社員にとっても発見・学びがいっぱい。キャリア教育に取り組む『バイトルKidsプログラム』参加メンバーの、リアルな声を聞いてみた。
ディップのサステナビリティ活動のひとつ、2020年1月にスタートした『バイトルKidsプログラム』。ディップ社員が、協力企業と小学生との仲介役となり「キャリア教育」を行うプログラムだ。今回は、実際に「dipサポーター」として参加したディップ社員の古川さん、滝見さん、前田さんの3名に話を聞いた。
子どもが好き。教育を変えたい。仕事を見つめ直したい。参加のキッカケはそれぞれ
上岡:みなさんは直近(※2022年度)の『バイトルKidsプログラム』に参加されたとのことですが、参加しようと思ったキッカケを教えてください。
古川:私は四人姉弟の一番上で、弟たちとは歳が離れていたこともあり、小さい子と関わるのが好きだったので参加しました。また過去に、働く自信を無くして将来に希望を見出せなかった時期があったのですが、上京していろんな人の話を聞くことで価値観がガラリと変わった経験をしました。それを子どもたちに伝えたいと思ったことも、参加しようと思った理由です。
上岡:なるほど。具体的にどんな思いだったのか、お伺いしても良いですか?
古川:もともと地方に住んでいたのですが、当時していた仕事が自分に合わなくて、続けられなくなってしまったことがあったんです。なかなか次の仕事が見つからなくて、資格もないし経験もないし…と、途方に暮れていました。そんななか思いきって上京してみて、新しくエンジニアの仕事を始めて、いろんな人の話を聞いたりするうちに「思っていた以上に世界は広くて、いろんな道が選べるんだな」と前向きな気持ちになれました。私自身、学生の頃はこんなに様々な仕事があるとは思っていなかったので、もし私と同じように感じている子がいるなら「いろんな選択肢があるんだよ」ということを、伝えてあげたいなと思ったんです。
上岡:たしかに子どもの頃は、たくさんの選択肢を知る機会ってそんなにありませんでしたよね。滝見さんはいかがですか?
滝見:僕は、日本の教育について疑問視をしている部分があったことが参加のキッカケです。大学生の時にしていた家庭教師のバイトで「何のために勉強してるのか全然分からない」と、勉強に対してすごくモチベーションが低い生徒さんに出会いました。僕はもともと親が塾講師をしていて、教育熱心な家庭だったこともあり、勉強は比較的前向きに取り組んでいたのですが、日本の教育は主にインプット型の教育が多くて、何のために勉強しているのか、根本の部分を子どもが理解しにくくなっているんだろうなぁと思ったんです。
上岡:なるほど。
滝見:でも何かがキッカケで、他人ごとから自分ごとに変わる瞬間が絶対あると思っていて。子どもたちにも、勉強を「やらされてる」と思うんじゃなくて、「あ、これやってみようかな」と、主体的に前向きに取り組んでほしいと考えていたんです。『バイトルKidsプログラム』は、僕が一人の社会人として、子どもたちにそういった気づきを少しでも提供できればと思って、参加してみました。
上岡:社会に出てはたらく一人の大人として、「勉強って役に立つんだな」と子どもたちに伝えてあげることで、自分ごととして考える機会にしてほしいという思いだったんですね。素敵です。前田さんは、どんな思いだったんでしょうか。
前田:私は「面白そう!」という好奇心が一番大きかったです。またこれを機に、自分の仕事の意義を見つめ直したいとも思っていました。社会人6年目を迎えて、日々目の前の仕事をこなすことで手一杯で、自分の仕事の価値そのものについて考える機会をあまり作れていなかったこともあり、今までにない価値観に触れることで、自分の仕事観と改めて向き合うキッカケになればと思って参加しました。
小学生の目線で見る世界は、大人にとっても発見の連続
上岡:実際に参加してみて、どうでしたか?
古川:子どもたちの純粋さに、「自分とはだいぶ違う感性を持ってるな」と驚きました。靴を販売する企業の人事の方に向けて、お仕事インタビューするための質問を子どもたちと考えていたとき、子どもたちはなかなか人事の仕事のイメージがつかなかったようでした。そんななかでも「靴はどうやって作りますか」とか、「靴の素材は何ですか」とか、すごくピュアな感性で自分たちの聞きたい質問を考えてくれていて、まっすぐで可愛らしいなと思いました。私も「どうやったら人事の仕事をうまく伝えられるだろうか」と考えつつも、大人だったら出てこない質問が子どもたちの視点だとたくさん出てくるのは楽しいし、企業様との間を取り持つやりがいもあるなと思いました。
上岡:なるほど。心を洗われる感覚になりますね。
滝見:僕は、子どもたちと一緒に、将来の仕事について真剣に考える機会を作れたことが良かったなと思います。例えば「美容師」など、職種の名前までは知っていたとしても、どうやったらなれるのか、どんなスキルが必要なのか、どんなことが大変なのか等、実際に質問して聞いてみたり、具体的に考える場って、小学生のうちはあまり無いのではないかと思います。子どもたちはプログラムを通して、仕事をしている人に実際に質問をしてみて、答えを聞いて、自分のなかで咀嚼して…という経験ができたと思うので、とても有意義な時間だと感じました。
上岡:実際に話を聞いてみて、肌で感じてって、すごく良い体験ですよね。
前田:私は、これまで3回参加しているのですが、いろんな仕事をしている方の話を聞くことができるのが面白いなぁと毎回感じています。例えば気象予報士さんや、ネットや動画サイトなどに広告を配信する企業の方や、理学療法士の方など、ふだんあまり関わる機会がない職種について詳しく知ることができるのは、自分にとってもすごく勉強になると思っています。
上岡:『バイトルKidsプログラム』は、担当チームを決めるときに、挙手制で立候補できるのも良いところですよね。
前田:はい、いつも興味がある職種を選べるのも面白いなと思います。
大人たちのメッセージが、小学生にちゃんと届くようにかみ砕く。伝えるって難しいけど、面白い
上岡:小学生とコミュニケーションをとるのは楽しい半面、なかなか難しいのではないかと思います。どのような工夫をされていたんでしょうか?
