AIエージェント開発にさらなる加速!ディップ技術研究所にコンサルファーム出身のデータサイエンティスト橘信幸さんがジョイン!(Part2)

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橘 信幸
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dip people編集部
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2月よりディップ技術研究所所にジョインした橘 信幸さんはデータサイエンティストで、「AIエージェント事業」の開発を加速させるキーパーソンとなる方です。ディップ技術研究所所長の岡本 周之さんによるインタビューのPart2です!(Part1はこちら

AIエージェント事業への「本気度」がディップに転職した決め手

岡本:ところで、ディップに転職を決めた背景を教えていただけますか?

橘:BCGでいろいろなプロジェクトに挑戦して、やりきった感じがあったのが転職理由の一つです。さらに「ChatGPTに対する世間の受け止め方」っていうのも影響してまして。思いのほか世間の受け止めが好意的で、今後は生成AIの技術開発が進んで、ChatGPTのようなプロダクトがどんどん出てくるだろうと思ったんです。それで自分の経験を生かせる領域で面白い挑戦ができるところという観点で事業会社を探し始めました。

岡本:なぜ人材業界に興味をもったんですか?

橘:いろんな業界のデータ分析をしてきたんですが、面白いなと思ったのは人材系とヘルスケア系でした。人材系では人事評価や仕事とのマッチングなどの分析をしたことがあって、その時はあまり精度が出なかったんです。キャリアエージェントに協力してもらって実験してみると、そもそも人の手でやっているマッチングもあまり精度が高くないってことが分かったんです。だから、「判断するためのデータが全然足りていないんだろうな」という想いがあって、データの取得の仕方というところからすべて込みでマッチングをつくれると大きくブレイクスルーするんじゃないかなと思って。そういった経緯で、未開拓の部分が多く楽しそうな領域だと感じてヘルスケアと人材系の2軸で転職先を探していたんです。

それに加えて、AIを使ってやろうとしてる事業そのものが面白いかどうかも必須条件でした。さらに、それらに加えて「経営層の本気度」も重視していました。私が見た中ではどこよりもdipが一番本気で面白いことをやろうとしているなという雰囲気だったんです。

岡本:私も同じ感覚で入社してます。先端技術やその使いこなしを強みにしてビジネスをやろうとしている企業で働きたかったからディップに入ったんです。

橘:はなから経営層が先端技術に興味がなく、テクノロジーの可能性すら信じてないところでAI導入を働きかけるのはものすごく大変です。

岡本:ただ、ChatGPTが起こした変革はあまりに大きく、人の仕事が奪われるんじゃないかという警戒心や恐怖心を覚える人もいます。その一方で、AIにポテンシャルを感じる人は、「とんでもないことができそうだ」という期待値が膨らみすぎた状態もあったりして、現段階は複雑な感情が入り混じりAIへの誤解を生みやすい状況だと言えるのかもしれません。

橘:AIへの期待値が高く、いろんなことをやりたいっていう発想がないと、そもそも現実は進化しないという一面もあるので、そのこと自体はいいと思うんです。しかし、期待度が高すぎて現実を見てがっかりして、急に興味をなくす状態というのは避けたいですね。

AIに対する期待と現実

岡本:ChatGPTはAIの世界を大きく変えた印象がありますか?

橘:影響は大きかったと思います。いつかはChatGPTのようなAIが登場するだろうと思っていましたが、予想よりかなり早かったです。進化のスピードに驚きがあるとともに、「これでいろんな問題解決ができるな」っていうワクワク感もあります。

岡本:生成AIの未来にどんな変化を期待しますか?

橘:もっとコントロールしやすいChatGPTが出ると嬉しいですね。あと現状のChatGPTはまだまだ応答精度が足りておらず、今後の進化に期待したいです。少し余談になりますが、ChatGPTの元になっている言語モデルは「質問に答える」ってことを重視して設計されていないんですね。そもそも「深層学習」も含めた「機械学習」のアルゴリズムは経験的に良い結果が出るとわかっているのですが、理論的になぜ良い結果を導き出せるのか解明されていない。一方で、画像や自然言語の分野がわかりやすいのですが、深層学習で一気に精度が上がり大きなブレイクスルーとなりました。以降、深層学習がどんどん研究されて今日に至っています。

岡本:効果が出るのはわかっているが、なぜそうなのか複雑すぎて説明できないんですよね。ある意味ブラックボックス。

橘:ただ一般の方からすると「ChatGPTはいつもいい感じに答えてくれるから、大抵の回答は正解だと思ってしまう」みたいな感覚があって。そこの感覚はわかるんですけど、技術的にはそうじゃないっていうところも伝えつつ、なおかつユーザーの体験を損なわないようなサービスを作らないと浸透しないんだろうなと考えながらやっています。

岡本:AIは万能だという「AI神話」のような状態もある中で、事業オーナーの期待値とのギャップ調整も必要になってきますよね?

