このままじゃ組織が壊れる。 1人の訴えから始まった顧客貢献への道。

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今野優花
中西日本エリア事業部 中日本エリア事業部 名古屋営業1部 静岡営業課 ▼詳細

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馬場 翔大
商品開発本部 クリエイティブ統括部 広告制作部 関西制作課 ▼詳細

ディップの静岡オフィスには採用が生まれた企業にGoogleマップ上でハートマークをつけていく「採用者マッピング」という独自の文化があります。この取り組みの発起人である中日本エリア事業部・静岡営業課の今野さんに、当時の苦労や成果を聞きました。

あえて苦手な営業職に挑戦した新人時代。さまざまな部署を渡り歩き得たもの。

馬場:今野さんは2017年に新卒で入社されていますが、ディップを選んだ決め手はどこだったんですか?

今野:私の就活は結構イレギュラーで、もともと大学時代にインターンをしていた従業員5人ほどの会社へ就職が決まっていたんです。でも、人生に1回しかない貴重な新卒入社。せっかくなら苦手だと感じていた営業職に挑戦して自分をブレイクしたい。そう思って秋から就活をやり直しました。その中でディップを選んだのは「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」という会社のフィロソフィーに共感したからです。苦手なことにチャレンジするんだからキツいことも多いだろうけど、この想いを持った人たちとなら頑張れると思ったんです。

馬場:思った以上に熱い人なんですね。ブレイクというのは具体的にいうと?

今野:コミュニケーションですね。学生時代は自分が苦手と思った人とは一切関わらず、好きな人たちだけと過ごしてました。でも将来、人を動かす側になりたいと思っていて、そのためにいろいろな人と関係性を築けることは絶対必要。ディップでなら変われるかなって思ったんです。

馬場:なるほど。実際に入社してからはどうでしたか?

今野:大学時代に福祉を学んでいたこともあって、看護師の転職支援を行うエージェント事業部の営業として入社しました。ですが入社して数ヵ月後に状況が変わり事業部の人員を減らすこととなり、7月に異動を打診されて、石灰石を原料とした紙やプラスチックの代わりとなる新素材を販売するLIMEX事業部に移りました。

馬場:2017年に新設された部署ですよね。

今野:LIMEXは当時ほとんど知られていない商品で紙よりもコストは高いから、同じ土俵では誰も買ってくれないんです。なので「原料製造工程に木や水をほぼ使っていないので環境に優しい」「リサイクルが可能なので廃棄処分削減などのCSR活動に貢献できる」といったメリットを押して、企業の目指す姿を後押しする商品であることを伝える“ビジョン型営業”を意識していました。入社から半年以上が経ち、予算を追って顧客と商談、売上を積むいわゆる“営業っぽい仕事”ができるようになってきて嬉しかったですね。その後も出向や、正社員案件をメインで扱うNEXT事業部を経験してます。

馬場:そして2年目の終わりに、現在所属されているバイトルやはたらこねっとを販売する中日本エリア事業部静岡営業課への異動を打診されるわけですが。

今野:最初は断りましたね(笑)静岡は地元なんですけど、私は三島市っていう東部出身。でもオフィスは中部の静岡市だから同じ県内でも全く地元感がないんですよ。もともと地元を出たくて上京したのに、働き盛りの20代半ばで静岡に戻るのはちょっとなぁと。

馬場:そうだったんですね。でも最終的にOKを出した理由は?

今野:正直に言うと出世ねらいです(笑)新設される課だったので活躍できるチャンスが多くて、出世の近道かなって。人を動かす立場になりたいという目標もあったので、人数の少ない新設部署だったら経験値を積みやすいですし、異動を決めました。

売上だけじゃ意味がない。課長と探し出したバイトルを売る意味。

馬場: 今までバイトルは静岡エリアでの営業を行っていなかったんですよね?

今野:静岡にはこれまでオフィスがありませんでした。コストをかけて新たに課を立ち上げたこともあって、まずは黒字組織にするという目標でスタートしたんです。とはいえCM放映のない静岡ではバイトルの知名度が全くなかったので苦戦しましたね。

馬場:知名度がない。LIMEX事業部のときと同じですね。

今野:そうなんです。静岡は紙媒体が主流で「バイトルと申します。ネットの求人を出しませんか?」と言ってもなかなか取り合ってもらえなかった。なので、LIMEX事業部での経験を活かして、ネットだからこその強みや可能性を伝えるビジョン型の営業で勝負しました。この売り方をやってきたのは私だけだったので、自分自身の強みにもなりましたね。

馬場:ビジョン型の提案とは具体的に言うと?

