たった1人ではじめた営業のDX化。 組織を拡大し、次は全社のDXに挑む。

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亀田 重幸
商品開発本部 次世代事業統括部 dip Robotics ▼詳細

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高橋 正憲
企画・統括本部 クリエイティブ統括部 広告制作部 コンテンツプロデュース課 ▼詳細

「テクノロジーで営業を支援する」そんな想いから生まれたディップ独自のCRMアプリ「レコリン」。レコリンはいかにして生まれ、今後どのような展開を見せるのか。社内業務の自動化を推進する「dip Robotics」で室長をつとめ、近日『いちばんやさしいDXの教本』を上梓する亀田に話を聞きました。

たった1人ではじめた、営業のDX化。

高橋:ディップでは、2019年7月に「営業社員が今日訪問すべき企業を自動でお知らせ」してくれるという独自CRMアプリ「レコリン」を開発・導入していますよね。この企画・開発に亀田さんが関わったとのことですが、もともとどのような経緯で生まれたんですか?

亀田:僕は2007年にインフラエンジニアとしてディップに入り、そのあとはバイトルのiPhoneアプリの開発、新規事業開発などを担当していました。どの仕事においても、軸にあるのは「テクノロジーで課題解決したい」という想いです。それまではエンジニアとして、PMとして、「サービス」や「新規事業」という形で外に目を向けていましたが、それまでの知見・経験を「社内」にも活かせないかな?と思ったんです。

高橋:というと?

亀田:たとえば当時から営業現場ではCRMを導入していましたが、使い勝手が悪いのかあまり活用されておらず、個々人の営業がExcelやメモ帳、場合によっては頭の中で情報を管理しているという話を聞いていました。こういったところにテクノロジーを活用できれば、営業も営業活動がもっとラクになり、生産性が上がるんじゃないかと考えたんです。

高橋:なるほど。

亀田:とはいえ、新規事業の経験から、いきなり大きく動かすのではなく、まずは最小・最速ではじめてみようとなりました。そこで2015年、まずはCRMに貯まっているデータを解析するところから、1人で営業のDX化をはじめることにしたんです。

 

AIの知見を貯めるためにはじめた『AINOW』。

高橋:ちなみに、同時にAIの専門メディアである『AINOW(エーアイナウ)』の立ち上げも進められていたようですが、これにはどういった経緯があったんですか?

亀田:エンジニアやPMとして、ITの開発経験はあったものの、AIについては未知の領域でした。でもDXをはじめ、今後テクノロジーで課題解決するからにはAIの知見は必須だと考えたんです。なので「AIで何ができるのか」「現場ではどのように活用されているのか」を第一人者の方から教えていただくために、『AINOW』というメディアを立ち上げることにしました。当時、AIが流行りはじめていたものの、有力なキュレーションサイトはなかったので、メディアを立ち上げる価値はあるとも思ったんです。ちなみに制作費用は30万円、期間は40日くらいでつくりました(笑)

高橋:すごい(笑)

亀田:そこからはひたすらに足を使って、たくさんの企業に取材に行きましたね。「AIは具体的に何をどこまでできるのか」「今、どんな形で活用されているのか」とにかく生の情報を集めていきました。立ち上げから1年くらいの間に、およそ100社くらいは取材したと思います。

高橋:『AINOW』の立ち上げは知っていましたが、裏側にはそんな理由があったのですね。

亀田:ちなみに、立ち上げ当初から編集長を担当していましたが、2019年10月には後輩の「おざけん」にバトンタッチしています(退任エントリーはコチラ)。

 

現場へのヒアリングを重ね、見えてきた現場の課題感。

高橋:『AINOW』でAIの知見を貯めつつ、現場へのヒアリングを重ねていったとか。

亀田:各営業オフィスをまわり、メンバーや管理職にヒアリングをしたり、営業の商談現場に同席させてもらったり、ときには飲み会にも参加して、とにかく「現場を知る」ことに注力しました。CRMはあるのに、なぜ入力が徹底されていないのか。現場ではどのような課題感があるのか。それらをヒアリングや観察を通して、進めていきました。

高橋:どんなことが分かったんですか?

