UXディレクター職最終選考官が語る、新卒に求めるものと未来への展望

interviewee

進藤 圭
▼詳細

author

片田 智美
商品開発本部 メディアプロデュース統括部  ▼詳細

今回は執行役員 商品開発本部長であり、UXディレクター職の最終面接官も務める進藤圭(シントウ ケイ)さんにお話を伺いました。ディップのUXディレクター職の社員が働く組織のひとつであるメディアプロデュース統括部(以下、MP)はどんな組織なのか、そしてどんな人と働きたいと思っているのか、詳しくお話いただきました。

自分のアイデアがすぐに実現できる。それがディップの入社理由

片田:本日はよろしくお願いします。簡単に今までのご経歴を教えてください。

進藤:大学の頃は勉学よりもビジネスに夢中な学生でした。2度の起業を経験し、2回とも失敗したので「もう起業はいいからサラリーマンになりたいな」と思って就職活動を始めました。そして選考を受けた中で一番変な会社で、「やりたいことをやってみれば」と言ってくれたディップに入りました。最初の1年間営業担当を経験してから、2009年頃ナースではたらこという新規事業立ち上げに参加し、その後は、バイトル、経営企画、マーケティングなどに複数の異動を経験しました。あとは2012年頃のまごラブや、2014年頃の聖地巡礼マップというプロダクトを作ったり、2016年頃には投資事業を始めたり、2020年頃にはDX事業を始めたり。そして今はバイトルやはたらこねっとの企画開発とマーケティングを担当している商品開発本部の責任者をやっています。

▼聖地巡礼マップ

片田:ディップの選考を受けようと思ったきっかけは何だったんですか?

進藤:大学時代に起業していたときの事業モデルが派遣事業みたいなモデルだったんですよ。それで人材事業って面白いなと思ったのがきっかけです。当時はディップの他にもいくつか大手人材系の会社の選考も受けていました。

片田:その中で1番やりたいことができそうな企業がディップだったと。

進藤:内定をもらった会社全部でインターンをさせてもらって、どの会社もとてもいい会社だったのですが、ディップ以外は新規事業の専門家ですよみたいな人がいっぱいいて。どうせ新規事業やるときもこの人たちがやるんだなというのが一つ見えてしまったことと、何かやりたいとなったときの稟議がすごく重たいんですよ。これは自分には合わないなと思いました。ディップのインターンでは人事に配属されていて、初日にインターン型選考をやりたいですと課長に言ったら「いいじゃんやりなよ。進藤くんが責任者ね」と言われました。その日から本当に同期の採用をやりました。それくらいカジュアルに任せてくれる。それ以外でもアイデアを1回も否定されなかったですし、そういう所が良いなと思って入りました。

片田:インターン中に既にいろいろとやりたいことをやられていたんですね。

進藤:はい。もう1つは社長面接の時に何をやりたいのか聞かれて、新規事業をやりたいですと言ったら、社長も同じ思いを持っていたので、自分とディップの方向性も合ってるなと確認できたのも大きかったですね。

片田:今まで関わってきたプロジェクトの中で1番やりがいがあったというか、印象に残っているものはありますか?

進藤:労働時間でいうとナースではたらこの立ち上げですね。3カ月間くらいで事業をつくっているので、時間とエネルギーをこれまでで一番使ったなと思います。1番面白かったなと思うのは聖地巡礼マップ。ディップでそんな事業をやれるとも思っていなかったし、反響も大きかったですしね。

ユーザーの声から生まれた数々の新規事業

片田:聖地巡礼マップはどのようにして始まったのですか?

進藤:もともと社内で人材以外の事業もやりたいという話はずっとあったんです。色々と検討している中で地方創生をテーマにした新規事業を作ることはできないかという話になりました。サービスを考えた2014年当時はオリンピックをやるかやらないかみたいな時期でしたし、国内外から人が来たときに地方を盛り上げられる材料はないのかと探していました。普通の観光地ではなく若い人たちが行くのはどこなんだろうとリサーチしていたら、アニメの聖地というのがあるらしいと。プロダクトを作る前にユーザーにインタビューをしていたら、どうやらまとめて探せるサイトがないらしい、じゃあ作るか、となってあのサービスができました。

片田:なるほど。地方創生がテーマだったのですね。

進藤:そうです。最終的な目的は、地方に仕事を生むことでした。ディップはあくまで求人会社なので。地方が盛り上がらないと地方に仕事ができない、求人が出てこないので、観光送客で盛り上がるようなサービスを作ろうというのが1番最初でしたね。

片田:ありがとうございます。話は戻りますが、ナースではたらこは、一から作られたんですよね?