今野:費用対効果を考えると紙媒体には劣るので、「もともと首都圏を中心に開拓をしていた会社ですが24期目に静岡と広島に進出。地方に力を入れることになりました」とバイトルが静岡に進出した経緯を伝えた上で「紙媒体と比べて文章、写真、動画など採用のための工夫がたくさんできます。本当に欲しい人を採りましょう!」と熱意を伝えてビジョンに共感してもらうことを目指しました。お客様の反応は2パターンで「いいね!」と言ってくれて使ってくれるか、「いいけど、最終的には費用対効果だから…」と断られるか。

馬場:静岡でのバイトルは効果が出るかまだわからない状態だったわけですもんね。

今野:データがないので「同じ職種での採用事例があるから大丈夫です」と言えないのが営業の腕の見せ所でした。なので、このビジョン型に振り切って必死に業績を追うことで、最初の半年は何とか売上目標を達成することができました。成果が認められて昇格もさせていただきましたね。

馬場:すごいですね!幸先良いスタートが切れたんですね。

今野:実は全くそんなことなくて。昇格をきっかけに静岡での半年間を振り返った時に「私って何のためにバイトルを売ってるんだろう」って思ったんです。業績を追うのに必死で、掲載後のフォローや採用確認の時間がぜんぜん取れない。売っておしまいになってしまっていたんです。そんな中、課の売り上げ目標が大幅にアップ。これは絶望感がありましたね。私だけじゃなく、メンバー全員が疲弊しきっていました。

馬場:「数字を達成出来て嬉しい!」って気持ちはあるけど、長くは続かなかったと。

今野:なので課長に「このままじゃ組織が壊れてしまう」と直談判しました。3年目の若手が生意気に何言ってんだって感じですが、業績だけの軸では課全体に頑張れないって空気が漂っていたんです。いろいろな組織を経験したことから全体を見る力もついていたんだと思います。

“1応募1採用を生み出せる媒体”になるための努力と成果。

馬場:課長の反応はいかがでした?

今野:「俺もそう思ってた」と言ってくれてすぐに2人で改善策を練り始めました。毎週ミーティングを行って、競合と比べてバイトルがお客様のためにできることは何かを一緒に考えていきました。他の拠点では通用するデータを用いた提案や、価格戦略は静岡じゃ通用しません。自分たちでプロモーションできるような独自の武器を生み出していくくらいの気持ちがなければ、生き残っていけないと感じていたんです。

馬場:プロモーションを生み出すってなんだか壮大ですね。

今野:でも、おかげで自分たちの強みを再確認するきっかけになりました。競合である紙媒体は掲載スペースの大きさによって料金が変わりますが、バイトルは掲載料金に関わらずたくさんの情報を掲載できます。もちろん写真や動画だって載せられて、応募から採用につなげる工夫がどの媒体よりもできる。そこから「本当に欲しい1人からの1応募1採用を生み出せる媒体」というブランドを確立したいと考え、Googleマップを活用した採用者マッピングが生まれていったんです。

馬場:具体的にどういったものですか?

今野:採用成功した企業にGoogleマップ上でハートマークをつけていくという取り組みです。ただマークをつけるだけではなく、採用者の年齢や性別までお客様にヒアリングして、事例として蓄積していくことで自分たちの成果を見える化しています。

馬場:確かに地図上にハートマークが埋まっていくのを見るとやる気が出そうですね。メンバーの反応はどうでしたか?

今野:直接、自分の業績につながる取り組みではないし、ただでさえ忙しい中で新しいことを始めるのはハードルが高くて、最初は難色を示すメンバーもいました。でも「まずはやってみよう!」と半ばムリヤリ参加してもらいましたね。やるからには本気で取り組んでもらいたいと思って、この取り組みを行うことになった背景や意義を隔週でメールで送り、徐々に理解してもらえるようにしました。

馬場:少しずつ浸透させていったんですね。取り組みを始めて変化はありましたか?

