「人生をデザインで後押ししたい」ディップのデザイナーに聞いた自分らしいキャリアを築く方法
「新卒からでも本格的なデザイナーになることができる」というチャンスを提供するディップ。その魅力や働き方、採用選考について、ディップのデザイナーとして活躍する、メディアプロデュース部 メディア編集部 はたらこねっと課の植原 ルリ(ウエハラ ルリ)さんにお話を伺いました。
とある勉強会から始まったUXデザイナー就活
小栗:本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、自己紹介をお願いいたします。
植原:メディアプロデュース部 メディア編集部 はたらこねっと課の植原 ルリと申します。去年の12月に行われた組織改編を受けて、メディア編集部デザイン課から異動してきました。現在は、デザイン課との兼任という形で、はたらこねっと課のデザイナーとして働いています。
小栗:はたらこねっと課とデザイン課を兼務されているんですね。
植原:はい、もともとはデザイナーだけの部署があり、各チームにデザイナーが割り当てられていました。現在は組織の形態が変わり、デザイナーがそれぞれのチームに所属しつつ、そのチームが担当しているサービスの課題に沿ってデザインやディレクションを行なっています。私のように、サービスやディレクションを担当するチームとデザイン課を兼務している方は何人かいらっしゃいますね。
小栗:大学では、どんなことを勉強されていましたか?
植原:大学は、美術やデザインの専門学校ではなく、総合大学の建築人間工学のゼミに所属し、建物と人の行動や心理の関係を研究していました。私は特に空間に関する研究活動に取り組んでいました。古い建物が今後どのように引き継がれるかを考えたり、建物内や駅内での人の動きを避難訓練などで観察し、どのように人が集まるか、どのような状況で人が流れるかなどを分析したりする研究室でしたね。
小栗:UXデザインの仕事に興味を持つようになったのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか?
植原:最初のきっかけは、大学のゼミでユニバーサルデザインや人間中心設計などに触れたことでした。当初は設計事務所や建設会社などで働くことも視野に入れていたのですが、建築業界は芸術面に特化していて自分が学んできた分野を活かせないのではないかという不安があって。「じゃあWeb業界はどうだろう」と、様々なデザイン会社のブログを見ながら仕事を探していたら、「UI/UX」という言葉が目に入ったんです。ユーザーのニーズや行動を理解し、その情報をもとにユーザー体験(UX)を設計するUXデザイナーは、自分がやりたいことにぴったりだと感じました。
小栗:UXデザイナーになるための就職活動はどのように進めていましたか?
植原:UXデザイナーに関する情報は少なくて、最初は「どうやったらなれるんだろう」と不安に思っていました。でも、あるデザイン会社が開催していた就活生向けのイベントに参加したことをきっかけに、勉強会のコミュニティに入ることができたんです。そのコミュニティを通して、Slackで他大学の学生と情報交換したりするようになりました。また、私はWeb系の会社でインターンをしたことがなく、成果物がなかったのですが、その勉強会の中で、自分でアプリを作ってメンターからフィードバックをいただいていました。作り方を一から教えてもらいながら、少しずつUXデザイナーへの道を歩んでいきました。
小栗:就職活動を進める中で、大切にしていた観点はありますか?
植原:その会社がどのようなものをデザインして作っているのかを意識的に見るようにしていました。デザイナーが働く環境には、外部から依頼を受けてデザインを制作するパターンと、事業会社に所属して社内サービスのデザインをするパターンの2種類があるのですが、正直最初は、デザイン制作に携わることができればどんな環境でもいいと思っていました。でも、就活を進めるうちに、ただ作るだけでなく、何を作るかが大切だと考えるようになりましたね。ネットを見ていると、怪しい広告や意図の分からないバナーも見かけますが、デザイン能力があるからといって、人をだますような物ではなく、本当に誰かのためになる物を作りたいと思っていました。
小栗:その中でディップに出会ったんですね。
植原:はい、Wantedlyを使って就活を進めており、ディップにもWantedlyを通して出会いました。初めは、自分がよく使っていたバイトルを提供している会社だということで、興味を持ちました。そして選考を進めるうちに、働くことをサポートする人材会社であることを知って、就活中に悩むことが多かった自分自身と重なるようになって。ディップで働くことで、人々の人生を良い方向に導くお手伝いをし、「人生をデザインで後押ししたい」という自分の思いを実現することができると感じ、ディップで働くことを決めました。
デザイナーとして最初の仕事は、はたらこねっとのバナー制作
小栗:デザイナーの採用選考についてお聞きしたいのですが、選考過程において特殊だと感じた点はありますか?
