2つのエンジニア組織が1つに。1+1=2以上を生み出すために取り組んだこと。

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山崎 麻衣子
システム統括部 システム開発部 グロースエンジニアリング課 課長 ▼詳細

栗生 和明
システム統括部 システム開発部 グロースエンジニアリング課 テックリード ▼詳細

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鈴木 亜依
商品開発本部 クリエイティブ統括部 広告制作部 首都圏制作1課 ▼詳細

2013年中途入社の山崎さん(左)・2012年中途入社の栗生さん(右)。お二人が率いていたエンジニア組織が内製化推進のため2020年9月に統合。メンバー間のコミュニケーション施策や技術の横展開につながる取り組み、組織が目指す方向性について聞いてみました。

内製化に力を入れるため2つの課が統合。背景にあるエンジニア組織の課題とは

鈴木:dipは中期経営戦略「dip2025」の中でも「ガンガン作れる200人体制」を掲げ、エンジニアの内製化に力を入れています。そんな中、中期経営戦略を掲げる前から、先んじてお二人の組織では内製開発を進められていたと伺いました。そのお二人の組織が2020年9月に統合され、グロースエンジニアリング課が生まれたわけですが、どのような経緯で統合に至ったのですか?

山崎:元々は、私と栗生さん、それぞれで内製開発(自社サービスの開発)の組織を持っていました。隣の課同士でしたが、取り組んでいるプロジェクトが違い、関わることがほとんどなかったのです。隣の課で何をやっているのか、どういう技術を使っているのか、どういうエンジニアがいるのかが分からないまま、技術の共有ができておらず、井の中の蛙、成長が止まっていました。せっかくどちらの組織も内製開発をやっているのだから、もっと良くしていく、できることを増やしていくために2つのエンジニア組織を1つにし、グロースエンジニアリング課が生まれました。

鈴木:以前の課では、山崎さんと栗生さんともに課長でしたが、グロースエンジニアリング課ではどのように役割を分けているのですか?

山崎:二人の強みを活かし、私は組織やメンバーのマネジメントを行い、栗生さんは技術や開発プロジェクトをテックリード(技術面のリーダー的役割)として見ていくことにしました。

二人の知恵が生んだ課の目指す道。MVVでメンバーと認識合わせ

鈴木:グロースエンジニアリング課が発足された当初、お二人でMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を作成したと伺いました。作成しようと思った理由は何だったのですか?

山崎:文化が違う2つの組織が1つになる以上、内製化を推進していく上で1+1=2以上にしていきたいという考えがありました。そのためには、分断が起きないように課の指標や目指すものとして、私と栗生さんの考えを言語化する必要があると思ったんです。

鈴木:言語化するために、お二人でどのようなやり取りを行ったのですか?

山崎:「組織が1つになる」と決まった段階から、毎週2人でMTGを行いました。これまで取り組んできたお互いの課の状況や課題などを話し合いながら、MVVに落とし込んでいきました。

栗生:話し合いは難しくなかったですよ。二人の考えで意見が食い違うことはなかったので。

山崎:私と栗生さんはエンジニア職の採用活動に参加しているため、エンジニア組織として大事にしている共通項の認識は一致していました。ただ、明確な言葉になっていなかったため、言語化することにとても悩みました。「このような言い方はどうですか?」「このニュアンスだと違う意味で伝わりそうだよね」など何度かやり取りを行いました。その結果、ミッションは【dipのサービスやプロダクトを発展させる】【dipのエンジニアリングを進化させる】【エンジニアとして成長する/させる】の3つ、ビジョンは【技術を牽引するチーム】になりました。

鈴木:お二人が話し合って完成させたMVVには、行動指針と人間力についての説明があります。この2つが生まれた経緯は何だったのでしょうか?

