運用はゲームを解く感覚に似ている。AI・RPA事業、異動半年間の奮闘記。
2019年3月、ディップは“Labor force solution company”という新たなブランドステートメントを策定し、以来急拡大中のAI・RPA事業本部。同事業本部では中途採用の活躍が多い中、メディア事業から異動し、まだ半年ながら現在はオペレーションチームのリーダーを務めるヴァン。まったくの未経験で異動し、最初は戸惑いながらもなんとか食らいついてきたという彼女の奮闘に迫りました。
まさにカルチャーショック。会議の内容、コトバの意味…何も分からなかった1ヵ月目。
高橋:ヴァンさんは2020年3月にAI・RPA事業本部に異動されていますが、もともとAI・RPA業界や新規事業に興味があったのですか?
ヴァン:AI・RPA業界はこれからも伸びていくだろうし、執行役員の進藤さんが書かれた『いちばんやさしいRPAの教本』も読んでいたので、もともと興味はありましたしおもしろそうだなとは思っていました。でも自分は文系出身で数字も苦手だし、踏み出す勇気はなくて。そんなとき、ディップが東南アジアのITサービス、DXのパイオニアであるFPTソフトウェアとRPA分野で業務提携することが決まり、それが後押しとなり「自分のアイデンティティも活かせるんじゃないか」と思い、異動の決心をしました。
高橋:異動してみていかがでしたか?
ヴァン:最初の1ヶ月はとにかくカルチャーショックで。本当に世界が変わったというか、とにかくパニック(笑)コミュニケーションはメールじゃなくてSlackだし、会議に出てもみんなが話している言葉の意味すら分からなくて…。周りは中途入社の経験者の方ばかりだったので、自分にとっては「みんな天才」「すごい」という感じで(笑)それまではずっと「バイトル」や「はたらこねっと」などのメディア事業に携わっていたので、本当に何もかもが違って圧倒されましたね。
高橋:たしかに、新卒入社が多いメディア事業とは雰囲気もかなり異なりそうですね。
ヴァン:私は2018年に新卒としてディップに入社し、AI・RPA事業本部に異動するまではつくばオフィスで営業職を1年、営業サポートを1年やっていたので、周りは「新卒入社」の「営業職」が多かったんです。そうすると考え方やスタンス、仕事のやり方などもだいたい似通ってくるのですが、AI・RPA事業本部はぜんぜん違っていて。同じオフィスの中に営業、企画、開発、運用…たくさんの職種の方が集まっていて、みんな今までの経験、仕事のやり方、コミュニケーションの取り方、年齢もバラバラなので、とても新鮮でした。
高橋:他に感じた違いはありますか?
ヴァン:ディップの事業ではありますが、まだまだゼロから創り上げていく新規事業、スタートアップとしての要素が強いので、みなさん指示を待たずに自分たちで仕事を取りに行く、つくっていくという雰囲気が強くて。私にとってはすごく刺激的でした。みなさんそれぞれの役割はありながらも、「同じ目標に向かってみんなで一緒にやっていく」という雰囲気があって、これがスタートアップ事業で働く人たちのあるべき姿なのかなと思いました。
すべて「自分事」にする。できることはなんでも拾い続けた。
高橋:「カルチャーショック」の状態から、どのように抜け出したんですか?
ヴァン:まずはみなさんが話している言葉の意味を理解したくて、「ITパスポート」という国家資格を取りました。その勉強をしつつ、とにかく仕事中、MTG中に分からない単語が出てきたらその内容をメモして、一度自分なりに調べて考えてから周りの方と答え合わせをして、ということを繰り返していきました。
あとはどんなことでも「他人事」と思わないようにしましたね。「自分に関係ないこと」と思ってしまうと内容が頭に入ってこなくなるのですが、「すべて自分に関係あること」ととらえてMTGや仕事にのぞむと、「あれはどういう意味だったんだろう」「あの言葉はこういう意味だったのかな」と学びのスイッチが入ります。自分の知識を広げるために、あえて自分が所属しているのとは別の構築担当チームに「私も朝会に混ぜてください」とお願いして、MTGに混ぜてもらったりもしました。最初は専門用語が多くて会話の内容についていくので精いっぱいでしたが、とにかく仕事で使うキーワードに触れ、聞き慣れること、そのキーワードが何を指しているのかを把握することを心がけましたね。
高橋:業務としてはどのようなことを担当されてきたのですか?
