自社CRMアプリ「レコリン」開発秘話 Sansan Innovation Award 2020 Winner’s Story ダイジェスト版
※本記事はSansan Innovation Award 2020 Winner’s Storyのダイジェスト版です。
社内業務の自動化を推進する組織dip Roboticsが旗振り役になりSansanを導入、自社独自の営業活動を効率化するCRMアプリ「レコリン」と連携しています。Sansanで名寄せされた名刺情報を「レコリン」のデータの核として蓄積させたことによりデータの精度向上を実現。また、「使われなければ意味がない」と、営業現場の課題解決を実現することにこだわり続け、営業DX基盤を構築しております。Sansanとのデータ連携により、営業現場に根付いたDXを加速させた点が評価され、「Sansan DIGITALIST Innovator」として選出されました。
上記の取り組みをもとにSansan Innovation Award 2020 Winner’s Storyが掲載されました。ダイジェスト版をDX magazine powered by dipでもご紹介いたします。フル版はSansan Innovation Award 2020にてご確認ください。
「1人が絶対に使いたいと思ってくれるものを作る」レコリン開発担当の話
「自社の営業活動に見合ったものを。」レコリン開発の経緯
ディップが営業のDXに取り組んだのは、2015年に新規事業推進担当だった亀田が社長からの命を受けたのがきっかけです。
当時様々なツールの検討を行いましたが、やはり自社の営業活動に見合ったものを作りたいという思いからCRMアプリ「レコリン」を内製することに踏み切りました。
現場のたった1人に寄り添い、徹底的に課題を洗い出す
亀田 重幸 商品開発本部 次世代事業統括部 dip Robotics 室長
まずは営業現場の課題の把握から始めました。営業担当者の課題を解像度高く把握するために、営業所に自ら足を運び、営業現場の観察を行いました。
その結果いろいろな課題が浮き彫りになってきました。
100人に使ってもらえるものを作っても、誰からも不満が出ないプロダクトを初めから作ることは現実的には不可能です。そこで、まず特定の営業担当者1人に絞り、その人に「毎日使いたい!」と思ってもらえるものを作ることを目指しました。1人に「毎日使いたい!」と思ってもらうことができれば、周囲にも口コミで広まっていきます。
1人の営業担当者のために30〜40個のプロトタイプを作り、フィードバックをもらい、改善を繰り返しながら開発を進めていきました。
Sansanの活用方法
こうして開発されたレコリンですが、社内に精度の高い企業情報がなかったため、Sansanのデータと連携することで正確な企業情報が得られるように改善していきました。
Sansanとの連携のおかげで、アプローチするべき顧客のピックアップを自動でおこなったり、商談履歴を30秒で入力できるようになったり、営業にまつわる業務効率の改善が実現できました。
レコリンはスマートフォンでの利用も可能なため、リモートワークでもスムーズな営業が可能になりました。
レコリンの導入を通して、営業現場のデジタル化が推進されたお陰で、営業担当はもちろん、バックオフィスメンバーや役員のデータ利活用に対する意識も向上したのがディップにとって大きなアップデートになったのではないかと感じます。
現在はdip Roboticsの室長として他の新たな営業DXや、営業のみにとどまらない社内DXの推進にも従事しています。「dip Data Design Lab」の立ち上げも行い、ディップが蓄積したデータを活用して新たなDXを行う取り組みもスタートしました。
レコリンの開発のように、現場に寄り添いながら課題を洗い出し、その課題を解決することで、その人にしかできない仕事に注力してもらえる環境を作るといったことを、ディップのいろいろな場所で行っていきたいと考えています。
本質的な業務により時間を使えるようになった
佐口 創一 エリア事業本部 東日本エリア事業部
新橋営業部 2課 リーダー/採用コンサルタント
商談相手のピックアップや商談履歴の入力、上司への報告など今まで時間のかかっていた営業にまつわる煩雑な業務がなくなり、お客様との商談など営業の本質的な業務に割ける時間が増加しました。
過去の商談履歴などのデータも確認しやすくなったお陰で、過去の商談内容に基づいた行動ができるようになり、成約率も上がったように感じます。
はじめ亀田さんが来ると聞いた時はとても驚きましたが、3ヶ月間寄り添いながら営業をよくするためにどうすれば良いか考え抜いてくれました。
今回の営業DXで導入したレコリンは、当たり前のものとして浸透しており、ディップの営業にとって欠かせない存在となりました。
パソコンを立ち上げる必要があった顧客情報や商談の入力は、スマートフォンで行えるようになり、上司とのコミュニケーションも、スピーディーかつスムーズになった。過去の商談内容に基づいて、顧客にとって最適なタイミングでアプローチすることも実現した。
営業担当だけでなく営業マネジメントにもメリットがあった
延山 淳 企画・統括本部戦略推進統括部 統括部長
レコリン開発以前は他社のCRMを利用し、営業活動の定量的な把握と分析を試みていたのですが、データ入力は営業現場にとって煩雑で面倒臭い業務だったため、データ入力がなかなか進まないという課題がありました。
営業担当者のほとんどがレコリンを使うようになってからは、入力業務の工数が大幅に削減され、「入力されない」という課題は解消されました。
レコリンの導入によってのべ年間6万時間分の工数が削減され、その分営業の本質的な業務に取り組むことができるようになっています。
営業活動のデータが入力されるようになったことで、入力された情報を元にした管理職と営業担当者のコミュニケーションが活発化したことも大きな変化の一つです。営業が入力した情報に対して管理職がフィードバックすることで、営業行動の質が向上しました。
また、営業担当が自身の行動を振り返ることにもつながり、自発的にPDCAを回していけるような状態も作ることができました。
執行役員が語る、レコリン浸透までの道のり
井上 剛恒 執行役員 エリア事業本部 本部長
営業活動を入力する側も見る側も大変だった状況が改善され、良い方向性に向かっていると感じます。
ただ、そこに至るまで、営業DXを浸透させていく道のりは苦労ばかりでした。生産性を高めるために行なっていることでも、その趣旨を理解してもらえないと「ただ工数が増えるだけ」とネガティヴな受け止め方をされることもありました。
ただ指示だけを出すのではなく、「どう便利になって、どう役に立つのか」など背景や目的を根気よく伝え続ける必要がありました。このコミュニケーションを取り続けたことで、徐々にレコリンが浸透していきました。
今後の展望について
企業文化として、ユーザーファーストであることをすごく大事にしています。とにかくユーザーの視点に立って、ユーザーがより便利になること、ユーザーの役に立つことを軸にサービスを展開しています。
私たちが営業活動を行っていくに当たっては、お客様にいち早くアプローチすることが重要です。営業DXによって集まったデータやさまざまな情報を組み合わせて駆使することで、これからニーズが出てくるであろう企業をどこよりも早く察知して、アプローチしていく。まだ着手したばかりですが、データが活用できるようになった今だからこそ取り組める施策だと考えています。
お客様にDXをしっかりと提供していくためには、まずはディップで働く社員一人ひとりがデジタルツールの便利さ・有用性を実感し、使いこなせていることが不可欠です。そして、これからDXを最も必要とするのは、さらに進む労働力不足の影響を一番受けてしまう中小規模の企業だと考えています。労働力不足という課題の解決につながるDXをそういった企業に提供していくことで、社会全体の改善につなげていけると考えています。