
原稿作成にとどまらない。チームセリングでクリエイティブスキルをマルチに発揮。
ディップでは、制作ディレクターとしてある程度キャリアを積むと、チームセリングという業務を担うことがある。2016年に新卒で入社して6年目、複数の大手企業を担当する鈴木さん(写真左)と野中さん(写真右)に、チームセリングでディレクターが担う業務について聞いてみました。
部署を横断して協力しあい、課題解決に立ち向かうチームセリング
金川:複数の部署で協力して大手クライアントを担当する「チームセリング」についてお話を伺いたいのですが、今お2人が担当されているチームセリングではどの部署とチームを組んでいるのですか?
鈴木:クリエイティブ統括部に属する私たち広告制作部と、制作戦略推進室(主にデータを取り扱う部署)、派遣会社への営業を担当する部門に属するオペレーション・エクセレンス室(原稿の運用を担う部署)と営業の4つの部署でチームを組んでます。
金川:専門分野が異なるチームでタッグを組んでいるのですね。そもそもチームで取り組む目的は?
野中:クライアントから任されている予算が月に数千万円規模と大きく、求人原稿も1社あたり数千本くらい取り扱っているので、規模の大きい仕事をより戦略的に運用していくためにチームを組んでいます。
金川:チームセリングの中で制作ディレクターの役割は?
鈴木:私たちが担うのは、クリエイティブな面からの課題解決です。例えば、採用率を上げるために原稿を改善したり、もっと多くの応募を獲得するためにメルマガやフリーページを制作したりなど、あらゆる制作物を通してクライアントの課題解決に貢献していきます。また、それを行うためにも課題を発見するところからが私たちの仕事です。
金川:どうやって課題を探りにいくのですか?
野中:制作戦略推進室がクライアントの原稿の効果だけではなく同業他社と比較してどうなのか、市況からみてどうなのかも踏まえて数値を出してくれるので、その数値を見ながら「平均より下回っている箇所はどこか」「どういうワードが反応が良くてどういうワードが反応がないのか」などを探っていきます。分析した結果から、キャッチコピーや画像など、何を変更するのかを考えていきます。たとえば、「CTR(※1)が同職種の平均より低い」という事実を突き止めたら「キャッチコピーの修正」を営業さんに提案したり、効果の良い原稿パターンを発見したら同じパターンの原稿を増やしたり、といった感じで全体の効果を底上げしていく対策を進めていきます。
※1 CTR:広告が表示された回数に対して、どれだけクリックされたかという割合を表す指標
原稿作成だけにとどまらない。多方面からクリエイティブで貢献していく
金川:チームセリングで携わってきた原稿以外の制作物についてもお話を伺えますか?
野中:フリーページ(※2)やメルマガなどのディレクションにも携わってきました。「求人情報だけではなく、会社自体のことをもっと多くの人へ知ってもらいたい」というクライアントの要望を受けて、自由にデザインできるフリーページや潜在層へアプローチできるメルマガを制作しました。
金川:どういう内容で制作したのですか?
野中:オフィス事務の仕事を多く扱う派遣会社だったのですが、「経歴やスキルに自信がない方にもしっかり寄り添う」ということをポリシーにしている企業だったので、そういった企業の姿勢が伝わる内容にしました。「文字入力しかできなくても事務デビューできますよ」ということを伝える内容でメルマガを配信したら、応募がすごく増えました。
金川:未経験から事務デビューしたいという方が多いんですね。
野中:私自身そうだったんですが、事務やオフィスの仕事って憧れがあるんですよね。パソコンに向かって仕事するってなんかカッコイイなって。スキルに自信はないけど事務にチャレンジしたい方って多いんじゃないかと思います。
金川:ご自身の経験も入っていたのですね。鈴木さんもメルマガを制作されてましたよね?
鈴木:私もオフィス事務の案件だったのですが、結婚や出産、キャリアアップなど将来に不安を抱えている方向けに、それぞれのライフイベントに合わせて働き方や仕事が選べることを伝える内容で作成しました。すごろくをイメージして気になる項目を選んでいくと将来像が見えてくるテイストにして、「こういったキャリアもあるよ」「いろんな道があるよ」ということを描きました。
金川:同じオフィス事務の募集でも、クライアントの課題に沿って適切なクリエイティブを提案されているのですね。
鈴木:そうですね。よくあるのが「他社で効果が良かったのでうちでもやってみたいんです」という依頼なのですが、はたしてこの企業でも効果が出るのか、ということはちゃんと考えないといけないですね。
野中:そうそう。指示されたことをこなすだけだと効果が出ないこともあるので、いろいろと考えを巡らせた上で、そのクライアントにとってベストな内容で作成するようにしています。
※2 フリーページ:フォーマットがなく自由にデザインするタイプの広告
チーム一丸となって取り組むことで、ピンチをチャンスに転換
金川:野中さんのチームの営業さんが25期の通期表彰でTOP of TOP(※3)を受賞しましたよね。チームセリングによる功績も大きいのではないかと思いますが、どういったことに取り組んできたのですか?
