代表取締役COO 志立×次世代 DXに関する座談会レポート
ディップ代表取締役COO(最高執行責任者)の志立は、ディップの文化や雰囲気、社員の興味や考えを知り、また、自身のことを社員に知ってもらうため、定期的に全国の各部署と座談会を行っています。この座談会は、事前に社員から上がってきた質問をベースにテーマが決まり、志立と各部署の社員がざっくばらんに対話する、とてもフランクな雰囲気で進行しています。今回は、先日実施された次世代事業統括部の回において、DXにまつわるテーマが取り扱われましたので、その模様をお伝えします。
経営陣が語るDXのポイント:経営にとって、DXとは何か。ディップはDXで何を変革しているのか。
「DXをリードする会社にしたい」- ディップ代表取締役COO 志立の語る社内業務DX事例「カケザンプロジェクト」の舞台裏
業務改善を行う上で必要なマインドやスキル
「業務改善」とは、会社のビジョンを実現するために実行するべきこと
志立:まずは事前に募集した質問の中に、業務改善を行う上で必要なマインド、スキルは何でしょうか?という質問があったのですが、これは次世代事業統括部の方々にはとても大切な考え方になるのでお答えします。そもそも業務改善って何でしたっけ? 改善すべき業務って何でしたっけ? というところまで立ち戻ってみましょう。業務とは会社が成すべき目標のためにやらなきゃいけないことです。会社が成すべき目標が何なのかというと、企業理念にあるとおり「社会を改善する」こと。つまり社会を改善するために業務があるわけです。業務によってどれだけ社会を改善できたのか。それは売上や利益を見れば分かります。売上は「どれだけ社会に改善をお届けできたのか」を示す数字です。「社会を改善した価値がどれだけあったのか」は利益に現れます。つまり業務改善とは、売上と利益をより高めるためにすることだと定義できますね。
ディップにおいては、企業理念である「社会の改善」につながることこそが、業務改善の本質
志立:テクノロジーを導入して「業務に関わる人たちが楽になったね」「業務プロセスがシンプルになって分かりやすいね」「最新のツールが入れられて良かったね」というのは、よくありがちな業務改善の過ちです。テクノロジーの導入は手段であって目的ではありません。たとえ人手がかかっても、最新のツールを使っていなくても、売上利益の改善、すなわち企業理念である「社会の改善」につながるよう進化することが、業務改善の本質です。この業務改善の本質を正しく理解すること。理解した上で、売上利益の改善を最短距離で実現するための手段としてテクノロジーの進化を活用していくこと。これが業務改善に必要なマインドだといえるでしょう。
業務改善に必要な3つのスキル
志立:次にスキル。業務改善に必要なスキルには幾つかありますが、そのうちの3つを紹介します。1つ目は、現状の業務を正しく理解するスキル。2つ目は、理解した現状の業務と、最新のテクノロジーを上手く組み合わせることで、売上や利益を大きくし、社会をより改善するためのプランを立てるスキル。そして3つ目は、プランを実際にやりきって正しく成果を出すスキルです。
業務改善において内製と外製のバランスをどう取るか
西野:社内の業務改善において、内製することと、外製のものを使うバランスについてどう判断したら良いのかを志立さんに伺ってみたいです。今後のシステムの採用方針の参考にさせていただきたいです。内製するとカスタマイズできますが、開発や保守、運用に手がかかります。外製のものをつかうとすでに完成している優れた製品を使うことができますが、カスタマイズ性に限界があるなど、どちらもそれぞれメリット・デメリットがあります。また、拡張性の高い外部のサービスを使うと気が付くと複雑化して手に負えなくなってしまうということもあるので、どうバランスを取っていけばいいのかなということが気になっています。
志立:内製のものは色々なカスタマイズに対応できるけど手間がかかりますし、世の中のSaaSはどんどん進化しているので、それについていけなければすぐに古臭い仕組みになってしまいます。一方で外製のものはカスタマイズできない仕組みを使うので、かゆいところには手が届かず、社員の不満に繋がるのではないかという不安があるということですよね。
西野:はい、まったくその通りで、どちらを選べば良いのか悩ましく感じています。
判断軸は「より業務改善に繋がる方を選ぶ」こと