古川:私は、企業の方の話を、子どもたちに伝わりやすいように翻訳してあげることを心がけていました。私は今エンジニアをしていますが、もともと未経験で飛び込んだ業界で、最初は知識もなくて専門用語など分からないことばかりだったので、「言葉が難しいと理解できない」という気持ちがよく分かります。その経験も活かして、知識がない子どもたちでも分かる言葉で説明するようにしています。
滝見:僕も、お仕事インタビューのとき、「ちょっと話が抽象的で子どもにとっては難しいかも」と思ったら、ふだん子どもたちの身の回りでありそうな話に例えて、「今の話は、こういうことだと思うんだよね」と、イメージしやすい話に変換して伝わりやすくなるように工夫していました。
上岡:大人になってもですけど、身の回りの話に例えるとすごく分かりやすくなりますよね。前田さんはいかがですか?
前田:私はできるだけ場が盛り上がるように心がけていました。子どもたちの名前を覚えて、なるべく名指しで話しかけるようにして、みんなが発言しやすい雰囲気づくりができるようにしていました。お仕事インタビューの質問を考えるときに、子どもたちがなかなか思いつかない様子だったら、自分自身が単純に疑問に思ったことを「私はこう思ったんだけど、どう思う?」と投げかけたりして、子どもたちが考えやすくなるように工夫していましたね。
キャリア教育に関わることで見えてきた、ディップだからできる情報発信
上岡:参加してみて、学びになったことや発見・気づきを教えてください。
古川:子どもたちが知りたいだけじゃなくて、「子どもたちに自分のお仕事のことを知ってほしい」と思っている大人の方がたくさんいらっしゃることに気づきました。例えば、建築設計士の方は「こういう風に家を造るんだよ」と、わざわざ模型までご用意してくださったり、子どもたちの質問に答えるだけでなくプラスアルファで準備をしてくださっていました。そういった企業様が他にもたくさんいらっしゃって、「子どもたちにもっと伝えたい、話したいと思ってる大人がたくさんいるんだ」と実感しました。お仕事について子どもも知りたいし、大人も伝えたいと思っている。その間にディップが入って、繋がりをつくる場を設けられているのはとても素敵だなと思いますね。
上岡:良い話ですね…。実際に企業の方の話を聞いた子どもたちは、どんな反応を見せてくれましたか?
古川:『バイトルKidsプログラム』では最終日に、子どもたちでチームに分かれて学んだことを発表してもらうのですが、そのときに「どんな大人になりたいか」を一人ひとり発表する機会があるんです。1日目の段階で将来の夢が決まっていなかった子が、お仕事インタビューで「時間を守るのはすごく大事なんだよ」という言葉を聞いて、発表のときに「私も時間を守れる大人になりたい」と話してくれたのを見て、なんだか嬉しくなりました。ほかにも「人の役に立てる大人になりたい」「人に寄り添える大人になりたい」など、具体的にしたい仕事はまだ分からなくても、将来どんな大人になりたいかというイメージが持てるようになった子がたくさんいて。プログラムを通して、子どもたちの意識が少しでも変わったのであれば、とても良い取り組みだと感じます。
上岡:そんな発表を聞けると、やってよかったなぁと思いますよね。滝見さんはいかがですか?
滝見:僕は新卒なので、いまは仕事に慣れることに精一杯で、なかなか自分のしている仕事の意義を感じる余裕がなかったのですが、『バイトルKidsプログラム』での経験を通して「求職者の方も、仕事についてもっとリアルな話を聞いたり、体験をしたりできれば、自分がやりたい仕事を選びやすくなるのではないか」と思いました。バイトルは、職場見学ができたり、動画がついていたり、求職者によりリアルを届けられるメディアです。求職者が仕事を選びやすくなれば、お客様の採用成功にも貢献できる。この点をしっかりとお客様に伝えて、お客様と協力しあうことで、求職者にたくさんリアルな情報を届けられるようにしたいなと思いました。
上岡:仕事の行きつく先にある本質の部分に、改めて向き合うことができたんですね。とても良い機会になりましたね。前田さんはいかがでしたか?
前田:私はこのプログラムを通じて、改めて自分自身の仕事の意義を見直すことができました。私の仕事は、採用や人材育成に悩む企業様の課題を解決するために、様々なご提案やサポートをすることですが、私が担当したたくさんの求人広告のうちの一つの案件が、バイトルを見てくれた誰かの心に刺さって、その人の人生を変えるキッカケになるかもしれないなぁと感じました。
上岡:発信した求人情報は、実際に誰かに届くものですものね。
前田:はい。また、私自身もまだまだ知らない仕事や、名前を知っていても詳しく分からない仕事がたくさんあることを実感しました。おそらく企業の方も「もっと知ってほしいと思っているけど、なかなかそういう機会がない」と感じているケースが多いのではないかと思います。そういう点では、求人広告だけではなく、学生を対象にしたお仕事情報を発信していくコンテンツをつくったり、たくさんの企業様と繋がりがあるディップだからこそ、もっとできることがありそうだと思いました。
上岡:新しいアイデアも出てきましたね。もっとディップでできることを見つけて、発信していけると良いですよね。今回は、本当にありがとうございました!