ヴァン:私がいるのは「オペレーションチーム」といって、お客さまの申込内容に沿ってロボットが動くように日付を設定したり、アカウントを発行してお客さまにお渡ししたり、営業さんの受注を管理したりするチームなのですが、まずはそれらの作業をひたすら覚えていきました。
とはいえ知識も経験もないまま異動してきたので、最初は自分にできることがほとんどなく、焦りだけが強くなって…。なのでとにかく自分ができそうなことはすべて拾うようにしました。上長の幸重さんが「営業に送るメールのテンプレートが必要」と言っていたら「じゃあ私つくります!」と手をあげて、周りの人にアドバイスをもらいながら自分なりにつくってみたり。当時のチームは社員が幸重さんと私の2人しかいなかったので、とにかく些細なことでも幸重さんの役に立ちたい、手助けをしたいという感じで自ら仕事を取っていくようにしました。
高橋:「指示を待たずに自ら動く」というAI・RPA事業本部のカルチャーにも通じるところがありますね。
ヴァン:そうして現場の作業を覚えていくと、少しずつ「改善したほうが良さそうなところ」も見えてきました。私はExcelしかできなかったので、とにかくExcelで関数を組めるところは組んで、少しずつ業務を効率化していきましたね。そうするとだんだんサービスの裏側に紐づいているものが見えてきて、「サービスを運営するってこういうことなんだ」と分かるようになっていきました。
運用はゲームを解く感覚に似ている。
高橋:現場の作業からスタートしたとのことですが、現在はどのようなことを?
ヴァン:異動した3・4月はとにかくガムシャラに自分のできることを探し、それが5月頃から少しずつ軌道に乗り始め、6月にはオペレーションチームのチームリーダーを任せていただけるようになりました。現在は「不動産コボット」「面接コボット for アルバイト」「HRコボット for タイムカード」「HRコボット for 応募対応」などさまざまなサービスに携わっています。チームには業務委託の方が2名いるので、設定作業などはお2人にお願いし、私はそのチェック作業などをしながら、最近では運用フローの設計をメインに担当しています。
高橋:「言葉の意味すら分からなかった」のが半年前とは思えない、急成長ですね…!
ヴァン:新サービスなどをリリースするにあたり、それを実際にどうやって管理し、契約付与し、回していくか、などを考えるのが私たち運用チームの役割です。今は大まかなフローを幸重さんがつくってくださるので、「ここで業務システムに登録する必要があるな」「この作業をやるにはこの情報が必要だな」「そのためにはこの部署から情報を得て、この部署につなぐ必要があるな」など細かな部分を私が詰めていきます。「どんな形がいちばん手間がかからず正確にできるのか」という視点も必要ですし、「このやり方でリスクは起きないか」というリスク回避の視点も必要です。
高橋:大変なことはありますか?
ヴァン:最初は「運用ってそんなに複雑なことなの?」とも思っていましたが…。たとえば複数店舗で導入しているクライアントが1店舗だけ解約したいとなったときに、どこに何を登録してどこで管理して…なども細かくルール、フローを定め、きちんと管理する必要があります。運用は関連するすべてのことを想定しておかないといけない。そこが大変なところですね。
高橋:逆に楽しいところは?
ヴァン:営業の頃はお客さまとのやり取りが楽しかったし、営業サポートの頃は原稿を書いたりクリエイティブなことが楽しかったのですが、今はぜんぜん違う楽しさがありますね。たとえるなら運用の仕事は「ゲームを解こう」としている感覚。解けそう、でも解けない、みたいな繰り返しが楽しいです。しかも周りにはベテランの方が多いので、ヒントもたくさん教えてもらえます(笑)「ありがとうございます!もうちょっと考えます!」と行ったり来たりしながら、仕事に取り組んでいます。
味方しかいない。だから私も自由でいられる。
高橋:異動からの半年を振り返って、いかがですか?
ヴァン:とにかく今は毎日が楽しいです。日々の仕事が楽しすぎて、つい時間が経つのも忘れてしまいます。まだまだやらかすことも多いですが(笑)
高橋:そう思えるいちばんの理由って何なんでしょう?
ヴァン:やっぱり人間関係にはとても恵まれているなと思います。誰も否定しない。「いいじゃん、やってみな」って、常に応援してくれる。みんなが自由にコミュニケーションできる環境だから、私も自由に自己表現できるというか。
一般的に考えれば、入社3年目で、しかもRPAの知識も経験もない私がいろいろ提案できるってすごく貴重な機会だと思うんです。でもここなら未経験の私でもどんどん挑戦させてもらえるし、助けてももらえる。ホントに周りは味方しかいないし、異動してきた私が置いていかれているという感覚もまったくありません。そこがAI・RPA事業本部の好きなところです。
高橋:今後やりたいことはありますか?
ヴァン:とにかく今は運用の仕事が楽しいので、もっといろんなサービスに携わって、そのサービスをより負担なく正確に進められるようにしていきたいですね。あとは自分がそうしてもらったように、みんなが気持ちよく働けるよう、環境づくりにも力を入れていきたいです。チームのメンバーはもちろん、私と同じように他の事業部から異動してきたメンバーも増えてきたので、私が楽しく働けている分、次は周りの方が楽しく働けるよう、環境をつくる側にまわっていきたいです。