自分の弱さを認める勇気が未来を拓く――挫折から成長へ、入社4年目 採用コンサルタントの軌跡
「小学生のときから目立つタイプで、クラスでもいつも中心にいたんだよね。」――そう語るのは入社4年目の船橋晴空さん。彼の学生時代は誰もが羨むような成功で彩られてきました。
中学で生徒会長を務めるかたわら、水泳部で全国大会に出場。高校では水泳の強豪校でキャプテンとしてインターハイに進出。大学では某有名ホテルの社内コンテストで男性史上初のグランプリを受賞し、営業の長期インターンではマネジャーとしてチームを牽引するなど、輝かしい実績を積み重ねてきました。
しかし、新卒で入社したディップでは初めて「結果が出ない現実」に直面。順風満帆だった人生に突如訪れた挫折、そして自身の“驕り”を痛感した経験が、彼をどのように変えたのでしょうか。周囲も認める成功体験を重ねてきた船橋さんが直面した壁。その先に見出した新たなスタンスと採用コンサルタントとしての成長の軌跡に迫ります。
何でもできると思っていた学生時代
田中:まずは簡単に自己紹介をお願いします。
船橋:現在入社4年目で、採用コンサルタントとして川崎エリアを担当しています。2021年4月に採用コンサルタントとして新卒入社し、最初の3年間は新橋エリアで営業活動を行ってきました。大学時代は営業の長期インターンシップでマネジャーを務め、ダンスサークルでは副部長を、某有名ホテルのアルバイトでは社内コンテストでグランプリを受賞するなど、幅広く活動していました。
田中:順風満帆な大学生活を送ってきた船橋さんですが、どうしてディップに入社したのでしょうか?
船橋:ぶっちゃけて話すと、根拠のない自信だけで入社を決めました。当時の自分は調子に乗っていて、『バイトル』って何?東証プライム上場企業?そんなの関係ない。「営業=俺」だから何でもできるっしょ?という気持ちでした。ただ、今になって振り返ってみると、社会への影響、成長環境、ワクワクする仕事なのか、は大事にしていたかもしれません。ひとりの営業が新規開拓営業、ルート営業、企画提案、広告作成、ライター、コンサルタントなど、複数の仕事を大きな規模で経験し、スキルアップができる点に特に漠然と惹かれていたのかもしれません。
田中:自信満々だったんですね。
船橋:そうですね。内定者になった後も、カッコつけて同期の前に立ってリファラル採用の企画を推進したり、入社後の新卒研修でも「なんか俺、ちゃんと話聞けてんじゃん。社長や執行役員の話を理解できてんじゃん。」と、常に自信満々でした。
見せかけの強さが崩れていく日々
田中:5月末に新卒研修が終わり、実務が始まってから何か変化はありましたか?
船橋:これまでと全く変わらず、かなり楽観的でしたよ。でも実は心の奥底では少しずつ焦りが募っていました。周囲の同期は配属後から上手く営業活動ができていて、自分とのスペックの差を徐々に感じ始めたのを覚えています。同じことをやっているのに同期は先輩から褒められて、なぜか自分だけ叱られる。そんな状況でも「自分は不器用なだけ」「成果はすぐに出るはずない。」という気持ちで、根拠もなく「俺ならできるっしょ?」と、まだまだ調子に乗っていました。
田中:そんな焦りが確信に変わった時のことは覚えていますか?
船橋:入社1年目の10月頃ですかね。同じ部署のメンバーが全員目標達成している中、お客様にどれだけ提案しても断られ続け、自分の営業数字もゼロな日々が続きました。人生で初めて「自分は誰からも必要とされていない」という不安や、周囲との差による劣等感を感じました。それでも「自分はできる」という自信は揺るがなくて、心のどこかでは「上司や先輩の教え方が悪い」という反発した気持ちと憤りがありました。
田中:そんな状況をどうやって乗り越えたのでしょうか?
船橋:正直、乗り越えられなかったです。同じオフィスの同期や先輩が立て続けに賞を取っていて、オフィスの雰囲気は凄く良かったんです。楽しそうに仕事をしている人や、必死に努力をしている人が自分には眩し過ぎました。仕事が上手く出来ない自分を受け入れたくない、他人から出来ない人と思われたくない、自分の間違えを人に見られたくない。そんな一心で、周囲から逃げられる場所を常に探していました。
田中:まさにこの挫折が、入社前に抱いていた自分とのギャップだったんですね。でもそんな苦しい中で、どうして仕事を続けられたのでしょうか?
