データをデザインすることでビジネスが加速する「Dip Data Design Lab」の目指すDX

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亀田 重幸
ディップ株式会社 商品開発本部 次世代事業統括部 dip Robotics 室長 ▼詳細

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dip people編集部
▼詳細

ディップでは営業支援アプリ「レコリン」を活用して営業DXを促進した結果、DXの取り組みに必要不可欠なデータが蓄積されるようになり、社内でデータの必要性の認識が高まりました。
しかし、これまで部署や組織をまたがったデータ活用が進んでおらず、各所に散在していたり、集めるだけで分析がされていないケースも多くありました。

そこで、ディップの各組織にあるデータを統合・分析し、デザイン思考の考え方を活用してプロダクトを開発していくための全社横断組織・「Dip Data Design Lab」が立ち上がりました。

今回は、このラボのプロジェクトマネージャーであるdip Robotics室長・亀田 重幸にインタビューしました。亀田はUXデザイナーとして「レコリン」の開発も主導し、社内の業務自動化に貢献してきた人物です。

ディップにおけるデータの利活用の現在地やこのプロジェクトで実現したこと、そして求めている人材について聞きました。

Dip Data Design Labが生まれた背景

Dip Data Design Lab(通称DDD)ではさまざまな部署を巻き込みながらデータの統合、分析を行っています。はじめに、こうした全社規模の大きなプロジェクトが始動することになったきっかけについて聞きました。

――Dip Data Design Lab(通称DDD)ができた背景をお聞かせください。

はじめのきっかけは、営業業務を効率化するCRMアプリ「レコリン」が完成して、営業の行動データが貯まってきたことです。データが豊富に集まったので、データ分析を活かして効率の良い営業活動が行えるようにしたいと考えました。その結果、最適な営業行動が見つかり、生産性向上には繋げることが出来ました。

私たちが中期経営計画で目指している姿は「他社よりも早く(採用が)決まる」求職者の方が幸せになるビジネス像がゴールです。営業の行動データを活用することで求人数は伸びますが、求職者の方が求めている求人かどうかわかりません。

そこで、私たちは営業活動のデータに加えて、商用サイト「バイトル」の案件や求職者の応募状況、原稿データを繋げてビジネスに活かす、新しいラボを立ち上げることにしました。

データ分析でデザインを活用するとは!?

―― デザインをどのように活用するのか教えてください。

デザインという言葉を聞くと、美しいデザインや見やすいデザイン、見た目のイメージを思い浮かべる方が多いかと思います。データ分析では、見やすいグラフや美しいレポートを作ることでデザインを活用しています。こういった視覚的なわかりやすいデザインによって、データを見たときに分析結果を判断しやすくなっています。
私たちはデータをわかりやすく見せるデザインだけでなく、データ分析の根本にある、問題解決にデザインを活用してビジネスでより活かせることを目標にしています。

まず、デザインとは何かという説明しておきます。
デザインという言葉はWikipediaだと「デザインとは具体的な問題を解き明かすために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現すること」と記されています。要するに、「問題を解き明かすために何らかの方法でわかりやすくすること」と定義されていて、問題解決の1つにすぎないということがわかります。見た目の表現だけではないということですね。

データ分析では問題を解決するために、課題の特定、仮説出しを行います。この課題を出すためにデザイン、特にUXデザインと呼ばれる手法を用いることで分析の精度が上がり、どこで分析結果を活用すれば良いか、判断がつきやすくなるのです。

―― UXデザインの具体的な使い方を教えてください。

ビジネス上の課題を特定するためにUXデザインを活用しています。
例えば、「新人営業の商談データが少ない」、「渋谷はラーメン店に職種が偏っている」などの課題に対して、なぜデータの偏りが起こっているのだろう?そうなってしまった背景は何なのか?と背景を探るアプローチをしていきます。この時に、闇雲に調査をしても答えにたどり着けません。そこで、UXデザインの出番です。

誰が困っているのか特定する「ペルソナマッピング」や、ユーザーがどのような心理で行動しているのか洗い出す「カスタマージャーニーマップ」、ユーザの価値を改めて考える「バリュープロポジションマップ」といったフレームワークも活用して、ビジネスの課題を具体的にしていきます。データ分析の前にこれらのフレームで課題を整理することで、どんなデータ分析を行えば仮説が検証できるのか、また、分析結果をどうビジネスに活かせるのかを明確にして進めていけるのです。

このように、UXデザインを用いたデータ分析を行うことで、ディップの営業データ活用のスピードが上がっています。DDDというラボではより多くの人が、多くのデータに触れるので、デザインの力を活用してより高い成果を生み出していきたいと考えています。