進藤:はい。もともとジョブエンジンというサイトはあったものの、人材紹介とか看護師とかその辺はディップにノウハウがあまりなかったので。いろいろ試しながら作った感じですね。

片田:例えばどのような試行錯誤があったのかお伺いしたいです。

進藤:最初は介護や医療を中心に業種を絞ってなかったのですが、なんだかうまくいかない。そこから50人くらいのユーザーさん、30社くらいの企業・機関さん、20社くらいの人材系の競合や関連事業者にインタビューをしました。その中で「看護師さんが一番就職で苦労しているし、採用側も大変そう」ということがわかりました。でも、方向転換する予算も、長々議論する時間もない。

片田:予算も時間も無い中、どのように工夫をされたのですか?

進藤:簡単なランディングページのサイトを作って、それでテストマーケティング。その後自分で求人を病院にもらいに行き、登録してくれた看護師さんと面談をして、採用までやりきってみました。そこで実績やデータを作って、事業計画を作り直し、サイトの計画を作り直しながら予算を再度獲得しました。ユーザーとクライアントの話を聞きながら、事業を形にする試行錯誤をしたわけですね。

ディップのMPに根付く、フィードバックをする文化

片田:次はMP(メディアプロデュース統括本部)の組織について伺いたいなと思います。MPのチーム構成は今どのような感じですか?

進藤:メンバーは全体で100人ぐらいいます。編集部が4つあり、バイトル・バイトルNEXT編集部、はたらこねっと編集部、バイトルPRO編集部、そしてナースではたらこ編集部。4つの部署に分かれていて、その下にWebディレクター、CRMディレクター、デザイナーといったサイトを作る人が固まっています。これが編集部組織です。その他にはデータ分析をやっているチームや社内DXを進めているチームもあります。コンテンツ企画担当でいうとBOMS(ボムス)をやっているチームもありますね。

片田:その中でおそらく最も有名なサービスはバイトルですよね。進藤さんはバイトルには関わっていらっしゃるのでしょうか?

進藤:直接サイトを作ってはいないです。バイトルやはたらこねっとのようなサービスがどうあるべきか、今後どういった方向に進むべきかというストーリーを作る、いわば大きな戦略を決める仕事をしています。それから予算や人の配置ですね。こっちにこれくらい予算を割こうとか、この人はここに配属しようとか。どっちかというとものづくりをするメンバーのみんなを支える仕事をしている感じです。

片田:直接プロダクトには関わらないお仕事をされている中で、どういった思いでお仕事をされているのでしょうか?

進藤:まず1つ目は世界一のプロダクトを作りたいという思いですね。バイトの世界ではタウンワークというプロダクトが今は世界で1番なので、そこを追い抜いていきたい、という対外的な目標があります。2つ目は、ユーザーの仕事探しをワクワクさせたいという思いです。仕事探しはつまらないというイメージがどうしてもありますからね。最後は実際働いている社員に対して、世界一のサービス・プロダクトを作ったというキャリアを持って、どこででも活躍できる人になってほしいという思いですね。

片田:社員個人の成長も見守られているんですね。

進藤:結局、会社やプロダクトは人の集まりでできているので、社員一人ひとりが成長してキャリアを伸ばしていかないとプロダクトも伸びないし、当然会社も伸びない、という考え方です。

片田:そんなMPの雰囲気はいかがですか?他の部署と違う特色があると感じることはありますか?

進藤:まず会社全体でいうと、ディップはゆるふわ体育会系の会社なんですよね。営業が多いのでそういった部分では体育会系なのですが、MPとか商品系の組織は、どちらかというとサークルっぽいですね。面白いのは絵を描いたり、何かを可視化、文章にしたりするのが得意な人たちが多いですね。雑談でもミーティングをしていてもいつの間にか画面に議事録が出てきて文字を書いてる人がいたりとか。そういう形にするのが得意な人がたくさんいる組織だなとは思いますね。小学校で言うところの、図画工作とか国語とかが得意な人たちが多いですね。

片田:一緒に働いていてMPの社員っていいなと思った具体的なエピソードはありますか?

進藤:みんなすごくフィードバックをしますね。新卒の社員がSlack上で日報を書いているのですが、たくさんスタンプやコメントがつきます。だからある程度、見えるものでフィードバックをするという文化が根付いているのはすごくいいことだと思います。

片田:コミュニケーションを取るのが好きな人が多いのでしょうか?