亀田:まずは入力が面倒なこと。当時のCRMはPCでしか入力できなかったので、営業メンバーは商談を終えた後、オフィスに帰社したりカフェに入らないと商談内容も入れられない状態でした。また、入力の面倒さからCRMへの入力が徹底されておらず、顧客リストも精査されていませんでした。

そういった経緯もあり、「商談を入れやすい」「顧客を探しやすい」「早く上長に報告できる」といった機能に重きを置き、専用のスマホアプリ「レコリン」を開発することにしたんです。

高橋:なるほど。たとえば「スマホ対応の他社のCRMに切り替える」なども選択肢としてはあったんですか?

亀田:もちろんありました。ただ、ディップの営業スタイルにそのまま当てはめるのが難しかったのと、過去にいろんなツールを導入し、現場からは新しいツールへの拒否反応が生まれていたので、自社で独自に開発することを決めました。

高橋:レコリンの開発には、そういった経緯があったのですね。

 

レコリンの成功。そして「dip Robotics」の組織拡大へ。

高橋:レコリンの反響、効果はいかがですか?

亀田:おかげさまで、レコリンに登録されているデータは旧CRMの3倍に増え利用率は最高で99.7%に達しました。また、顧客探索と商談入力業務にかかる時間を従来の半分に削減できました。全社で年間約60,000時間以上の削減に相当します。

とあるオフィスを訪れた際に、営業メンバーに「レコリンがない営業なんて想像できません」と言ってもらえ、とてもうれしかったですね。

高橋:それはうれしいですね。当初はお1人ではじめたとのことですが、今は「dip Robotics」というひとつの組織になっていますよね。

亀田:今は僕が室長をやっていて、兼務のメンバーも合わせると21名の組織になりました。レコリンの改修・改善や、プロジェクトを組んで社内のRPA化を進めたりしています。2020年現在は、社内で年間約21万時間分の業務削減にも成功しました。

高橋:それはすごい。今後の展望はありますか?

亀田:1つ目はレコリンをもっと進化させ、営業を究極的にラクにしたいと思っています。シンプルに言うならレコリンで営業を完結できるようにしたい。
たとえば商談・受注内容の記録はもちろん、申込書の作成を受注報告と連動させるとか、原稿作成もその場でもっとラクにできるようにならないかなとか、そういったことを考えています。

高橋:それはとてもいいですね。もう1つは?

亀田「データの分析・活用」です。プレスリリースを出したのは2019年ですが、レコリン自体は2018年頃からテスト的に運用していました。そのため、当初の目的である「データの蓄積」も2年ほど貯まっていることになります。このデータを有効に使い、営業の生産性をもっと高められないかなと思っています。

高橋:具体的にはどのように活用されていくのですか?

亀田:今考えているのは“管理職版”レコリンです。たとえばアポ数が未達のメンバーがいたら何をアドバイスすればいいのか、提案はたくさんしているけど受注につながっていない場合は何をアドバイスすればいいのか、どこをアドバイスすれば売上につながるのか。こういった判断をデータをもとに分析し、管理職に提案できる仕組みをつくっていきたいです。

高橋:それはすごいですね。

亀田:実は機能自体はいくつかできあがっていて、今は管理職へのヒアリングを重ねながら、機能を絞り、テストしていこうという段階です。早ければ10月には第1弾をリリースしたいと考えています。

今は「営業の課題解決」ということでレコリンをメインに進めていますが、ディップが事業ドメインを拡大し、“Labor force solution company”へと進化するにあたり、実は社内システムをふくめさまざまな改善が必要になってきます。今後は、そういった「ディップの課題解決」「全社のDX(デジタルトランスフォーメーション)化」にも着手していく予定です。

高橋:すごく興味深いです。その話もぜひまた聞かせてください!本日はありがとうございました。

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亀田 重幸

商品開発本部 次世代事業統括部 dip Robotics 2007年新卒入社 。インフラエンジニア、「バイトルアプリ」のプロダクトオーナーを経て、新規事業開発を担当。現在はdip Roboticsの室長としてチームを牽引し、営業のデジタルトランスフォーメーションに従事。趣味は日本酒とゲームをすること。

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高橋 正憲

企画・統括本部 クリエイティブ統括部 広告制作部 コンテンツプロデュース課 3代目dip people編集長。2008年に新卒で入社し、進行管理、広告審査室、制作ディレクター、管理職などを経験。2020年4月より現職。Twitter:https://twitter.com/MasanTakahashi

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