「仕事そのものを愛してくれる人」 に向けて広告をつくりたい。
大手求人広告会社の代理店を経験し、最初は業務委託としてディップに入社した鵜飼(うがい)。他社とディップの違い、自身の広告観、メンバーに伝えたいことなどを伺いました。
世に出る仕事がしたい。そんな想いでとび込んだ広告の世界。
高橋:鵜飼さんは、ディップに入るまで、どんなことをやってこられたんですか?
鵜飼:僕のキャリアは大手求人広告会社の代理店からスタートしました。紙媒体で、不動産の広告をつくっていましたね。今でこそWebが広まって「誰でも世の中に発信できる」時代ですが、当時はそんなことなくて。「何か世に出るものがつくりたい」と思ったら、出版とか広告とか、そういう会社に入るしかなかったんですよね。あとは昔から新品の紙のニオイが好きで、出版系に携わりたかったというのもあります(笑)
その代理店がなくなって、求人系の代理店に移りました。そこでは社員案件をメインに、ライターとして求人の取材・制作を担当していましたね。当時の先輩がすごく厳しくて、書いた原稿を丸められたり、破かれたり、散々で(笑)。でも今の僕のライティングは、ほぼその先輩から教わったものです。そこを辞めてからは1年くらいフラフラして。そんなときに声をかけてくれたのが、前職でお世話になった安原さん(営業企画統括部・ゼネラルマネジャー)です。
「やることないなら代理事業部の原稿手伝ってよ」「原稿のアドバイスもしてあげてよ」と言われ、ちょうど生活にも困りはじめていたので(笑)、業務委託として半年以上お手伝いしました。そこから「本格的にやる気があるなら直販の制作部を紹介するよ」と言ってもらい、2010年に面接を受けました。
「広告の力でなんとかしてやろう」ディップにはそんな制作が集まっていた。
高橋:某大手の代理店時代と比べて、いちばん違ったのはどこですか?
鵜飼:まず、アルバイトの原稿を書くのがほぼ初めてで。前職では社員案件をメインにつくっていたので、ターゲット設定のイメージができなくて…。最初はそうとう苦労しました。
高橋:どのように改善したんですか?
鵜飼:とにかく取材に行きました。飲食とか、ほかの業界もふくめて、とにかくたくさんの人に話を聞いて。
「イマドキの学生はこんなことを考えてるのか」「アルバイトのやりがいってこういうことなのか」と知見を貯めていきました。
高橋:ほかに印象に残ってることはありますか?
鵜飼:制作の人数の多さです。某大手の代理店って、小さいところだと制作なんて1~2名、多くても4人くらいなんですよ。でもディップの場合、当時でも20人くらいはいたのかな。しかもみんな「広告の力でなんとかしてやろう」みたいな気持ちを持っていて。ライバルというか、切磋琢磨というか、そういう雰囲気がありましたね。
今では考えられないかもしれませんが、当時のバイトルはまだ認知度もそこまで高くなくて、某大手の媒体と比べても効果が出づらかったんですよ。だから僕自身も「前職の感覚でつくってちゃダメだな」とか、「もっと表現にこだわらないと見てももらえないんだな」と実感したのを覚えています。
自分が社長だったらそのメッセージはうれしいか?「仕事そのものを愛してくれる人」に向けて広告をつくりたい。
高橋:今のディップや制作を見ていて、何か思うことはありますか?
鵜飼:これは以前講演会に来ていただいたパラドックスの鈴木さんの受け売りなのですが、「『仕事そのものを愛してくれる人』に向けて広告をつくりたい」というのがあります。
高橋:というと?
鵜飼:たとえば今の媒体を見ていても、時代を反映させてのことなのか、週休○日とか、残業○時間とか、そういう待遇面でのアピールが多いですよね。で、確かにそれで効果は出たりします。でも、ユーザーから見たときに、似たような案件ばかりになってしまって、とても選びにくいサイトになっているような気もするんです。
それに、自分がその会社の社長だったら、伝えたいメッセージはホントにそれでいいのか、それを魅力に感じてくれる人といっしょに働きたいのか、とすこし疑問に感じます。僕が社長だったら、やっぱり自分がつくった会社や、仕事に、共感してくれる人に来てほしいはず。
もちろん効果は出さなきゃいけないですが、それでもできるだけその企業や仕事の本質から逃げず、仕事そのものを愛してくれる人に向けて広告をつくりたいなと思っています。
高橋:他には何かありますか?
鵜飼:ディップの制作の市場価値を上げたいです。やっぱり広告業界の中でも、求人広告の制作ってそんなに評価されてないじゃないですか。でも某大手求人メディアの制作会社さんとか、パラドックスさんとか、求人の制作の中でも市場で高く評価されている会社はあります。ディップの制作も制作単体として評価してもらえるような組織にしていきたい。
高橋:そのためには何が必要なんでしょうか?
鵜飼:やっぱり大手でいい仕事をする、いい広告をつくるということだと思います。たまに「大手だとおもしろい仕事ができない」という人がいますが、それって違ってて。シンプルにいえば「大手でおもしろい仕事をするだけの力がない」ということだと思うんですよ。
「1店舗に行って取材をしていい原稿をつくる」という基本的な制作力に加え、クライアントのビジネスを理解する力とか、業界や競合、市場をふまえて戦略をつくる力とか、提案力、交渉力とか。そういう力を身につけていけば、大手でもおもしろい仕事ができるし、市場でも評価してもらえるはず。
幸いなことに、ポテンシャルが高いメンバーはたくさんいます。だから僕ら管理職がその力をさらに引き上げて、「媒体力のあるディップ」にとどまらず、「制作に強いディップ」と言われるようにしていきたいですね。