つまずいてもユーザーの声に立ち返り乗り越えた 業務のクラウド化とDX風土の醸成につながったkintone導入事例

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安西美結
企画・統括本部戦略推進統括部営業企画部BPR推進課 チーフ  ▼詳細

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dip people編集部
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「バイトル」「はたらこねっと」などの求人サイトを展開しているディップでは、営業部門においてヨミ表などのデータを多く取り扱っています。以前はこれらのデータをすべてExcel形式で扱っていましたが、事業拡大に伴いトラブルが生じたため、kintoneに移行しました。この移行の過程には様々な障壁もありましたが、ユーザーの声に立ち返ることで乗り越えてきたそうです。今回は、そのkintone導入プロジェクトを主導した安西に話を聞きました。

Excelファイルが多く、非効率な業務にあふれていた

――導入前の状況、運用方法を教えてください。

以前のディップでは、営業の担当者が業務で利用するヨミ表(※)や営業行動KPIなどのExcelファイルを共有フォルダで管理していました。このファイルが大量に存在し、データ量が膨大だったため管理が大変で、複数人でファイルを閲覧・更新するためにファイルが壊れるのは日常茶飯事の状態でした。

(※)ヨミ表とは、商談先、商談金額、受注確度(ヨミ)を管理する帳票のこと。

――どのような課題をお持ちでしたか。

Excelファイルが壊れ、誰かに消されたり、コピーされて上書きされる日々。そして、なによりデータ量が多く、計算を始めたらPCが固まってしまう。そんな非効率な業務があふれる毎日に課題を感じてました。

――システム導入検討の経緯について教えてください。

従業員数と組織の拡大に伴って、Excelでの運用に限界を感じたためです。

100以上の課の営業ヨミ表をExcelファイルで集計していましたが、毎年数百人の新卒入社社員が入社し、新卒入社社員の配属人数も、以前1課につき5名ほどだったものが現在では10名ほどにまで増えています。加えて既存社員の異動も発生します。組織数もどんどん細分化され、現在では人材サービス事業の組織数は200を越えています。

このように、従業員と組織が増えたことによって、どんどんメンテナンスの手間と集計作業が大変になってしまったんです。

使ってもらうためには現状に見合ったツールを

――どのシステムを選びましたか。

kintoneを選定しました。

――そのシステムの選定のポイントになったところはどこですか。

Excelファイルを多く使用しているディップに合うものはなにか、社員の拒否反応が起きにくいツールは何か、という点を中心に比較検討を行い、心理的スイッチングコストが低いものを選択しました。

思うように進まなくても、ユーザーの声に立ち返り一つ一つ改善していく

――どのような体制で取り組みましたか。

まず、営業部門の事業部ごとに企画担当を立てました。

各企画担当が営業管理職にヒアリングを行い、そこで得られた知見をもとに実際にツールを作成してみました。そしてフィジビリスタディを行い実験的に導入して、効果測定したのち、リリースという流れで進めていきました。

――本取り組みで困難だったことについて教えて下さい。

一度リリースしたツールが不評で、Excelに巻き戻ってしまったことがありました。

――どのように問題解決しましたか。

営業管理職との議論を重ね、どうしたら使ってもらえるかヒアリングをしました。その結果浮かび上がってきたのは、検索やコピーなど、Excelでできていたことがkintoneに変更したことでできなくなり、利便性が低下しているということでした。

この問題に対しては、プラグイン「krewシリーズ」の導入により改善を図りました。

まずは「krewsheet」という、kintoneをExcelライクな見た目・操作感に変更できるプラグインを設置しました。
これにより、営業が今まで慣れていたExcelのような操作性で作業することができるようになるため、作業工数が大幅削減し、ユーザビリティも上がりました。

また、データを可視化できる「krewdashboard」によって営業成績がひと目で分かるようなBI化を行ったり、アプリ間のデータを接続する「krewdata」を使用して、KPIデータの集計を自動化させるなど、様々な業務効率化を実施しました。

このように現場の声にあわせて、一つ一つ改善を行っていきました。

データの一元化を達成し業務効率を大きく改善。DX風土の醸成にも貢献

――現在の運用を教えてください。どのような利用方法をしていますか。

現在は商談履歴の登録や確認、KPI集計、ヨミ表、各種申請などに利用しています。

――どのように課題が解決されましたか。

kintoneの導入によって各所に散らばっていたデータが一か所に集約されました。
また各種申請フォームが統一されたことで再申請などの無駄な作業がなくなりました。

――導入してよかったと思う点や便利な機能があれば教えてください。

プログラミング不要のため開発経験がない人でもアプリを作成できます。そのため業務のクラウド化が一気に進行しました。

例えば「ヨミ管理アプリ」の作成により今までExcelで行っていた集計作業をなくしたり、「申込内容変更&請求書発行申請アプリ」の作成によって、紙の『申込内容変更依頼書』を廃止してオンライン申請に一本化し、ペーパーレス化を実現したりするなどの動きがありました。

これが営業部のDX化への意識を高めることにもつながり、よかったと感じています。

――運用上で生じている課題などはありますか。

現在、データ量が膨大なために、月末・月初にkintoneが重くなるなどの障害が発生してしまっています。膨大なデータを使う計算は違うツールで行い結果をkintoneで表示するなど、使い分けを検討しています。この点は引き続き改善策を打ち出していきたいと考えています。

データの利活用を見据えた今後の展望

――今後取り組みたい改善はありますか。

kintoneへのデータ集約はできたので、今後はデータをどのように活用するかという点に注目しています。BIツールを使ってKPIを可視化するなど、営業管理職のマネジメントに役立つツールを作っていきたいです。

――ありがとうございました。

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企画・統括本部戦略推進統括部営業企画部BPR推進課 チーフ  人材サービス事業の皆さんの業務効率改善のため、ツールの開発などを行う。

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『dip people』の企画・運用・制作を行い、ディップの情報を社外へ発信しています。