SIerからSIerに転職、3社目でディップへ。自社プロダクトの開発に携わるエンジニアになって、今、思うこと。
SIerからSIerに転職し、常駐開発で経験を積み、スキルを磨いて、ディップがキャリア3社目となった藤中雄太さんに聞きました。SIerからSIerへの転職、SIerから自社プロダクトを開発するテック企業への転職は、どのように違うのか。意識、やりがい、手応えには、どのような変化が生じたのか。両方を経験したエンジニアだからこそ気付いたこと、感じたことを打ち明けてもらいます。
SIerでスキルの幅を広げて次のステップへ
吉牟田:今、バイトルに関わる開発に携わっていらっしゃる藤中さんが中途入社されたのは2022年3月。ディップは3社目ということですが、1社目と2社目はそれぞれどのような会社だったのでしょうか。
藤中:新卒入社した会社は、金融、製造、公共、医療と幅広い分野の情報システムを開発するSIerでした。プログラマ、システムエンジニアとして、基幹システムの改修や運用保守、業務支援ツールの作成のほか、機械学習による紐付け検証にも携わりました。2社目はWebシステム、モバイルアプリ、社内システムに加えて、ゲームやVR・ARコンテンツの制作も手掛けていた会社で、サーバサイドエンジニアとしてシステムの新規開発、改修、運用保守に携わったほか、インフラエンジニアとしてAWS技術検証などにも関わりました。
吉牟田:SIerからSIerに移ったわけですが、なぜ転職しようと思ったのですか。
藤中:1社目は取引業界こそ幅広かったものの、基幹システムの改修がメインで、同じような業務の繰り返しになり、違うものに触れたい気持ちが強くなっていきました。2社目は携われる開発に幅があるように感じられて、スキルアップできると思いました。
吉牟田:実際に転職してみて、どうでしたか。
藤中:前々職ではメインの言語がJavaで、ほぼそれだけでしたが、前職ではそれ以外の言語を使う案件も多く、習得を手厚く支援してもらえました。Goを覚えられたのは、そのおかげです。またインフラ構築にもチャレンジさせてもらえて、エンジニアとしてスキルの幅を広げることがができました。振り返ってみると、たくさんのありがたい経験をさせてもらえましたね。
吉牟田:さまざまなクライアントのバラエティに富んだ案件に携われることが、SIerで働く面白さだとよくいわれます。経験値を高めたいのであれば、そのまま落ち着いても良かったのでは。自社プロダクトを手掛けている会社に入ったら、携われる案件が限られてしまいますが、なぜ転職されたのでしょうか。
たくさんの人に利用されるプロダクトを手掛けたい
藤中:確かにそのまま続けていたら、幅広い技術に触れる機会は多かったでしょう。しかし、その一方で、案件に携わり、ある程度の知識を身に付けたところで終わってしまって残念というか、区切りが来てしまう物足りなさがありました。Goをマスターしたら面白くて、この言語を使う開発にじっくり取り組んでいきたい気持ちが強くなり、さらに次のステップを考えるようになりました。一つの案件に長く携わるなかでGoのような新しい言語を積極的に取り入れて、プロダクトの完成度を高めていく。そんな仕事をしたいと思うようになっていったのです。
吉牟田:スキルの幅が広がる経験を重ねていくなかで、「これだ!」と感じた技術と出会って、今度はそれを掘り下げていくみたいな。だったら自社プロダクトを手掛けるテック企業が選択肢になりますね。その中でディップに入社しようと思ったのはなぜですか。また、採用選考はどのように進んでいったのでしょう。
藤中:BtoBの業務サポートだけでなく、生活を支えている、たくさんの人に利用されているプロダクトに携わりたいと考えていたので、バイトル、バイトルPRO、はたらこねっとなどのサービスを展開していることに惹かれました。私の場合は、面接はすべてWebで3回。最初の面接から内定までは2ヵ月ほどでした。まずマネジャーの石川(大祐)さんとテックリードの栗生(和明)さんにお会いして、2回目はエンジニアリングマネジャーの山崎(麻衣子)さん、最後がCTOの豊濱(吉庸)さんと当時の商品開発本部長。「ディップに入って、何をやりたい?」と、ほぼ毎回聞かれたことが印象に残っています。
吉牟田:何と答えましたか?