今野:これまでは、業績のためにバイトルを売ることがゴールになっていました。でもこの取り組みを始めることで採用→定着→活躍が最終目標になり、商談スタンスが大きく変わったのを感じています。欲しい人を採用するために、定期的に原稿勉強会を実施したり、商談時にはどのような人財がほしいのか、なぜその人財が必要なのか、そもそもその求める人物像は現実的なのか。突き詰めたヒアリングが無意識にできるようになっていったんです。そして、バイトルで使える画像・動画などの機能を総動員させることで競合に食らいついていきました。

馬場:ディップのフィロソフィーのひとつである“情熱”をすごく感じるエピソードですね。

今野:少しずつGoogleマップが埋まっていくことで課の士気が上がっていくのを感じました。1年目のメンバーが初めて担当する職種でも、このマップを見て「あの先輩が同じ職種で採用を出してたから質問してみよう」って自分から動いてくれたりして、嬉しかったですね。

馬場:商談にも使えそうですね。

今野:実際に「採用された人」のデータになるので、お客様の姿勢も前のめりになり、会話が深まりました。「採用が出てる企業とうちは何が違うんだろうか」って、自然にライバル企業と比較して募集条件の緩和や、求職者行動の分析の話になったりしています。エリアごとの採用難易度もひと目でわかるので目線合わせがとてもスムーズになりました。

「自分が変われば周りが変わる」静岡で見つけた新しい仕事への価値観。

馬場:自ら手を挙げて採用者マッピングという取り組みを行って、成長できた部分はありますか?

今野:約1年たった現在、課全体で知恵を絞り348名(2020/12/17付け)の採用者を出すことができました。これは単なる採用者の数ではなく、お客様に貢献できた証でもあり、自分たちの仕事に自信が持てるようになりましたね。立ち上げ当初は組織黒字化のため、昇格のためなどと自分たちに矢印が向いていましたが、今はお客様の未来のために採用まわりのお手伝いをしたい。そのために求職者に寄り添った考え方を深めていきたいって気持ちです。この気持ちを持てたことで、よりお客様のためになる行動や工夫を重ねることができ、自然と仕事を楽しめるようになりました。

馬場:課長に相談してから実行までのスピード感もすごいですね。

今野:課長はもともと派遣企業などを担当するHR事業本部出身で、数字と効率に重きを置く考え方でした。でも私の意見や価値観を真剣に受け止めてくれて、一緒に考えてくれて。これまで経験してきた他の部署でも、上司はみなさん同じでした。こうした若手の考え方を受け入れてくれるのはディップの強みだと思います。入社したときから役員の方に「自分が変わって動けば周りが変わる。だから変われ!」って言われ続けてきたんです。それを静岡に来て初めて実感しましたね。課全体を巻き込めるだけの影響力があるなんてびっくりですよ。

馬場:「自分をブレイクしたい」という想いで入社されて3年半ほどたちますが、変われたと思いますか?

今野:苦手だった営業の仕事に楽しく向き合うことができています。そしてなにより今は、私たちを通じてお客様の未来と求職者の未来を明るくしたいって気持ちが強いです。営業会社であるディップでは、もちろん売上を出すことが大切ですがそれだけじゃない。目指すゴールは同じでも、そこに至るまでのプロセスは営業それぞれが考え、行動していけばいいと思っています。私はこの採用者マッピングという取り組みを通じて、マーケットに価値や意義を創るというやりがいを見つけました。ディップは従業員2000人を超えて、規模の大きい会社になりました。だからこそ、企業に甘えず大事にしている価値観や強い意志を、勇気を振り絞ってぶつけ合い、みんなでより良い方向に進んでいきたいって思っています。ディップはその意志を大切に育ててくれる会社です。

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今野優花

中西日本エリア事業部 中日本エリア事業部 名古屋営業1部 静岡営業課 2017年新卒入社。「自分が関わる全ての人の未来を明るくしたい」という目標を掲げ、日々奮闘中。海外旅行が好き。

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馬場 翔大

商品開発本部 クリエイティブ統括部 広告制作部 関西制作課 原稿作成や取材を通して、クリエイターとは何たるかを模索中。スキあらばラムネを食べてる。