橘:そうですね。やはり何を基準に置くかが大事なので、人の手でやっていた時の精度がどれぐらいで、それと比較した場合に、アルゴリズムやAIを活用すると精度がどのくらい向上したかを見てほしいですね。例えば、需要予測であったり、職場での定着率などの予測をする場合も、AIに対して過度な期待をして「予測を外さないでください」と言うクライアントがたまにいらっしゃるんです。そういう場合は「人の手でやると誤差20%だったものをAIで誤差10%にできたら、それはインパクトがありますよね」という風にご説明していました。データサイエンティストといえども、そういうビジネスの話っていうのはちゃんとしないと、かえって成果に結びつかないというのをいろいろと経験してきましたね。

意思の主体は人であり、AIは道具に過ぎない

岡本:ディップのAIを活用した取り組みの強みはどこにあると思いますか?

橘:ディップの強みはやはり営業なんですよ。直販が中心で、大勢の営業の方が現場の店長さんとか、オーナーさんと直接会話をして生のデータを取ってくれるっていうところ。そのようなデータと合わせて、コボットなどで勤怠状態などもすべて紐づけてデータを取ることで、働く人と雇用側の両方にとって幸せなマッチングを実現できれば面白いなと考えています。

岡本:結局のところ、AIや深層学習、ビッグデータなどあらゆる面で、そこに入れるデータが良質であることが大前提なんです。ディップは営業さんが普段から店長さんやオーナーさん、もしくは求職者の方と直接対話して信頼関係を築いている。社内に受け継がれてきた営業スタイルそのものに、ものすごく価値があるんですよね。
「ディップさんにしか教えてくれない秘密情報」というのが高いマッチングを実現するキーポイントになっていく。クライアントと信頼関係が結ばれて「実はうちの店これ困ってるんですよ」「この辺何とかなりませんかね」などと相談されている部分、それは現在では求人原稿に表れてはいないかもしれないけど、それが今後ものすごく効いてくる時がくる。そうした「ディップだからできる価値の高い営業力」があることこそがディップの強みであり、ディップが「AIエージェント」を作る意味なのだと思います。

橘:そういう意味でも「AIはあくまでも道具」だということです。AIは絶対に意思の主体にはならないんですよ。AIに主役が移動するわけではない。例えばお客さんを支援したり、同じ目標に向けて伴走したりという部分は、あくまで人間じゃないとできない。「意思の主体」として営業さんが頑張るにあたって、仕事がより便利になる道具をAIなどで作ってお渡ししたいですね。

岡本:仕事の「How」は時代の要請で変わるし、「What」も変わっていくかもしれないけど、「Why」の部分、ディップのめざすべきフィロソフィーの理念は絶対に変わらないんです。

橘:そうですよね。逆にそこが他社との差別要因になってくる。

岡本:我々が取り組んでいる「ディップ技術研究所」の仕事は、ビジネスとして会社を盛り上げていく実用化に向けた開発です。実践的で多彩な知見をお持ちの橘さんにご活躍いただくことで開発にも弾みがつき、「AIエージェント」の詳細な内容は近いうちに社員のみなさんにも発表できると思いますのでご期待ください!

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橘 信幸

大学卒業後、(株)ブレインパッドでデータサイエンティストとしてAIプロジェクトに7年間携わる。2019年にボストン・コンサルティング・グループに転職して、AIエキスパートとしてAI/DX戦略の高度化に従事。金融や官公庁、人材、メディカルなど多様なプロジェクトで戦略の策定から、AIの初期版の開発を担当して事業の実現までをサポート。

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dip people編集部

『dip people』の企画・運用・制作を行い、ディップの情報を社外へ発信しています。