デザイナーの可能性を追求して。ユーザーと向き合い続けるUIUXデザイナーの挑戦
アプリのディレクターから始まり、現在はスクラム開発のモデルチームでデザイナーとして活躍する大森すみれさん。1年目からUIUXデザインに携わり、数々のプロジェクトで成果を上げてきました。新しい挑戦を続ける大森さんに、デザイナーとしての思いや目指す姿について伺いました。
レコリンから始まるデザイナーとしての第一歩
上原:自己紹介をお願いいたします。
大森:商品開発本部メディアプロデュース統括部バイトル部スクラム2課でUIUXデザイナーをしている大森すみれです。
上原:入社されてからどのような業務に携わってきたのでしょうか?
大森:入社後は1ヶ月間の営業研修を経て、レコリンという社内で内製している営業支援アプリのディレクターとして3ヶ月ほどOJTを含めて担当しました。その後、採用ページコボットのという別のプロダクトで、ユーザー側が見るテンプレートの作成を担当しました。さらに、営業支援のための新規プロダクトのUI/UXデザインを任された後に、現在はスクラムチームに所属しています。
上原:レコリンのプロジェクトではディレクターを担当されていたそうですが、具体的な仕事内容を教えてください。
大森:レコリンは営業の方が使用するプロダクトなので、営業の方へのインタビューを通して課題を発見し、解決策をプロダクトオーナーの大平さんと擦り合わせて企画を立案しました。その後、エンジニアと連携して業務を進めていきました。
上原:初めて配属された仕事で困難なこともたくさんあったと思いますが、一番困難だったことを教えてください。
大森:実は特に大きな困難はありませんでした。同期が2人いて、3人全員でレコリンのディレクターを担当しながら実際の業務や社内システムとの連携について学ぶという意味合いが強かったんです。もちろん、営業の方々にインタビューやアンケートを取る際は緊張しましたが、先輩たちに手取り足取り教えていただきながら進められました。
「0から1を創る」意欲が導いた、新たなデザインへの挑戦
上原:その後は採用ページコボットの案件に参加されたそうですが、自ら手を挙げて参加されたのでしょうか?
大森:そうですね。レコリンでの業務を通じて、上司との1on1の中で自分がやってみたいことを伝えました。その結果「こういう仕事があるけど、どうですか?」という形で声をかけていただきました。
上原:どういうことをやってみたくてコボットの案件に参加したのか、具体的に教えていただけますか?
大森:レコリンは既存のプロダクトで大きな改変ができない状態だったので、自分で0から1を作る経験を積みたいと思っていました。
上原:新規の開発という点に魅力を感じられたということですね。コボットに異動されてその思いは叶えることができましたか?
大森:UIデザインの仕事を通して自分のやりたいことを実現することができました。ただ、それをやる中で、より上流の設計やUXデザインもやってみたいという思いも芽生えてきました。
上原:採用ページコボットのUIデザインをする際にこだわった点を教えてください。
大森:2つの点にこだわりました。1つ目は、業種に関係なくディップのお客様が漏れなく使えるテンプレートを作ることです。2つ目は、時代が経過しても古く感じられないデザインにすることです。
上原:時代が経過しても古く感じられないデザインとはどんなデザインなんですか?
大森:例えば、最近流行している3D表現やグラデーション、粘土調のデザインは2、3年後には「あの時期に流行ったデザイン」という印象を与えかねません。そのため、よりシンプルに、どの時代でも受け入れられるデザインを心がけました。
妥協なき姿勢が花開いた1年目。受賞の背景に迫る
上原:デザイン業務はおひとりで担当されたそうですね。プロジェクトで特に苦労した点を教えてください。
大森:デザイナーではない方々と一緒に仕事を進めていく中で、最初はコミュニケーションに苦労しました。今までデザイナー達の中でしか活動してこなかったので、チームメンバーに私の言いたいことを十分に伝えることができず、また相手の言っていることを私が完全に理解できなかったことがあり悔しい思いをすることもありました。
上原:具体的にはどのようなやりとりがありましたか?
大森:例えば、現代のユーザーはプライベートでLINEやX、Instagramなどを主に使用しているので、それに合わせたユーザー体験やインターフェースを社内で使用する営業支援システムでも提供すべきだと考えています。そのため、昔と同じUIよりも今風のUIに変更するのはどうかという意見を出したのですが、「慣れているから」という理由で今までのUIを採用されたんです。根拠に基づいて議論して決まったことならいいですがちょっと腹落ちしなくて。
上原:大森さんはどのようにアプローチされたのでしょうか?
大森:相手が理解しやすい言葉を使うことに注力し、1回で伝わらなくても諦めずに対話を続けるようにしました。その結果、「本当にユーザーにとって何が最適か」をチーム全体で議論できるようになっていきました。
上原:妥協せずに自分の意見を伝える努力をされたんですね。大森さんはデザインのクオリティの管理にも取り組まれていたそうですね。デザイナーが1人だけだとレビューし合うこともできないなど管理が難しいのではないでしょうか?
大森:デザイナーでなくても確認できる部分は様々な方に意見を求めるようにしました。例えば、エンジニアの方に実装方法について確認するなど多くの人を巻き込んで進めていきました。この経験は、後のプロジェクトでも活かすことができています。
上原:1年目から大活躍ですね。結果として2023年度の通期表彰で特別賞と四半期の本部表彰でそれぞれ受賞されましたが、これらはどのような賞なのでしょうか?