志立:これも前の質問と同じで、「どちらを選べばより業務改善に繋がるのか?」、つまり「どちらを選べばより社会を改善できるのか?」というところを判断基準にしましょう。たとえば、カスタマイズすることで社会を改善するちからを決定的に伸ばせるもの、同業他社との差別化ポイントになるものであれば、それは工数がかかろうと自分たちで作った方が良いです。なぜなら、僕らが本質的な強みだと思っているものを標準化して、どこかのSaaSに合わせてしまうのは、それは僕らの本質的な強みを捨てることになるからです。一方で、財務会計などルールがしっかりと決まっているものであれば、わざわざ自分たちで作る必要はありません。どちらにも利点があるので、それぞれを適切なところに当てはめていけばいいと思います。
BIツールを使うのが目的ではない。データを活用できる組織の作り方
亀田:私からデータサイエンスに関するリテラシー教育の話についてお聞きしたいなと思っています。昨年志立さんと、営業がもっとデータを使いやすい環境にしたいと話してきました。お客様のフォローに必要な応募数やアクセス数を、いちいちデータを取りに行って集計して資料化するのではなく、ボタンひとつでその場で引き出せる世界観が作りたいと。まさにそれが出来る環境がいま整ってきています。ただ、その一方で、営業データ欲しいとは言っても、やっぱり自分でデータを使えている人はほんとうにごく一部だと痛感しています。このような現状の打開策としてリテラシー教育を展開することが1つ有効だと考えているのですが、志立さんの経験上、普及に際して乗り越えなけらばならない課題や成功のための秘訣などがあれば教えてほしいです。
まず、一部のやる気のある人からデータリテラシー教育をはじめ、成功事例を作る
志立:これまでの経験上、高いリテラシーを持ち、BIツールの使い方を分かっている人は、最初の段階ではごくごく一部しかいません。以前所属していた会社で、データを使える人を増やすために、僕が行ったことは2つです。まず1つ。社内で一番詳しい人のところに、興味があってやる気がある人を30人ぐらいほど集めて、データリテラシー教育をやりました。「そもそもAIとかとかディープラーニングとは?」って話から、実際にBIツールを触ってみるところまで、徹底的にです。そして教育プログラムの最後にコンテストをやりました。「そのデータを活用してこんなインサイトが分かってこういうオポチュニティがあるよ」「だからこう変わっていきたいです、こんなツールをください」「この現場にこんなチームを作ったほうがいいです」みたいなプレゼンテーションをしてもらったんですね。これがなかなか良くて、出てきたものを実際にやってみると、成功事例がそれなりに作れました。
成功事例ができたら、ツールを一本化し全社に拡大
志立:成功事例が出てくると「あのエリアでこんなふうにやったなら、うちでもやろう」という形で広がっていき、リテラシーがそこそこの人でもBIツールを活用できるようになります。そうすると何が起こったのかというと、2年後にはBIツールが5種類ぐらい色んなところで動いているという状態になってきました。そこでBIツールを統一した、というのが2つ目の行動です。「基本的にはこれを使ってくださいね」ということで全社でライセンスを取り、やがてそれが全社で使われるようになっていきました。ここまで普通は3年から5年ぐらいかかることなんですが、ディップではこれを半年ぐらいでやりたいと考えています。営業みんなが喜んでBIツールを活用しているというふうにできれば、それは日本の中でもすごく突き抜けた営業組織になると思うので、1年後にそういうところに達していたら最高なんじゃないかと思います。どうでしょうか、イメージは湧きますか?
亀田:すごくわきました。プロダクトの普及推進のやり方と似た部分もあり、頭の中でつながったように感じます。
志立:プロダクトの導入なんかも強制的にやらされたら苦痛以外の何物でもないので、ぜったいやりたい人だけにまずやらせて、その人がデータを活用して売れまくるまでやる。業務改善というのは、結果を出さないと何の意味にもならないし、ただかっこいいことやってても無意味だから。だから、BIツール使いこなすのが目的じゃなくて、それによって圧倒的にパフォーマンスが上がるのを見せつけるところまで責任持ってやっていくのがいいんじゃないでしょうか。
亀田:早速プランに落とし込んでいきたいと思います。ありがとうございます!