで東京から地方への移住者に「移住支援金」を支給する施策検討が進められました。起業すると最大300万円、ふるさと求人に就業すると最大100万円の支援金を受けられるという制度なのですが、就業に関しては民間の求人媒体と連携する方針で検討が進められ、2019年1月、ディップもそのワーキンググループに参画することになりました。そして2019年3月、内閣府地方創生推進事務局と連携協定を締結し、「バイトル」「バイトルNEXT」にて「ふるさと求人」を掲載することになりました。現在では2700件近い求人が載っています(※2020年9月時点)。

高橋:そんな大きな動きがあったのですね。

冨樫:地方への転職を希望する求職者の転職活動をスムーズにし、地方創生に貢献するのはもちろん、「バイトルNEXT」の媒体コンセプトである「不本意非正規として働く人々の正社員化」をサポートしたいという意図もあります。

竹内:2020年1月には日経新聞にも取り上げていただきました。とはいえ、まだまだスタートしたばかりです。実際にふるさと求人を活用してどれくらいの方が移住したのか、ディップの掲載からどれくらいの方が就業して移住に至ったのかなどは、これからしっかり見ていきたいと思っています。

コロナ禍で生まれたオンライン移住&仕事イベント。

高橋:とはいえ、コロナ禍だと「移住」も難しいのでは?

竹内:そうなんです。2020年度からリアルな移住体験ツアーはすべて中止しました。

高橋:そうですよね…。

竹内:でも実は、ユーザーの移住に対する関心はますます高まっていて。2020年6月にバイトルの会員の方にアンケートを取ったところ、約6割の方が地方移住に興味ありという結果が出ました。2019年度の調査より、11ptも上昇しているんです

高橋:たしかに僕もテレワークが中心となってからは、東京に住む必要はないかなと思ったりしました。

竹内:そこでまずは、10月から大分県の暮らしと仕事が体感できるオンラインイベントを開催することになりました。Zoomを使い、町の魅力をVTRで紹介したり、複数の企業を見学できる内容になっています。

冨樫:オンラインとオフライン(リアル)のイベントには、それぞれメリットとデメリットがあると思っていて。オフラインのイベントでは町や企業、人の様子をリアルに体感できるメリットがある一方、どうしてもお連れできる人数が限られてしまうというデメリットがあります。でもオンラインなら数百人、数千人の方に参加いただくことができます。

竹内:有期雇用の方々の都市部から地方への移住の意識は高まっています。今後コロナが収束して落ちついた頃には、徐々に移住も進んでいくと思います。そうなったときにはオンライン、オフラインそれぞれの良さを活かし、ハイブリッド型の方法で地方の求人情報を発信して、就業と移住に貢献していきたいですね。

ユーザーを見続ける。そこからはブレない。

写真左:竹内室長 写真右:冨樫マネジャー

高橋:とはいえ、「東京一極集中」というのはかなり大きな課題ですよね。

冨樫:私は自身の希望で2018年4月にこの部署に異動してきました。バイトルのメディアプロデュース職として会員のアンケートにも携わっていたので、決して簡単に解決できる問題でないことは認識していましたが、ものすごくチャレンジしがいのある取り組みだし、もし自分が持っているスキルが少しでも活かせるのなら是非チャレンジしたいなと思ったのが異動のきっかけです。

異動して2年半近くが経ちましたが、国としても東京一極集中の解決策に兆しが見えていない状態ですし、そんな中でイチ個人、イチ企業にできることが限られているのも分かっています。でもやはり移住に興味があるユーザーが増えているという事実もあって。アンケートを深掘りすると「興味はあるもののどこに移住すればいいかは分からない」という方が7割以上もいます。そういった方々にまずはイメージを持っていただくためのステップをつくっていきたいと思っているし、そのステップをつくることがひとつの解決策につながるのではないかと思っています。

高橋:たしかに、そういったユーザーの方がいるというのはひとつの光明ですよね。

冨樫:「地方創生」というと難しそうに聞こえますが、(当部署での取り組みは)実はバイトルがふだんやっていることと同じだと思っていて。バイトルはユーザーと企業を結ぶのが役割であり、僕らはイベントやWEBサイト、メルマガなどを使ってユーザーと地方の企業や地域を結んでいます。ディップとしては常にユーザーを見ていかなきゃいけないと思っているし、ユーザーのニーズに合わせた取り組みはブラさずにやっていきたいです。

竹内:コロナがなければずっと移住体験ツアーだけを続けていたかもしれません。でもリアルなイベントが開けず直接ユーザーの方をお連れすることができなくなったときに、あらためて自分たちが出すべき成果は何だっけと見直すようになって。今までは「応募者の数」「イベントにお連れした数」を指標にしていましたが、やはり本質的には就業者の数を増やしていきたいんです。

コロナが落ち着き、実際に移住がしやすい環境になってきたら、オンラインでたくさんの方に地方を知っていただく機会を増やしながら、バイトルで地方の求人情報を都市部のユーザーに発信したり、地方就業専門の就職説明会などもできるといいかなと思っています。より成果が出せる事業、組織にしていきたいです

高橋:応援しております!本日はありがとうございました。

interviewee

竹内 和喜

企画・統括本部 営業企画統括部 地方創生事業開発室 室長 2006年2月中途入社。メディア営業部の部長職などを経て、2018年10月より地方創生事業開発室に異動。2019年9月より同室長を担当。

冨樫 良樹

企画・統括本部 営業企画統括部 地方創生事業開発室 マネジャー 2015年2月中途入社。バイトルのメディアプロデュース部門を経て、2018年4月より現職。

author

高橋 正憲

商品開発本部 クリエイティブ統括部 制作戦略推進部 制作企画課 3代目dip people編集長。2008年に新卒で入社し、進行管理、広告審査室、制作ディレクター、管理職などを経験。2020年4月より現職。