BtoBマーケティングの強化で新規問い合わせ230%UP。ディップマーケティングチームの新たな挑戦。

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光山 直子
商品開発本部 マーケティング統括部 プロモーション戦略部 ToBマーケティング課 マネジャー ▼詳細

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高橋 正憲
商品開発本部 クリエイティブ統括部 制作戦略推進部 制作企画課 ▼詳細

店長、時給上げてください」など、話題のプロモーションやTVCMなどを多数仕掛けるディップのマーケティングチーム。近年ではBtoCのみならず、BtoBマーケティングにも力を入れています。「ゆくゆくは年間の売上のうち、1割をBtoBマーケティングで創出したい」と大きな志を語るToBマーケティング課 マネジャーの光山に、話を聞きました。

BtoCに比べ、課題が多かったディップのBtoBマーケティング

高橋:ディップのBtoBマーケティングの取り組みについて、教えてください。

光山:ディップが本格的にBtoBマーケティングに取り組み始めたのは2021年4月です。中期経営戦略である「dip2025」にて「マーケティングで『Web認知No.1』」「Webの力を生かしたハイブリッドセールス」などのテーマが掲げられ、BtoBマーケティングもその一環として始まりました。

ディップには日本全国に約1,300名の直販営業がおり、過去には「人海戦術」で営業にあたることで売上を拡大してきた側面があります。しかし近年では「レコリン」などの営業DXツールを取り入れ、テクノロジーによって「営業がどの顧客にアプローチすればよいか」なども判断できるようになりました。

一方で、ディップの顧客は個人でお店をやられている方など、いわゆる中小企業と呼ばれるお客さまが大半を占めます。過去の取引実績も含めると顧客数は膨大になり、すべての顧客に営業が直接アプローチすることは難しく、TVCM、Web広告、交通広告、WEBサイト、メールマガジンなども使いながら常にタッチポイントを作っておかないと、人材採用で困ったときに「ディップのサービスを使おう」と思ってもらえません。ディップは創業以来TVCMなどに力を入れていることもあり『バイトル』『はたらこねっと』などのサービスでのBtoCの認知度は高いのですが、BtoBの認知度、またディップという企業名の認知度はそこまで高くないという課題がありました。そのため、個々の営業活動とは別にディップとしてBtoBマーケティングに力を入れていく必要がありました。

高橋:ディップの売上・顧客数が拡大したからこそ、「人海戦術」では追いきれない面が出てきたと。光山さんがBtoBマーケティングに関わるようになったきっかけは?

光山:私は2013年に新卒でディップに入社し、プレイヤーとして営業職を4年、その後は課長職として営業組織をマネジメントしていました。2021年に社内公募でBtoBマーケティング分野のマネジャー職を募集していることを知り、「私の営業経験を新たなフィールドで生かせるかもしれない」「ぜひチャレンジしたい」と思い、自ら応募しました。その後、2021年4月にマネジャーとしてマーケティング組織に異動し、以降はBtoBマーケティング全般を担当しています。

リード獲得に向けて、まずは検索連動型広告の運用・改善から着手

高橋:まずはどのようなことから取り組まれたのですか?

光山:BtoBマーケティングは私が異動する半年ほど前から小さく着手していたものの、ほぼ0からの立ち上げに近く、ナレッジなどもありませんでした。そのため、最初はサービス利用の問い合わせ(=リード獲得)を増やすための検索連動型広告の運用・改善から着手しました。「バイトル 掲載」「求人広告 掲載」などをインターネットで検索されている方に対し、少しでも広告のクリック数が増えるようテキストやクリエイティブの改善をしたり、広告のリンク先に設定したLP(ランディングページ)にたどり着いた方が問い合わせ(コンバージョン)に至るようページの中身を改善したり。また、いきなりサービスの利用を問い合わせるのはハードルが高い可能性もあると判断し、バイトルのサービスについてや採用関連のノウハウに関するホワイトペーパーを作成し、まずは資料のダウンロードをしてもらうことにも取り組みました。

高橋:営業からいきなりマーケティングの仕事に移って、戸惑いはありませんでしたか?

光山:たしかに、これまでお客さまと直接対峙していたダイレクトさはなくなり、データと向き合って検証したり、想像する機会が増えるなどのギャップはありました。ただそれ以上に、これまでの営業経験がとても生かせるな、とも感じました。たとえば「サービスの検討度が高いお客さまはこういうことを気にしているであろう」「検討度が低いお客さまはこういう情報が知りたいのではないか」など、営業として長くお客さまと関わっていたからこそそのインサイトをつかむことができ、検索連動型広告やLPの改善にも生かすことができました。また、ディップは営業が自身でクライアント先へ取材に行き、アクセス数、応募数などを見ながら日々求人原稿の改善を行っています。そういったPDCAの考え方は営業時代と近しいものがありましたね。

高橋:たしかに「効果を出すための広告運用」という点では、同じですね。

光山:とはいえ、検索連動型広告だけではBtoBマーケティングの施策としては限界があります。そのため次に着手したのが広告掲出先の新規開拓です。具体的にはFacebookなどのSNS広告や、ビジネス系メディアへの広告掲載などを進めていきました。Facebookと経済誌では利用者・ターゲットも異なるため、Facebookの場合は「採用担当者向けのお役立ちフォーマット集」「面接無断キャンセルを防止するHOWTO」など採用ノウハウに関するもの、経済誌の場合は「Afterコロナにおける人材争奪戦の勝ち方」など、ターゲットの興味関心に合わせてクリエイティブを変更し、効果の効率化をはかりました。

