はたらこねっとが目指す、「誰もが就業できる世界」の実現。

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藤村 海仁
商品開発本部 メディアプロデュース統括部 メディア編集部 次長 / はたらこねっと課 課長(兼務) ▼詳細

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高橋 正憲
商品開発本部 クリエイティブ統括部 制作戦略推進部 制作企画課 ▼詳細

2000年10月、インターネットの家庭普及率が18%ほどという時代に、店頭端末「Loppi」を利用した派遣会社のお仕事情報提供サービスとして開始した『はたらこねっと』。現在では「自分らしく働く」というビジョンを掲げ、派遣以外のお仕事情報も豊富に掲載する同サイトは、この先どこへ向かうのか。メディア編集部 はたらこねっと課 課長の藤村に話を聞いた。

応募者の3人に1人が就業できていない現状

高橋:以前取材をした際、藤村さんは『バイトル』のグロースハック担当でした。現在は『はたらこねっと』を担当されているとか。

藤村:2015年12月に中途入社してから、長らく『はたらこねっと』のWebディレクターを担当していました。その後、2020年3月に『バイトル』を担当する部署に異動したのですが、2022年の1月から『はたらこねっと』を兼務することになり、同年の3月から専任になっています。

高橋:現在は企画部門の部長格として『はたらこねっと』全体を統括される立場ですが、サイトとしてはどのようなビジョンを掲げているのでしょうか?

藤村:実現したいのは「『はたらこねっと』を通じて誰もが就業できる世界の実現」です。というのも、年齢が上がるにつれて採用されづらくなったという声を多くいただきます。2022年の7~8月に十数名の『はたらこねっと』ユーザーにインタビューしましたが、やはり20~30代の方に比べて40代以上の方は「なかなか仕事が決まらない」とお困りの様子でした。ユーザーにアンケートを取っても、応募者の約3割が就業に至っておらず、未就業者の内訳としては40代以上の方が大半を占めているという結果でした。

高橋:採用の現場では、まだまだ応募者のスキルや適性では判断されていないと。

藤村:さらにもう1つ、未就業者が生まれる要因としては「多くのユーザーが特定の人気職種に応募している」ことが挙げられます。『はたらこねっと』で言えば、事務職種はとても人気なのですが、ユーザーの多くがこの職種に応募してしまうとどうしても就業に至らない方が出てきてしまいます。こういった課題をさまざまな面から解決し、「『はたらこねっと』を通じて誰もが就業できる世界の実現」を進めていくのが私のミッションです。

年齢ではなく、スキル・職歴でのマッチング・レコメンドを目指す

高橋:具体的に取り組んでいることはありますか?

藤村:『はたらこねっと』において、「年齢ではなくスキル・職歴によるマッチングの実現」を目指しています。そのために進めていることが2つあります。

1つ目は、『はたらこねっと』から応募する際のプロフィール入力欄への「スキル・職歴入力」を促進していくこと。今まではユーザーの負担になると判断し、入力は必須にしていなかったのですが、「そのユーザーが持っているスキル、経験を可視化する」ためにも今後はユーザー側に入力を促進していきます。ユーザーにとっても「スキル・職歴を入れているほうがマッチした案件が表示されやすい」などのメリットがあるため、それらのメリットを訴求しながらWebからの応募でも入力率の改善を目指します。

2つ目はスキル・職歴を基にしたレコメンドです。ユーザーにお話を聞いてみると、「事務経験」と言っても中身はさまざまで、中にはマクロが組めたり、経理ができたり、年齢に関わらずスキルの高い方がいらっしゃいます。こういった高いスキルをお持ちの方には高スキルなお仕事でマッチングできるよう、ユーザーのスキル・職歴に合わせたサイト内でのレコメンドの精度を高めていきます。

一方で、事務職としてのスキル・経験がない方も、「飲食業を長くやっていた」「短期間だが軽作業の経験がある」など、別のスキル・職歴を持った方は多くいらっしゃいます。そういった方々には、前職での経験が活かしやすい事務のお仕事をレコメンドしたり、事務のお仕事以外でも個々のスキル・職歴を生かした“今よりマッチした、よりよい仕事”をレコメンドすることはできるのではないかと考えています。

高橋:それにより、少しでも「就業できない方」の数を減らしていくと。

藤村:『はたらこねっと』はサービス開始当初は派遣サイトNo.1を目指し、ここ5年ほどは「自分らしく働く」というビジョンを掲げた総合サイトへと進化し、売上拡大を続けています。今後はそれらをキープしながら「ユーザーの“就業”にコミットできる『はたらこねっと』」を目指し、サイトの価値向上に真剣に取り組んでいきます。たとえば派遣会社様が登録スタッフのキャリアアップにつながる育成・研修をしていたり、公共事業でも職業訓練などを行ったりしていますが、ゆくゆくはそういったところと協業して、ユーザーの「よりよい就業」に向けてスキルアップの機会を提供することなども検討したいです。

