DXがもたらす労働の変化 -「人×デジタル」で新しい働き方を目指す
近年のAI・RPAをはじめとしたデジタル技術の発展はめざましく、私たちの日常生活の中にも広く浸透してきています。そうした最先端のデジタルを活用した動きはビジネスにも広まっています。
少子高齢化が進み労働力人口の大幅な減少が見込まれる日本では、労働環境の改善や生産性の向上を狙った「働き方改革」がさまざまな企業で行われています。その施策の1つに「DX」が挙げられます。新型コロナウイルスの感染拡大でリモートワークが主流となり、DXという言葉は頻繁に聞かれるようになりました。データとデジタル技術の活用で業務の自動化・効率化が進み、さらには組織やビジネスモデルまで変革することで新たな価値を生み出すことができます。すると、人の働き方も大きく変わり、これまでとは異なる活躍が求められています。
こうした労働の変化は、人材サービスを提供してきたディップにも影響を及ぼしてきました。これまでディップでは、労働⼒の問題を、”⼈を募集し採⽤する”という⾯から解決・改善してきました。しかし上記のような社会変化とデジタルの発展により、これまでの人の提供だけでは企業の労働力を補うことはできなくなっており、人材業界も大きな転換点に立たされています。
今回の記事ではデジタル技術が雇用と人材業界にどういった影響を与えるのか、またディップの新たな労働力提供への取り組みを紹介します。
デジタルの発展で起きる労働の変化
2015年12月、野村総合研究所と英オックスフォード大学の共同研究で、「2030〜2040年には日本の労働人口の約49%が就いている職業において、AIやロボットに代替することが可能である」という内容が発表されました。
また、野村総合研究所は、この発表と同時にAIやロボットに代替される可能性が高い職業も発表していました。(下図)単純作業やルーティンワークが主な職が挙げられています。
この研究結果に示される2030年まであと10年を切りました。実際に日本の労働・求人はどのように変化していくのでしょう。
日本企業のデジタル技術への投資動向・求人動向
現在のコロナ禍においても企業のIT投資の方向性が大きく変わることはなさそうです。
株式会社矢野経済研究所の法人を対象としたアンケート調査によると、2020年度では、新型コロナウイルスの影響を受け、IT投資計画の先送り/見送りや売り上げに繋がる積極的な取り組みは減少したようです。一方で、「働き方改革」への投資は大きく増加しています。テレワーク環境の整備に向けた設備投資が好調であることや、大企業を中心に大規模システムの刷新/公開が概ね予定通りに実行されるなどプラスの要因もあると発表しています。
今後は、経済の回復や働き方改革の推進、5Gの普及、セキュリティ強化の必要性などから企業のIT市場規模は緩やかに成長していくことが見込まれています。
また、リクルートキャリアによると、DX関連の求人はコロナ禍で業界問わず急増しており、2021年もこの傾向が続くと予測しています。特にIT・通信業界では、デジタル技術の進展に付いていく、学びつづけることができる人材が求められ、1業種だけではない幅広い知識のある「DX人材」が求められていると言えます。
つまり、現代の企業はDX化を進めるためにツールの導入はもちろんITを扱うことができる人材の確保にも力を入れ始めています。
DXがもたらす雇用・人材業界への影響
こうした社会の動きは求職者、および求人を紹介する人材業界に大きな影響をもたらしています。ここからはその変化を2つ挙げて説明していきます。
労働力の定義が変わる
労働力の定義が、いままでは「人」であったのが「人+デジタル技術」に変わります。
これは、労働力人口の減少とデジタル化によって求められるニーズが多様化していることが要因として考えられます。人を雇って行なっていた事務作業などをRPAを活用して自動化することでより早く、正確に処理することができるようになります。
また、そうして生み出した時間を他の付加価値の高い業務へと移すことが可能になります。例えば、パーソナライズ化した製品の開発、提供で顧客体験を向上させたりと、これまでにはなかったニーズにも対応ができるようになります。
人が行なっていた単純業務をデジタル技術に代替し、人は他の業務でより生産性の高い仕事を行うことがこれからの働き方と言えます。
人材業界が提供するものの変化 -「人」と「デジタル」の両面からサポート
人を紹介してきた人材業界にも変革が起こっています。人材不足に悩む企業に対してデジタルを活用することでリソースの幅を広げ、支援していく動きが見られています。
人とAI・RPAの両面からのサポート、そしてその先のDXによる新たな価値創造まで援助することが人材業界にできる労働力問題へのアプローチです。
以下では、このデジタルの提供を積極的に進めるディップの取り組みを紹介します。
ディップが目指す『労働力の総合商社』
低コストで簡単な導入が可能な「コボット」を提供
デジタル技術が発展してきた時代に合わせ、ディップは2019年3月、経営ビジョンにLabor force solution companyを掲げました。人だけでなく「デジタルレイバー」を提供し、企業の労働力を総合的に支える取り組みを始めています。
人が行う定型業務が数多く残る中小企業の中には、RPAサービス使い方が難解であったり、コストが高いという理由で導入に踏み切れないケースがあります。
そうした悩みを抱える企業を後押ししているのが、ディップが提供する「コボット」です。さまざまな業界にある定型作業を低コストで自動化できるサービスで、手作業で何十時間もかかる作業が、コボットならわずか数十分で完了します。
製品群としてはコボットPlatform、RPAコンサルティングサービス、HRコボット、面接コボット、不動産コボットなど、業種・業界に特化していることが特徴です。
現在コボットは多くの企業で活用いただいており、業種・業界に特化して余計な機能を削ぎ落したことで、ITツールに苦手意識がある方にもわかりやすく、すぐに使えて安価であることを特長とし、開始から1年3ヵ月余りで6,000社以上の導入実績があります。
大切な従業員を定型作業から解放し、人を活かして企業の競争力を高めたいと考える多くの企業の味方となるサービスです。
なぜディップがデジタル技術を提供するのか
長年「人」を大切に扱ってきたディップだからこそ、このデジタル技術の必要性を感じてきました。それは、求人広告メディア(「バイトル」や「ナースではたらこ」など)の運営を通じて、事業の現場における採用難や人手不足を直接肌で感じ、課題として認識してきたからです。
解決のための手段を模索しながらディップはAI・RPA分野の事業基盤の構築を進めていきました。そこで培った技術・ノウハウで提供するデジタルレイバーは、多くの企業の人手不足の解消と労働者の生き生きとした新しい働き方につながっています。
今後も最先端のデジタル技術を活用して日本の労働諸問題を解決する取り組みを進めていきます。