高橋:1年目で、いろんなことに取り組まれたのですね。

光山:2021年度はほぼ個人戦で、0からさまざまなことにトライしましたが、結果的にプロジェクト開始前と比較して新規の問い合わせ数を230%にUPさせることができました。2021年はコロナ禍がすこし落ち着き企業の採用意欲が回復していることも理由にありますが、コロナ禍前の先々期と比較しても170%ほど伸ばすことができています。

目指すは「ビジネスに貢献する」チーム。売上に寄与するKPIの改善に挑む

高橋:素晴らしい。リード獲得では一定の成果が出せたと。今年度はどのようなことを?

光山:BtoBマーケティングに限らず、マーケティング統括部は「ビジネスに貢献するチーム」をテーマに掲げています。そのため、引き続きリード獲得の施策を進めながらも、今年度はより直接的に「売上(受注)」に貢献できるよう、施策や体制をブラッシュアップしています。具体的には問い合わせから受注に至るまでの確度を上げるために、問い合わせいただいた顧客と営業の接触率、商談率、受注率などをデータで取れる体制を整え、売上に至るまでのKPI、広告におけるROASやROIも含め、それぞれの数値を見ながら課題を見つけ、改善しています。

高橋:リード獲得の先にもコミットしていくと。

光山:とはいえ、これらはマーケティング部門だけで完結できるものではありません。そのため営業企画部門のセールスマーケティング課や営業部と連携を取りながら、組織横断のBtoBマーケティングプロジェクトとして取り組んでいます。具体的には今年の4月から「セールスディベロップメント課」という組織が新設され、お問い合わせいただいた顧客への一次対応をここで一部集約しています。資料請求をいただいたお客さまに「資料請求いただいた理由」「BANTC情報」などを電話でヒアリングし、各営業へとトスアップするのですが、Web上での問い合わせでは入手できなかった細かなデータ・情報が取れるようになったことで、「問い合わせ顧客に対しどのようなアプローチをしていくべきか」「現状の施策で効果は出ているのか」などがより精度高く企画・検証できるようになったのは大きな一歩です。

高橋:「マーケチームはリード獲得まで」「そこから先は営業任せ」と縦割りにするのではなく、真の課題解決に向かって組織横断で取り組む。素晴らしいですね。

光山:ほかにも、営業が接触できなかった企業に対してはセールスマーケティング課がMAで後追いを行っていたり、サイトやLPの改善はSEOチーム、制作チームとも連携するなど、より精度の高い施策が行えるよう、各部署と協力しながら進めています。

人材サービスとDXサービスを融合した、“ディップのBtoBブランディング”をつくっていく

高橋:まだまだ試行錯誤の連続だとは思いますが、今後の目標を教えてください。

光山:目指していきたいのは、各サービスを融合したディップとしてのBtoBブランディングの確立です。ディップには『バイトル』『はたらこねっと』『バイトルPRO』などの求人媒体をはじめ、『採用ページコボット』などの採用ページ作成サービス、『面接コボット』といったDXサービスなど、さまざまなブランド・サービスがあります。それらを単体のサービスとして認知・利用してもらうのではなく、「採用や労働問題で困ったらディップにお願いしよう」と第一想起してもらえる状態にしていきたいですね。

高橋:「Labor force solution company」というディップのビジョンを、BtoBマーケティングでどのように落とし込んでいくかが今後の課題だと。

光山:今までは『バイトル』『はたらこねっと』『バイトルPRO』などの各サービスの独立したLPしかなかったのですが、先日「ディップの採用担当者向けサービスサイト」もBtoBマーケティングプロジェクトの一環としてオープンしました。まだオープンしたばかりなので、「バイトルやDXサービスを併用して採用効率が上がった」という事例をもっとたくさん載せたり、SEOチームと連携してSEO対策に取り組んだり、広告に使用するメッセージをブラッシュアップしたりなど、取り組むべきことはたくさんあります。

高橋:楽しみにしています。

光山:最初はマーケティング組織の中のいち担当という形で始まったBtoBマーケティングでしたが、2022年4月からToBマーケティング課という専門組織が新設され、現在では課長を含め5名のメンバーが在籍しています。会社からの期待も大きいため、ToBマーケティング課のメンバーやBtoBマーケティングプロジェクトの各部署のみなさんと連携しながら、ゆくゆくはBtoBマーケティング経由で年間売上の1割を創出することを目指していきたいですね。

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光山 直子

商品開発本部 マーケティング統括部 プロモーション戦略部 ToBマーケティング課 マネジャー 2013年、新卒入社。関西エリアにてコンサルティング営業を経験。2017年に同期内最速で管理職へと昇格。2021年4月、自身の営業経験を新たな形で生かすために、BtoBマーケティングの社内公募に志願し現職に。

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高橋 正憲

商品開発本部 クリエイティブ統括部 制作戦略推進部 制作企画課 3代目dip people編集長。2008年に新卒で入社し、進行管理、広告審査室、制作ディレクター、管理職などを経験。2020年4月より現職。