山崎:特に課のメンバーに大切にしてもらいたかったことが、行動指針にある【チームで最大の成果を目指す】です。最大の成果を目指すためには、まずやってみることが大事で、やりはじめたら改善し続けることも大切。自らチャレンジして試行錯誤していく行動を私たちは推奨しますし、評価すると明示できたらいいなと思い行動指針を作成しました。人間力については栗生さんの案ですね。

栗生:dipの場合、社内の企画部署やマーケティング、デザイナーといった様々な専門スキルを持つメンバーと一緒に仕事を進めていきます。どのように協力しながらプロダクトとしてより良いものを作れるか、を考えていくことが大事になるため、MVVの中に人間力の説明を加えました。

グループワークや診断テスト。初対面メンバーの価値観に触れる取り組み

グロースエンジニアリング課内で自由に会話できるslackチャンネル

鈴木:グロースエンジニアリング課のメンバー間で初対面同士の方もいたと思いますが、初めはどのような交流から始めたのですか?

山崎:お互いの考え方や価値観を知るところから始めました。その一環として、まずはドラッカー風エクササイズをやってみました。4つの質問「自分は何が得意なのか?」「どのように仕事をするのか?」「自分が大切に思う価値は何か?自信を持てるものは何か?」「チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか?」に対して、自分の意見を共有する取り組みです。4つの回答を発表して、質問があればコメントしてもらって…を全員分、行いました。

鈴木:ドラッカー風エクササイズというものがあるのですね!実際に取り組んでみていかがでしたか?

山崎:積極的に取り組んでくれるメンバーが多かったこともあり、「私は褒められたいタイプ」などメンバーそれぞれの価値観や想いを共有することができましたね。

鈴木:全員でワークに取り組むことでお互いを知ることができたのですね。

山崎:さらにお互いの理解を深める取り組みとして、DiSC®にも挑戦してみました。個々の行動特性を4つに分類して、価値観だけでなく行動特性(例えば、動いてから考える人⇔考えてから動く人といった特性など)を知るキッカケになる取り組みです。自分自身の特性を理解し、メンバーの特性も理解することができます。やり方は、簡単な診断テストを受けてもらった後、診断結果で出た特性が同じ人同士でグルーピングします。それぞれのグループごとに自分たちの特性に合わせた取扱説明書を作ってもらい、全体に共有してもらいました。

鈴木:とても面白い取り組みですね!DiSC®を行った後、メンバー間の変化はありましたか?

山崎:お互いの特性を知ることができたので、自然と相談しやすい関係性を築くことができました。普段からslackのチャットで他愛もない話をするだけでなく、技術的なことも共有できていて、全体的に話しやすい雰囲気を作ることができたと思っています。

鈴木:ドラッカー風エクササイズやDiSC®といった取り組みによって、より良い方向に進めているのですね。

山崎:人は環境などによって気持ちが変わるので、1回やって終わりではなく、新しいメンバーが入ってきたら同じ取り組みを行っています。前回からの変化も含めて共有できますし、1回目ですでにお互いを理解している状況なので、よりフランクな雰囲気の中で行うことができます。

メンバーの技術力UPを目指す勉強会やライトニングトーク。学びの意欲を生み出す取り組み

鈴木:メンバー同士のコミュニケーションが活発になってきたところで、学びの機会を定期的に作っていると伺いましたが、どのような目的で始めたのですか?

栗生:コロナ禍によりリモートワークに切り替わったこともあり、メンバーは勉強する機会を求めていました。また、技術を牽引するにあたって、エンジニアひとり一人に対する技術のベースラインを引き上げていくことが必要だと思い、始めた取り組みになります。

鈴木:具体的にはどのような取り組みを行ったのですか?

栗生:たくさんやりましたよ。課内で活動する各チームの技術的な内容、たとえば「どのような開発言語や技術を使っているか」「複数のAWSサービスをどのように組み合わせているか」を共有する会を開催してみたり。テスト駆動開発というやり方を分かりやすく説明している動画をみんなで視聴してみたり。課に限らず部単位でライトニングトーク大会(5分程度のプレゼンテーションの場)を開催したり。「こんなことやってみた!」という事例を自由参加で募ったり。また、私主催でスクラム開発の知っておいたほうがいい知識を、1時間程度でレクチャーすることもありました。

鈴木:様々な学びの機会を通して、メンバーの変化はありましたか?