野中:チームセリングをやり始めて2年ほどたちノウハウも身についてきた頃に、「クライアントが使っている媒体の中で費用対効果一番になろう」とチームで目標をたてたんです。そのときに、「じゃあプランを見直してみよう」とか「CTRを改善したらこの企業の場合は効果が上がるんじゃないか」とか、チーム一丸となって、意見を出しあいました。でもちょうどコロナ感染拡大期に差し掛かかり、予算が激減してしまったんです。
金川:タイミングが悪かったですね…。
野中:でも、そういった時期こそ「今まで試したかったことを全部やろう」とみんなでいろいろと見直しました。営業さんもみんなで考えた改善案をもとにクライアントへ何度も提案したり、関係性づくりに力を注いでくれていました。そうやってしっかりとクライアントに向き合っていった結果、信頼も得て受注をいただき、効果も上がっていって、過去最高の予算を任せてもらえるようになりました。
金川:すごいですね!取り組んできたことに対して成果が見えるのって嬉しいですよね。
野中:はい、それまでいろんな苦楽があったので感慨深かったです。営業さんがTOP of TOPを受賞したときもすごく嬉しくて、みんなで盛り上がりました(笑)
鈴木:私も営業さんから「今月は予算を大きく任せてもらえました!ありがとうございます!」と言ってもらえると力になれたのかな、と思えて嬉しい。
野中:一体感があるよね。
鈴木:営業さんだけじゃなくデータチームやオペレーションチームもいて、みんなで一緒にクライアントの課題解決に取り組むから、一人で抱え込まなくてすむよね。これはデータチームに相談しよう、これはオペレーションチームに聞いてみよう、といった風に相談できる仲間がいるから頑張りやすい。基本私は誰かと一緒に働きたい願望があるから、今のチームセリングはめちゃめちゃ楽しい(笑)
金川:それぞれの専門集団がいるからチームとしても強いですよね。
野中:自分にない視点ももらえますしね。人がたくさんいると。
鈴木:うん、おかげで数字にも強くなった気がする。
※3 TOP of TOP:年間で最も優秀な成績をおさめた社員に贈られる賞
クリエイティブスキルをフルに活用して、誰かに貢献できるというやりがい
金川:他にもチームセリングを行っていて良かったことはありますか?
鈴木:1社と長く付き合うからこそ、その企業の良さをより深く知れるところです。その企業独自の良さがあったとしても、それにクライアント自身が気づいてないことも多い。自分たちの魅力が特別だとは思ってなくて、あたり前だと思っていたりする。だからその企業独自の特徴を私たちが見つけ出して、それを“魅力”として世の中に伝えていく。けっこう自信がない会社も多いんですよね。本当は良さがたくさんあるのに。
野中:「この企業ってこんな良い取り組みをやってるのに何で知られてないの?」って思うときあるよね。「いや~自分たち何もできないです」と言いながら実はスタッフさんをすごく手厚くフォローしている派遣会社さんとか。なんかそういうのがわかると、その会社のことを好きになる。
金川:どういう人がチームセリングの仕事に向いてると思いますか?
鈴木:クリエイティブな仕事もできるけどサポート面もすごく重要だから、「仲間と一緒に頑張りたい」という人は合いそうです。
野中:私は書くのが好きだし求人って面白い世界だと思っているし、誰かの役に立つのも好き。自分にできる手段を全部使って、お客様の事業に貢献できるのはやりがいがある。あと、営業さんがTOP of TOPに選ばれたときも本当に嬉しかった。誰かが一番になるのを応援するのが好きだな、と思います。
金川:誰かの役に立てることを楽しめるとチームセリングを楽しめそうですね。
野中:楽しめると思います。成果が出て、それがさらに営業さんであったり誰かの評価につながると嬉しいしやってて良かったなと思います。
鈴木:あとは、分析したり考えたりすることを楽しめる人かな。同じ業界の企業って大枠で見ると似ていたりするんです。その中で他社と差別化できる魅力を見つけにいくのを楽しめる人は向いてると思います。
野中:けっこう地道な作業も多いよね。
鈴木:うん、本当に細かいところまで見ていかないと他社との差別化が難しかったりするからね。でもそれを見つけにいくからこそ、その企業らしさを引き出せる。その上で、それをどのターゲットに伝えるかを考えることも必要だし、そのターゲットに響くようにアピールするにはクリエイティブなスキルももちろん必要。
金川:制作ディレクターとして今まで身につけたスキルを活かせる場所ですね。
鈴木:活かせます。あとは、原稿作成だけじゃなくてメルマガやフリーページとか、iアプローチ(※4)を使うとか、とれる手段もたくさんある。そういったところも楽しいと思います。
野中:ある意味入社して5年間の総まとめをしてるよね。原稿も画像もメルマガやフリーページもいろんな制作物に携わってきて、その経験すべてを発揮するのがチームセリングの場みたいな。
鈴木:確かに確かに。
野中:やろうと思えば何でもできる。その中で自分の手札をどう使っていくかみたいな。原稿だけにとらわれすぎちゃうと苦しくなっちゃうから。いろんなことを試せるのは断然面白いです。
※4 iアプローチ:マッチング度の高い対象者に自動で送るダイレクトメール