植原:基本的な選考過程は、ディップの新卒全体での採用の流れと大きく変わらないと思います。少し特殊なのは、エンジニアやデザイナー志望の人は、自分が過去に制作した作品やプロジェクトの成果物を集めたポートフォリオを提出して、面接の中でその内容に対する質問をされることですね。基本的に、新卒でMP(メディアプロデュース統括部)の選考を受ける場合は3回面接があります。その間に、現場で働いている先輩と話ができたり、担当の人事と面接後のフィードバックや相談をしたりする機会もあります。
小栗:入社後における違いはありますか?
植原:入社後に新卒みんなで希望部署を部長陣に伝える「配属プレゼン」を経て部署配属が行われます。配属プレゼンは研修後に行われるのですが、それまではデザイナーになれるという確約がないので当時は不安でした。でもその反面、研修ではMPの各組織の仕事内容や上司の様子などを少しずつ知り、自分に合いそうな仕事を見つけることができます。将来的に異動や兼務をする可能性があることを考えると、研修でいろんな部署を経験できたのはとてもいい経験でした。これらの研修が4月中に終わり、ゴールデンウィーク明け頃から本格的に業務に取り組み始めました。
小栗:最初はどんな業務を担当されたのでしょうか?
植原:はたらこねっとの期間限定のバナー制作を担当しました。はたらこねっとが、オリコンでアプリとサイトの使いやすさ1位に選ばれたことを祝して期間限定のバナーを作成することになったんです。これを作るのが私の最初の仕事でした。デザイン業務の中で、バナー作成は比較的シンプルで、実力を試しやすい作業だと言われています。まずはそういった小さな業務から始めて、だんだん段階を踏みながら大きい仕事にチャレンジしていくイメージですね。
小栗:1年目から実際にデザインの仕事に関わっていくんですね。
植原:そうですね。他にも、バイトルのチームのお手伝いをさせていただいたこともありました。アプリの「よくある質問」ページのイメージ図を作成したり、アプリ内の「キープボタン」を押してもらうように促すデザインやポップアップを作成したり。秋からは、サービスデザインのガイドラインを作成する業務にも携わりました。ここでは、はたらこねっとのページで使用する色やフォントの大きさなどの指針を決める作業を行いました。その後、はたらこねっと課に異動して、現在はディレクション系の業務とデザイン系の業務を並行して進めています。
小栗:チームを異動したのは、何かきっかけがあったのでしょうか?
植原:私は美大出身ではないので、見た目や表層のデザインを作る以外の強みを身につけたいと思っていたんですよね。加えて、幼いころから物事の理屈や成り立ちを探るのが好きだったことが、ディレクション領域に踏み込む動機になりました。デザインしている時も「この企画が採用されたら満足度はどう変わるか」「デザインリリース後に課題は出てきていないだろうか」などと考えることが多くて、そういった側面を突き詰めて考えることに興味を持っていました。何が売り上げや数字につながっているのか、ユーザーが何を求めているのかをデータを元に把握するということを、エキスパートとして踏み込めるのがディップのディレクター職だったので、「ディレクション領域に飛び込んでみよう」と異動を決意しました。
自分の成長と会社への貢献を実感できることがやりがいにつながる
小栗:現在の業務について、詳しくお聞きしたいです。
植原:現在は、はたらこねっとのデザイナーとして、サイト、アプリ、特集のLP(訪問者が最初にアクセスするページ)の制作をしています。デザインプロジェクトはデザイナーだけで進めることはできず、ディレクターやプロジェクトマネージャーの方と協力して制作していきます。どのようなアイデアをもとにどのようなデザインを作るのかを示したワイヤーフレームをいただき、それに沿ってデザインするのが私達デザイナーの仕事です。私のデザインスキルはまだ完璧ではないので、ベテランデザイナーの方にアドバイスをもらいながら取り組んでいます。デザイン案を考えて、それに対するフィードバックをもらって改善して、最終的にディレクターの方に提出するという流れです。このプロセスを、1つのプロジェクトで3回ほど繰り返すのですが、それを2回、1回、と減らしていくことが今の目標ですね。
小栗:こまめなやり取りも重要な要素なんですね。
植原:はい、コミュニケーションスキルも必要とされる仕事で、メンバー間でのやり取りがしやすいように工夫しています。たとえば、プロジェクト内でのコミュニケーションは、Slackだけだと見落としが生じる場合があるので、Slack内のやり取りを保存し検索可能にするシステムを使って全員が情報を共有できるようにしています。デザイン以外の社会人として必要なスキルも、実際にプロジェクトに携わりながら身に付け、臨機応変に対応していくことが大切だと感じています。
小栗:仕事をする中で、どんな時にやりがいを感じますか?