船橋:自分が信じられることが、行動だけだったんです。というか、採用コンサルタントの最初の仕事は新規営業なので、お客様と話して提案したり、求人広告を制作するにも、行動しないと自分の仕事が全くないんです。だからとにかく資料を作ったり、電話をしたり、新橋エリアのお店を回ってみたり、やれることは続けていました。中高の部活で全国大会を目指していた時、どんなにつらくても成果を出すために行動を続けていたので、その時の習慣と自負だけが当時の自分の支えでした。
田中:困難に直面する中でも、諦めず行動を続ける姿勢がとても素敵ですね。
船橋:はい、とにかく自分にできることは全部やってきました。でも全く結果に繋がらなかったんです。「誰の課題も解決できない、価値を生めないような人間が会社にいていいのだろうか」「早く辞めればいいのにと、周りから思われてないか」など、自分の被害妄想が膨らみ、誰の言葉も信じられなくなりました。
後輩の姿に映った、かつての自分
田中:では船橋さんの仕事が好転し始めたのはいつ頃でしたか?
船橋:入社2年目~3年目にかけて自分に後輩が出来た時から、徐々に自分の考え方に変化が生まれました。後輩の姿が自分自身の1年目の姿と重なって見えたんです。後輩から相談されたらいいアドバイスしたいし、間違ったことを教えたくない、できない先輩だと思われたくない。そんな想いで後輩と接する時間が気分転換になって、自分のことで悩む時間が減りました。自分と同じような悩みを抱えた後輩へのお悩み相談を通じて、気付けば自分自身の課題にも向き合っている自分がいたんです。
田中:自分自身を客観的に捉えられるようになったんですね。後輩を通じて、自分自身と向き合った結果、何が変わりましたか?
船橋:徐々に自分の弱さを認められるようになりました。学生時代から勝ち負けにこだわって過ごしてきた私は「できない=負け」と決め付けていて、何をするにも「自分はできる」というプライドが邪魔していたんですね。なので自分ができると思うことしかやらないし、失敗することから逃げていたんです。でも自分の弱さを認めることで、次第に物事の見方が変わり、行動にも変化が生まれてきました。
田中:自分の弱さを認め、大きく自分が変わったエピソードとして一番印象に残っている話はありますか?
船橋:入社3年目に入り、自分のミスでお客様からクレームをいただいた時が自分にとっての最大の転機でした。ちょうど同じ時期に自分の課長が変わったタイミングだったんですね。入社3年目に入るとディップでは組織の中核を担う人が多いのですが、プライドだけが高い自分は全く何も出来ていないのに、できる社員のふりをして仕事をしていました。そんな時にお客様にご迷惑をお掛けして、謝罪に行った時に「入社3年目までは一般的な会社だったら新卒と同じだから。もう一回、一から考え直してやってみな」と言われたんです。そこでハッと気づかされ、もう一度ディップで一から勉強させていただこうと思ったんです。
田中:何度も失敗や、変化はあったと思うのですが、今回は何が違ったのでしょうか?
船橋:自分が逃げられる場所を探していた1年目、後輩が出来てから自分自身と向き合い始めた2年目~3年目。この経験を通じて、社会人として「なぜ?」を振り返る習慣が身に付いたことで、やっと上司や先輩、お客様の言葉の本質を理解できるようになったんだと思います。入社3年目でも新卒以上に行動しよう、チャレンジしよう、周りの人のアイデアを学ぼうと、心から思えるようになりました。
田中:まさに、船橋さんには一つひとつの行動や失敗を、学びに変える力が身に付いていたんですね。それ以降は何か行動や成果に変化はありましたか?
船橋:今までは「過去の凄い自分」しか見ていなかった自分が、お客様の魅力も改善点も、過去も未来も、同じ地域や業界の企業の違いも、様々な視点から比べられるようになったんですよね。比較するからいいところが見えてきて、改善点に気が付けたんだと思います。そのおかげでお客様に信頼していただけて、時には知識を授けていただき、営業の仕方を学び、仕事をご発注いただくこともあります。私も採用コンサルタントとしてできることが徐々に増え、採用成功率が80%を超えるようになりました。今までお客様とは『バイトル』を通じたビジネス上の関係だったのが、人と人の信頼関係に変わった気がします。
弱さを知った先にある、新しい景色
田中:今後の目標を教えてください。
船橋:ディップの自分、先輩としての自分、旦那さんとしての自分など、それぞれの立場や役割ごとにやりたいことは数え切れないほどあるんですよね。そんな中でも、まずディップでは役職や等級を上げて、任せられる仕事の幅や規模を広げたいです。そして30歳までには今までの苦い経験を活かしたマネジャーになりたいです。
田中:ありがとうございます。最後に後輩や、就活生に向けてメッセージをお願いします。
船橋:ちゃんと一人ひとりに良い部分が必ずあります。だからこそ、就活時代に取り組んだ自己分析を、社会人になってもやり続けてください。自分に今どんな能力があるのか自己把握ができていないと、自分に足りていないことや、目標とのギャップや、必要な行動が分からなくなります。定期的に自己分析をして、できれば1週間、1ヵ月、1年と、できる限り遠い未来の目標を立てて、それを楽しく追いかけてほしいです。そしてディップの社員も就活生も、辛い感情や、モヤモヤを感じたら、とりあえず自分まで気軽に相談してください!