進藤:そうですね。ただシャイな人が多いので対面はあまり得意ではないけど、テキストコミュニケーションになるとみんな得意ですね。

片田:MP独特の文化とも言えるのでしょうか?

進藤:やっぱり営業の部署とかだと電話で話すのが好きだったり、1対1のコミュニケーションが好きだったりしますね。オープンにチャットで、絵で、スタンプでっていうのはやっぱり商品系の組織の方が強く出る気がします。おそらく絵で説明しなきゃいけない複雑なことが多かったり、文字にしないと理解がズレたりするということも関係しているかもしれないですね。あとはもちろん、チームメンバーの多くがリモートで働いていることもありますね。

「活躍するのは変な人」その裏にあるユーザーファーストへの徹底した考え方

片田:イメージを文字化できる人が多いというところを伺いました。それ以外にこういう特徴がある人がMPで活躍しているという共通点があったりしますか?

進藤:変な人が多いのが一つですかね。

片田:変な人っていうのはどういう人ですか?

進藤自分なりの何かしら観点・アイデアを持ってる人と言うのが正しいかもしれないです。それに対していろいろ異論・反論が出たりしても、そのアイデアをきちんと検証・改善をしながら実現までもっていく人というのが変な人です。条件で言うと、妄想じゃないということが前提条件としてあります。少なくともユーザーだったりクライアントだったり周りの人の意見を聞きながら、でもこうだよねっていうふうに考えられるかどうかということかなと思っています。

片田:あくまでもユーザー目線でのこだわりみたいなところですかね。

進藤:例えば人材業界の常識だと、人材紹介というサービスは電話をたくさんかけるのが当たり前という常識があります。でもそれはユーザーからしたら迷惑ですよね。本当はチャットやLINEだけで人材紹介した方がいいんじゃないかというアイデアが出て、実際にユーザーに聞いてみたらLINEの方が便利でいいですと言われた。そしたら今までの常識に囚われずユーザーの要望にこだわってつくっていこうと決めて、アイデアを実現していく、そういう物事をよくするための提案ができる変さですね。当たり前のことをやったって、それは他人と一緒だし大きなインパクトを出すことは基本できないですから。

新卒企画職に求めるものは「違和感を持てるか」

片田:MPは新卒で企画職を採用していますよね。これって就活生からしてみればすごく珍しいことだと思うのですが、新卒で企画職を採用し始めたきっかけはあるのでしょうか?

進藤:ディップという会社自体の入社比率でいうと、新卒が8割ぐらいなんです。もともとは営業職だけの採用だったのですが、2010年ぐらいからプロダクト文化を作る意味でも商品企画の組織でも新卒採用をしたいという話が出ていました。そして現在ではMPの中核を担っているような社員に新卒で入社した人が増えましたね。

片田:最初の頃はどうでしたか?制度づくりや教育など大変ではなかったですか?

進藤:受け入れたことがなかったので大変でしたね。もともとは中途ばかりの組織で、ある年から急に新卒を受け入れようとなったので、当然教育制度を作ったりとか、評価制度を作ったりとか。例えばもともとディップには営業の新卒社員向けに全社研修があったのですが、商品系の社員のための個別の研修パッケージがありませんでした。なのでウェブ職専門の研修内容を一から作りました。ウェブ職では人によって能力やスキル、経験にバラつきがあるので、ある程度揃えるための研修が必要でした。それから評価制度についてですが、営業職はわかりやすく数字で評価ができます。それに比べてウェブ職はプロセス重視で評価をします。評価方法をプロセスで測っていくやり方とスキルで測っていくやり方、両方を一からつくっていくのは大変でしたね。

片田:ディップにはプロフェッショナル給というものがありますが、新卒にも適用されるのでしょうか?

進藤:付与されている人はいますね。これは社員の能力と相場で乖離がある場合にその乖離を埋めるためにできた給与制度です。例えばデータサイエンティストなどの職種は市場価値が高くて、ウェブディレクターやライターだと割と安定している。そういった専門職それぞれの価値を会社の制度に合わせにいこうとすると変動が激しくてすごく大変なんです。でもフェアでありたい。それを変えずに現場で評価して、その人の価値にあった報酬を与えるというのがプロフェッショナル給です。

片田:新卒に企画職を任せる上で期待することはありますか?