藤中:どういう言い方をしたかは忘れてしまいましたが、「Goのスキルを発揮したい」「プロダクトの品質を高めるチャレンジがしたい」と、やりたいことはしっかり伝えられたはずです。
バイトルと面接コボットをシームレスに連携
吉牟田:入社してからは、どのような開発に携わってきたのでしょう。
藤中:バイトルと面接コボットをプッシュ型でシームレスに連携させるシステムです。入社がプロジェクトの開始時期とちょうど重なり、最初から加わって、今も続けています。バイトルと面接コボットの両方をご利用いただいているお客様にメリットを提供でき、バイトルへの応募があれば、面接コボットで面接日程の設定までが自動的にできます。たとえば5分おきなど、定期的にバイトルのサーバにアクセスして応募データを取りにいくことで同期させるのがプル型連携。一方、プッシュ型連携なら、応募と同時にデータが面接コボットに届けられます。タイムラグがなくなるだけでなく、サーバ負荷も軽くなり、時間とコストの両面でメリットがあります。
吉牟田:開発に携わるチームの人数はどのくらいですか。またプロジェクトが動いていく中で関わりを持つ部署はどこでしょうか。
藤中:八幡(香)さんがチームリーダーで、エンジニアが私ともう一人の3人体制。開発のピーク時は5人体制でした。開発を進めながら、自由に意見を出し合っていて、最終的には八幡さんが取りまとめてくださいます。インフラを管理するシステム基盤課とのやりとりが数多く発生するほか、バイトルの管理チーム、アカウント認証の関係ではたらこねっとのチームとも連携していて、コミュニケーションする範囲はかなり広いです。
吉牟田:ディップに入社してからの気付きとして、何か実感していることはありますか。
藤中:自社開発のプロダクトをつなげて、自社で提供しているサービスを連携させる。その取り組みが新鮮に感じます。他部署との連携も一体感があるというか、ちょっと表現は難しいのですが、自分たちがお客様に提供しているサービスの質を会社全体で向上させていくような張り合いがありますね。これまでお世話になった会社でも責任感を持って仕事をしてきましたが、感覚がひと味違うというか、より一層、気持ちが引き締まる思いがしています。SIerでも自分から意見を出して開発に携わることはできますが、コストやベンダーとの関係性など、クライアント側の都合で制約があることも多いため、自社プロダクトを手掛ける方が、より自由に柔軟な開発ができるように感じます。
吉牟田:転職先としてSIerと自社プロダクトを手掛ける会社を両方経験しているエンジニアの視点で、それぞれどういう人が向いていると感じますか。
藤中:とにかくいろんなものをつくりたい。多種多様な開発を数多く手掛けて経験値を高めていきたい。そういう人にはSIerが向いているでしょう。製品・サービスに愛着を持ち、より良くしていきたい。そのために新しくて便利になる技術をどんどん取り入れていきたい。そう考える人ならディップのような自社プロダクトを手掛けている会社が合っているのでは。SIerではバラエティに富んだ経験ができるものの、「このやり方を守ってね」と言われる。ディップでは携わるプロダクトは決まっているものの「手法は任せるから」と。入社前の面接で「主体性のある人が活躍している」と聞いていて、実際に働く中で、それが納得できました。
Goのチュートリアルを作って公開したい
吉牟田:転職するにあたって希望していたGoのスキルは発揮できているのでしょうか。
藤中:もちろん入社前に確認しましたし、実際に使っています。プログラミングすること自体が好きなので、言われた通りの作業をするだけでも楽しめるのですが、それだけではなく「こうすればもっと良くなる」というアイデアがある時に提案ができて実現されるので、今、そこに一番やりがいを感じています。
吉牟田:ディップに入って習得した新しい知識やスキルがあれば教えてください。
藤中:前職でAWSの経験はありましたが、LambdaでCI/CDを本格的に運用するのは初めてでした。ディップに入ってからそれらの業務に携わるようになり、Lambdaや自動デプロイする仕組みについて知識を得ることができました。
吉牟田:これからの目標として考えていることはありますか。
藤中:Goのチュートリアルを作って外部に公開できないかと部署で話しています。公式のチュートリアルとして、A Tour of Goがありますが、内容としては入門レベルなので、私たちがHTTPサーバを立ち上げて他のサーバと連携させたり、テストの自動化をしたりした事例をもとにチュートリアルを作って公開したい。Goのスキルを身に付けたいと思っているたくさんのエンジニアに役立ててもらえるはずですし、ディップがGoでの開発に力を入れて、積極的に取り組んでいることを広く伝えられると期待しています。
吉牟田:IT業界に貢献する取り組みといえますね。テック企業としてのアピールにもなりそうです。社員として3社を経験しているエンジニアとして、ディップはどのような会社だと感じていますか?
藤中:リモートで働きながらもエンジニア同士がしっかり連携して技術を追求していますし、テック企業として、キャリアの充実が図れる体制がしっかり整っていると感じます。勉強会への参加、書籍の購入などに年間10万円を補助してもらえる「サポート10(テン)」という制度がありますし、有意義なミーティングだけ残して、不要な打ち合わせはなくして業務を効率化し、開発に充てる時間を増やしていこうといったように、チーム運営にも誰もが意見を言えます。技術向上に意欲的で、自発的に取り組めるエンジニアにとって、恵まれた環境だと感じます。
取材・執筆・撮影/吉牟田 祐司(文章舎 )