大森:通期表彰は1年間で良い成績を残した社員に対して課から1人選ばれる賞です。本部表彰に関しては、そのクォーターで頑張った社員を本部内で自由に推薦する制度があり、商品開発本部内で推薦していただいて選ばれました。
上原:受賞された要因として他に考えられることはありますでしょうか?
大森:デザイナーとして何を実現したいのか、ユーザーをどういう状態にするのがゴールなのかをしっかりと理解した上でアウトプットを出すように心がけてきました。見た目は良くても使えないものになってしまわないように必要な情報を自分から積極的にキャッチし、わからないところがあれば「わからない」とはっきり伝えるようにしていました。そういった姿勢が評価されたのではないかと思います。
スクラム部×デザイナー。新時代の開発を創る
上原:現在はスクラム部に所属されているとのことですが、どのような経緯で異動されたのでしょうか?
大森:商品開発本部の開発体制をスクラムにしようという働きかけがCTOの長島さんからあり、他のチームのお手本となるようなスクラム開発を実践するチームを2つ作ることになりました。元々所属していた部の部長が片方のチームのリーダーとなり、声をかけていただいたことがきっかけです。
上原:新しい部署への異動で不安に感じたことはありましたか?
大森:不安よりもワクワクした気持ちの方が大きかったですね。新しい環境に入ることも魅力でしたし、今までの開発体制に100%満足していたわけでもなかったので、大きく変わることは自分の性に合っていると感じました。
上原:スクラム部ではどのような仕事をされているのでしょうか?
大森:与えられたプロダクトやプロジェクトに取り組むのではなく、自ら案件を作っています。様々な事業部の要望を見てユーザーにどういう体験を提供していくのか、社内の営業体制が変わっていく中でどのような営業行動になっていくのかといったところを分析し、議論を重ねています。
上原:1年目の仕事で培ったスキルで今の仕事に生きていることはありますか?
大森:1年目は社内システムの全体像や実際のプロダクト作りの流れなど、しっかりと学ばせていただきました。そのため、2年目に入って急に視座が高くなるような場面に放り込まれても、様々な人が異なる意見を出す中で「そこはこうなっているのでこっちはこうした方がいいと思います」といったように全体を見通して考え意見する力が身についたと思います。
上原:逆に、今の仕事の中で一番課題に感じていることは何ですか?
大森:1年目から感じていた課題は依然として続いていて、チームメンバーのデザインに対する意識改革が必要だと感じています。デザイナーは「絵を描く人」という認識からの脱却があって初めて私の思うデザイン活動はできると考えています。
「手段」から「革新」へ。デザイナーが語る価値創造の哲学
上原:ずばり、大森さんが考えるデザイン活動とはどのようなものでしょうか?
大森:デザインとはユーザーや社会をより良く豊かにしていくために使われるべき手段であり、それ以上でも以下でもないと考えています。
上原:そうするとデザイナーにはどのようなスキルが必要だとお考えですか?
大森:現状に固執しすぎずに新しいことを受け入れられる柔軟さが重要だと考えています。
上原:柔軟さが重要なんですね。話は変わりますが「状況に応じて最善の貢献をする」というポリシーをお持ちだと伺いました。これを実践する上で大変な点を教えてください。
大森:2つ大変に感じる点があります。1つ目は「これは自分の役割ではない」と思ってしまいがちな点です。デザイナーとしての役割にこだわるのではなく、自分のリソースが空いているなら積極的に行動する姿勢が大切だと考えています。2つ目はゴールを達成するための手法にこだわらないということです。自分の思い描く方法でなくても、目標達成につながるかどうかを判断基準にすることを心がけています。
上原:すごい向上心ですね。また、1年目から社外にも積極的に発信されているとのことですが、向上心の根底にある思いを教えてください。
大森:私自身が入社してから「こんな仕事がこの会社にはあるんだ」と気づいた経験から、同じような人たちに入社してほしい、仲間が欲しいという思いがありました。上司や周りのメンバーは私のことを理解しようと努めてくれていますが、やはり思い通りに伝わらないこともあるので、似たような人が1人でも入社してきてくれたらいいなと思っています。
「使う人が笑顔になる」その瞬間のために
上原:今後、社内でチャレンジしていきたいことを教えてください。
大森:デザイン的なアプローチでプロダクトの制作に取り組みたいと考えています。社内でのデザイナーという役割はグラフィックを作成する人というイメージが強いので、現代のデザイナー、つまりUI/UXデザインが活かせるような環境を作りたいと思います。
上原:具体的に関わってみたいサービスはありますか?
大森:営業の方々が「目標達成して金曜日や月末に皆で飲みに行けるような世界」をプロダクトを通してサポートしていきたいですね。具体的には、営業の方が簡単に使えるようなプロダクトや働きやすい環境作りに貢献していきたいと考えています。
上原:最後にデザイナー志望の学生さんに向けてアドバイスをお願いします。
大森:デザイン職という募集をしていなくても、デザイン活動ができる可能性のある仕事はたくさんあります。私もデザイナーが働きやすい環境作りを頑張っています。自分のやりたいことにこだわりすぎずに、いろんな世界を見てみることをお勧めします。