栗生:各チームがどういうアーキテクチャや技術を使っているのかを共有しあうことができたので、「こういうことに挑戦してみようか」「業務内でこういうことに取り組んだほうがいい」などチームを超えた横のつながりが生まれました。そのおかげもあってか、自主的にメンバー同士でコードリーディング会も始まりました。学びの意欲と次のアクションが生まれているので嬉しいですね。

鈴木:学ぶことに意欲的な方が多く、共有会や勉強会は有意義な時間になったのですね。

栗生:やはり日々の業務が優先になるので、勤務時間内に学びの時間を取るのは難しい場合もあります。ただ、今回のようにまとまった時間を取って、知識や技術をインプットすることができたのは良かったと思っています。

培ったノウハウを他部署へ展開。エンジニア組織の文化を広めていきたい

鈴木:メンバー同士の交流から技術力アップの話まで伺ってきましたが、これまでの取り組み全体を踏まえ、どのような変化が起きたと思いますか?

栗生:中堅社員と若手社員とで刺激を与え合えるようになったことが良いポイントだと思っています。私が以前所属していた課のメンバーは中途社員が多く、山崎さんの課は新卒社員が多かったのですが、中堅社員の中で「若者には負けていられない!」という雰囲気が出てきていますね。

鈴木:素敵です!新卒社員の方からも反応はあったのですか?

山崎:若手社員からは「年上の社員の方に話を聞きやすくなった」「先輩たちと一緒に考えられるようになった」「同じ課の中にいろんな人がいるんだと実感できた」という声がありました。

鈴木:先輩と後輩とで切磋琢磨して取り組んでいるのですね。

山崎:ひとつ一つの取り組みで成果が出たことは良かったのですが、課を超えた横の情報共有だったり、もっと改善できることはまだあると感じています。

栗生:次は継続させることが課題になると思いますね。現在の課メンバーは20名(取材日時点)で、2021年7月で22名に増えます。徐々に大所帯になっていくことを考えると「このままでいいのか」「メンバーを分けるとしたらどのように進めるのか」を考える必要があると思っています。

鈴木:変化する組織体制に合わせて取り組み方を変えていくことが必要になるのですね。そのような課題感がある中で、今後取り組みたいことはありますか?

山崎:これまで様々なことに取り組んできたグロースエンジニアリング課だからこそ培ってきたノウハウがあるので、他の課や部全体に浸透させていきたいと思っています。たとえばバイトルの関連プロジェクトでは、グロースエンジニアリング課だけでなくさまざまな課のメンバーが参加しています。そういったプロジェクトの中で、私たちが得た知見、学びを小出しにして、dipのエンジニア組織をもっと良い組織にしていけたらと思います。

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山崎 麻衣子

システム統括部 システム開発部 グロースエンジニアリング課 課長 エンジニアの経験を活かし腰を据えて幅広くスキルアップしたいと思い、2013年にdipへ中途入社。2020年に発足したグロースエンジニアリング課の課長として活躍中。休日はスキューバダイビングを楽しむなどアクティブな一面も。

栗生 和明

システム統括部 システム開発部 グロースエンジニアリング課 テックリード インターネット上で多くの人を集めるサービスを扱っている会社で働きたいと思い、2012年にdipへ中途入社。2020年に発足したグロースエンジニアリング課のテックリードとして活躍中。 Laravelに関する本を執筆するなど活動の場は広い。

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鈴木 亜依

商品開発本部 クリエイティブ統括部 広告制作部 首都圏制作1課 ライティングや取材撮影、新人育成などを担当。人と話すこと、笑うことが大好き。初対面でも会話が盛り上がれば、もれなく好きになる。