進藤1番期待していることは、やはり1番ユーザーに近い存在であるというところです。正直私はもうユーザーの親の世代なんですよね。何が正しいかは正直わからないし、感覚はもうずれていると思っています。新卒の人たちは最も多いユーザーである学生に近い感覚を持っているので、その感覚のままプロダクトに触れて、アイデアを出して、改善していってほしいというのが期待することの一つですね。もう1つはディップのDIP、ドリーム・アイデア・パッションのある人を入れているはずなので、それを発揮してほしいという期待もあります。正直、ユーザーが求めていることと社内で決められることというのはかなり乖離があるんですよね。中途で入った社員や、私みたいに入社して15年経ってる社員とかが議論しているので。そこにきちんと違和感を持ってもらうというのはとても大事なことだと思います。「この人たちが話してることって変だね」という違和感を持てるかどうか。

片田:今までお話に出てきた「変な人」、「DIPがある人」の他にこんな人と働きたいという人物像はありますか?

進藤:よく言うのは、国語・算数・理科・社会ができる人と働きたいというのはありますね。別に高等な学問を修めてなくてもいいけど、話すとか聞くとか読むとかのベースがしっかりしてる人と働いたほうがお互いに楽だなと思います。

片田:基礎学力がある人ですか。

進藤:そうですね。これに関してはアスリートと一緒だと思っていて。だいたい陸上ができる人って野球もちょっと練習すればうまくなるし、サッカーもうまくなるんですよ。国語・算数・理科・社会でベースができてるってことは、ウェブの仕事をしても当然このベースが出来ていれば伸びやすいだろうなと感じています。サッカー選手を発掘している感覚に近いかもしれないです。この選手はパスとかシュートの能力がまだ低いけど、めちゃめちゃ足早いなとか。なんか知らないけどずっと走ってるぞこの人、みたいな。そんな可能性のある人を見つけて育てるのが好きだというのはあるかもしれないですね。

片田:育て甲斐がありそうな人とも言えそうですね。

新たな領域への挑戦、広がり続けるディップのビジネス

片田:最後にこれから進藤さんがディップでやっていきたいことがあればお伺いしたいです。

進藤:けっこういろいろとやってきましたが、DX事業を作った時は面白かった。やっぱり労働力を供給する方法をもっと増やしたいというのはありますね。例えばロボットの労働力。今ソフトウェアロボットの労働力を提供しているので、次はフィジカルロボットの労働力なんかも面白いんじゃないでしょうか。最近、ファミレスとかに行ったらお盆を運んでくるロボットがいますよね。あのロボットをディップが売ってもいいと思うんです。うちはホールスタッフの求人も扱っているので、人ではなくてロボットどうですかっていうビジネスがあってもいいだろうなとか。

片田:ロボットを売る会社になるんですか。

進藤:労働力として考えれば一緒ですよね。求人広告で人を集める、人材紹介で仕事を決めてあげる、派遣で人を送ってあげる、DXサービスでそもそも単純業務消してあげる、ロボットで人の代わりに働いてあげる。近い将来やることになりそうな気がしています。

そもそも労働というビジネスがいろいろと広げやすいんですよね。例えば職場にロボットを導入するとなると、当然仕事を奪われる人もいて、その人たちが別の職場に移動しなきゃってなった時に必要な知識があるかもしれないですよね。または新しい社員を定着させるために教育が必要かもしれない。そこでディップが何かできることもあるのではと思います。さらに労働者はお金を稼いでるわけだから、保険や投資などのファイナンスのビジネスもできそうですよね。そういった事業を我々のユーザー・クライアントを軸にして新しいことをどんどん広げていけるんですよ。

片田:まだまだ新しい領域に挑戦していくのですね。

進藤:企業理念が「社会を改善する存在となる」ですから、そこから外れなければ、自由でいいんです。こういう想像とかアイデアをキャッキャ、ウフフって喋れるような人はディップに向いているかもしれないですね。

 

いかがでしたか?今回の進藤さんのインタビューを読んで少しでもディップのMP職として働いてみたい、選考を受けてみたいと思った方はぜひエントリーをお願いします。まだまだ成長と挑戦をし続けるディップで一緒に、社会を改善していきませんか?

関連記事一覧

interviewee

進藤 圭

早稲田大学を7年かけ卒業後、ディップに新卒入社。営業、ディレクターを経て、開始後3年で15億円の売上に成長した看護師人材紹介「ナースではたらこ」など、40件以上のサービス企画に参加。直近ではAIアクセラレーターや「コボット」のDX事業立ち上げに従事。現在は生成AIを活用した「AIエージェント事業」に取り組む。

author

片田 智美

商品開発本部 メディアプロデュース統括部  23卒内定者。商品開発本部採用チームとバイトル編集部でインターン中。学生時代は観光テック企業でインターンとして働き、UI/UX改善や集客コンサルに携わる。