フラット&クイックに。ユーザーファーストで動ける組織へ

高橋:ビジョンの実現に向けて、企画部門、開発部門ともに採用活動を積極的に進めているとか。

藤村:現在『はたらこねっと』チームはWebディレクター7名、デザイナー3名、CS(カスタマーサポート)2名、マーケ2名、開発チームは外部パートナーの方も含め30~40名ほどの体制ですが、先ほど掲げたビジョン・施策を実現していくにはまだまだ人が足りない状況です。

高橋:どのような方を求めていますか?

藤村:必要なスキル・経験は募集職種・ポジションにより異なりますが、共通して必要なのは「当事者意識が強く、サイト成長を自分事としてとらえられること」「新しいことに敏感で、自ら挑戦ができること」「フットワーク軽く、部署の垣根を超えて動けること」です。

というのも、ディップは運営しているサイト規模の大きさに反して、フラットで身軽に企画・開発を進められるのが特徴のひとつです。とくに『はたらこねっと』は企画・開発ともに関係者の数が少なく、意思決定のスピードがとても速いです。クイックに力試し・検証をしていきたい人は『はたらこねっと』に向いていると思います。自分自身も今まで『バイトル』『はたらこねっと』のWebディレクターをやってきましたが、年間で100施策くらいは進めていました。アウトプットの量は他社のインハウスよりも多いのではないかと思います。

高橋:だからこそ当事者意識を持って、自ら挑戦できる方が向いていると。

藤村:さらに、現在では企画・開発・デザイン担当が組織を横断し、より密に動ける体制づくりを進めています。昨年『バイトル』にスクラム開発を導入し、それにより企画と開発の距離が近くなり、コミュニケーションも取りやすい、理想の姿が描けました。今後はその体制を『はたらこねっと』にも導入し、全員が「ユーザーファースト」を基点に、よりフラットでクイックに動ける組織をつくっていきたいです。

機能だけじゃ差別化できない。サービスの根本には“思想”がある

高橋:今回の取材に際しての事前アンケートでは「『はたらこねっと』を唯一無二の求人サービスにしたい」というコメントもありました。

藤村:差別化の難しい求人サービスにおいて、「どこの媒体でも一緒」ではなく「『はたらこねっと』が良い。『はたらこねっと』でなくてはいけない」という状態まで、サービスを磨き上げることが理想です。

とはいえ、Webの世界は日進月歩で、スピードが命です。見た目や機能だけに限れば、カンタンにマネする(またはマネされる)ことができてしまう世界とも言えます。

だからこそ、Webサービスの差別化において大事なのは機能だけじゃないんです。本質的な差別化につながるのはその根っこにある“思想”だと思います。

高橋:思想?

藤村:私は中途採用でディップに入ったのでよく感じるのですが、ディップは冷静に考えるととても変な会社です(笑) たとえば原稿に無料(追加料金なし)で制服画像や動画を掲載できるようにしたり、最近(2022年4月)始めた「dipさんからのメッセージ」もそうですよね。「お金になるかどうか」の前に「ユーザーにとって便利か、役に立つか」を第一に考え、企画・実行しているのがディップの特徴と言えると思います。たとえばアプリのレビュー欄においても、ひとつずつ企画部門が内容を確認し、ユーザーの方に返信しています。こういった行動が取れるのは「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」という企業理念や「One to One Satisfaction」というブランドステートメントが会社全体に根付いているからであって、これらの「企業の根っこにあるもの」は一朝一夕にマネすることはできません。

高橋:そういった企業の姿勢も含めて、Webサービスの差別化につながると。

藤村:また、個人的にはディップに契約社員で入社し、その後正社員に登用され、2022年9月には部長格に昇格でき、ここまで育ててもらった恩も感じています。ディップで、『はたらこねっと』で成長できた恩があるからこそ、今後は恩返しをしていきたいですね。

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藤村 海仁

商品開発本部 メディアプロデュース統括部 メディア編集部 次長 / はたらこねっと課 課長(兼務) 2015年12月、契約社員としてメディアプロデュース部門に中途入社。2016年5月、正社員登用。『はたらこねっと』を担当後、『バイトル』のグロースハックへ異動。2022年9月より現職。

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高橋 正憲

商品開発本部 クリエイティブ統括部 制作戦略推進部 制作企画課 3代目dip people編集長。2008年に新卒で入社し、進行管理、広告審査室、制作ディレクター、管理職などを経験。2020年4月より現職。