植原:「植原さん、これお願いします!」と仕事を任せていただいた時は自分の成長を感じられて嬉しい気持ちになります。また、携わったプロジェクトを振り返って、数値を通してプロジェクトに貢献できたことが見えると、達成感を感じますね。たとえば、自分があるホームページの応募ボタンを変えたことで「応募数が何カ月で○○%上がった」という成果が見えると、自分が成長しただけでなく、会社に貢献できたという実感が生まれ、すごくやりがいを感じます。私たちデザイナーにとって、成長を定義づけることはなかなか難しいですが、このような成果が見えてくると自分が一歩前進したと思えますね。
小栗:一方、苦労した点はありますか?
植原:入社後半年間はリモートワークだったので、何かでつまづいても周囲に相談しづらく、一人で悩みを抱え込んでしまうことがありました。現在は、チームごとに週に一度オフィスで集まったり、何かあった時には対面で話し合うことになっていますが、当時はリモートワークという環境で、悩みをなかなか周囲に打ち明けることができませんでした。この時期は、同期の存在に救われましたね。同期とよくご飯会をしていたのですが、誰かが悩みを話すと、実は他の人も同じように感じていて共感し合えたり、励まし合ったりできて心強かったです。
最新トレンドに合わせることは必ずしも正解ではない
小栗:これからの目標はありますか?
植原:はたらこねっとというサービスを長期的に提供していくことに貢献したいと思っています。このサービスは歴史が長くて、もう23年にもなるんですよ。機能のアップデートに加えて、デザインを変えることによって、多くの人に愛されるサービス作りに貢献できたらと思っています。私一人の力では実現できない大きな目標ですが、これまで培ってきたデザインとディレクションのスキルを活かし、次の世代にサービスを引き継ぎ、より良くしていきたいですね。
小栗:その目標に向けて、今どんなことが必要だと感じますか?
植原:まずは、新しいサービスに対して偏見を持たず、アプリやサービスを幅広く見て学び、ユーザー調査を進めていきたいと思っています。デザインをする際に、世の中でどのようなデザインが作られているのかを調べるのですが、そのたびに知らないサービスや、触れたことのないようなアプリにたくさん出会うんです。そうしたものにたくさん触れて、自分の引き出しを増やしていきたいですね。一方で、デザインの最新トレンドに合わせることが必ずしも正解ではないと思っています。特に、年配の方が利用するサービスは、あまりにも流行に合わせすぎると使いにくくなってしまうことがあります。私は、古くからあるようなデザインも考慮し、幅広い年齢層の方々に対応できるようなサービスやデザインを取り入れることが大切だと思います。広い視野を持ち、様々なデザイン手法を押さえつつ、それらを柔軟に取り入れていけるようになりたいですね。
小栗:最後に学生の皆さんにメッセージをお願いいたします。
植原:ディップのデザイナーは、幅広い業務に携わるところが特徴的だと思います。デザイン以外の仕事を任されることもあり、自分が貢献できているのか不安になることもあります。でも、どんなことも最終的にはサービス改善やユーザビリティ(使いやすさ)改善に繋がっていると思います。全ての業務が同じ目的に向かっていることを忘れずに、ポジティブに取り組んでいける人と一緒にサービスを伸ばしていけたらいいなと思っています。芸術的なデザインをするだけでなく、データに基づいた根拠をもとに良いサービスを作ることが求められますが、それらを楽しめる人にはぴったりの環境だと思います。