タスクフォースを組んで課題解決に取り組む

―― DDDのプロジェクト進行方法について教えてください。

チームを5つのタスクフォースに分けて、課題に取り組んでいます。5つのタスクフォースは具体的にこのようになっています。

・戦略立案
・商用データ活用
・営業データ活用
・原稿データ活用
・データアーキテクチャ構築

戦略立案チームでどんなKPIを上げるために、データ活用を行うのか戦略を決めます。実施内容を予め決めておかないと、組織間の衝突や同じようなプロジェクトが発生してしまうことになるので、DDDに全部署所属して戦略に従う流れとなります。
そして、大きく3種類のデータ活用タスクフォースに分かれてビジネスでどうデータ活用が行えるのか仮説検証をしています。

また、全社でデータ分析を行っていく上で、社内を横断してデータを扱えるアーキテクチャや環境が必要です。そのためにアーキテクチャチームを設けて、全社でデータ活用がしやすい基盤をGoogleのBig Queryを用いて環境構築を行っています。

全社で取り組むので、課題の大きなテーマも多くあります。しかし、部署が横断して1つのゴールを目指しているので、お互いに助け合ったり知恵を出し合ったりすることで着実に前進をし始めています。

全社横断組織の推進と体制

―― 関わる人が多くて大変そうですが、工夫されている点を教えてください。

過去の案件より新規事業立案 & AI開発 & DX推進を担っていたことから、DDDのPMを私が担当しています。幅広い視野で、ビジネスとテクノロジーの活用機会を調整することが大事だと考えたからです。
そして今回は営業推進、マーケティング、商品開発、システム開発、経営企画、情報システム、広告制作、DX推進部署といった全社のデータを扱う組織をすべて巻き込んでいます。そのため、認識のズレが起こりやすい面もあります。全員の認識を合わせるために毎週定例を開いて些細なことも情報共有することを心がけています。また、slackを活用して普段交流のない部門やメンバー同士をつなげて顔見知りにするなどの工夫もしています。

そして1番大事なのは、信頼関係を作って1つの目標に向かって動いてもらうことです。人がたくさん動く組織なので、各部の部長と信頼関係を築き、各部のメンバーがメリットを感じて行動してもらえるように密なコミュニケーションを心がけています。

組織立ち上げに関わりたいデータサイエンティストを募集中

このプロジェクトを遂行していくために現在一緒に働く仲間を募集しています。

亀田は「データ分析部門の立ち上げをゼロイチでやりたい方にお任せしたいと思ってます」と語ります。

――どういう人材にこのラボへ入ってもらいたいですか。

「世の中の課題や問題ごとをデータで解決したい人」ですね。ビジネスを使って課題を解決したい人はぜひ来ていただきたいです。

募集する職業としてはデータサイエンティストになるかと思いますが、分析してレポートを作るだけのお仕事ではないです。記事の中でお話したとおり、デザインの力を使って事業戦略、事業課題に取り組んでいます。データだけではなくて経営目線・事業目線で考えて、データを集める仕組み作りや営業組織を動かす経験をしてみたい方にはピッタリの環境です。

現在私たちにはビジネスの課題が明確にあるので、それを解決するためにデータも組織も好きにつくっていいです、お任せします。というのが魅力ですかね(笑)
分析で終わらないのがおもしろいところです。

――最後にDip Data Design Labの展望やプロジェクトへの意気込みをお聞かせください!

実はデータを全社でつなげようとした取り組み自体は過去に何度もあったんですが、何度も失敗してきました。

今回「レコリン」の開発・運用でCRMが活用され、データも整ったので組織を立ち上げましょうとなって生まれた組織です。データだけではなくて多くの人と協力してやってるので、今回は上手くいくのではないかなと思ってます。いろんな部署の人と一緒になって1つの目標を目指していき、ディップの中で今までできなかったことを実現したいと思ってます。ぜひ一緒にやりましょう!

▼具体的な業務内容が気になった方、話を聞いてみたい!と思った方はこちら

ディップではDXを促進していくために一緒に働いてもらえる仲間を募集しています!

今回の記事では、新たに立ち上がった全社横断組織・Dip Data Design Lab(ディップデータデザインラボ)でどのようなことをしているのかご紹介します。

組織は立ち上げたばかりです。DXを実現するためのデータ分析部門にゼロから関わりたい方には、ぜひ読んで頂きたい記事になります。

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亀田 重幸

ディップ株式会社 商品開発本部 次世代事業統括部 dip Robotics 室長 2007年ディップ株式会社入社、プログラマーやインフラエンジニア職を経て、アルバイト・パート求人掲載サービス「バイトル」のスマートフォンアプリの企画立案を担当。 エンジニアとディレクターという両側面のスキルを生かし、数多くのプロジェクトマネジメントを手掛ける。ユーザー目線を重視した顧客開発モデルを取り入れ、UXデザイナーとしても活躍。人間中心設計専門家。

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『dip people』の企画・運用・制作を行い、ディップの情報を社外へ発信しています。