
「安心」をつくる人事の仕事。社員の声を聴き、信頼を築いた担当者の挑戦と成長
ディップの人事部門では、「従業員が安心して長く、いきいきと働ける職場づくり」をテーマに、様々な制度改革を進めています。社員の「不安」に寄り添い、安心できる職場をつくる。それは、ディップが人事制度改革を通じて最も大切にしていることです。
今回は、聴覚に障がいがありながらも、社員の「埋もれた本音」に耳を傾けてきた人事担当者、鈴木さんにインタビューしました。彼の挑戦が、どのように社員との間に信頼を築き、自身の成長に繋がったのか、その軌跡を追います。
掲げたビジョンと、見えてきた制度の「隙間」

編集部: まずは、簡単に自己紹介をお願いします。
鈴木: 人事企画室で、労務(主に勤怠管理、健康経営、人事制度等)を担当しております、鈴木です。入社8年目です。
編集部: ありがとうございます。まず、鈴木さんが人事として目指しているビジョンについて教えていただけますか?
鈴木: 私が人事として一番大切にしているのは、「従業員が安心して長く、いきいきと働ける職場づくり」です。社員一人ひとりの多様な個性や事情に合わせて“働きやすさ”を感じてもらえるような制度を、どう設計していくかが私のテーマです。これは、ディップが掲げる「社会をより良いものにする」という理念を、まず社内の従業員に実現したいという思いからきています。
編集部: そのビジョンを実現するために、どのような課題を感じていたのでしょうか?
鈴木: いくつかあったのですが、特に課題だと感じていたのは次の3点です。
- 既存の休暇制度だけではフォローしきれない、長期療養や突発的な事情
- 入社タイミングによって生じる、有給付与の不公平感
- 全国のオフィスごとに異なる、人事制度の運用のばらつき
これらは単なるルールの問題ではなく、「この会社で働き続けられるだろうか」という、社員の漠然とした不安の表れだと感じていました。その不安に寄り添い、安心を提供できる制度をつくるにはどうすればいいのか、それが私の中での最大のテーマでした。
「現場に埋もれた本音」を聴くことから始まった、自分自身の変化

編集部: その課題を解決するために、具体的にどのような行動を起こしたのですか?
鈴木: 私はまず、「現場を知り現場の声を制度に反映させる」という目的で本部長が企画した、人事制度見直しの全国行脚をサポートしました。具体的には、本部長が現地でヒアリングするためのスケジュール調整や資料準備に加え、事前に全国から社員の率直な意見をGoogleフォームで集約する役割を担いました。
編集部: そのヒアリングを通じて、鈴木さんご自身にはどのような変化がありましたか?
鈴木: この経験を通じて、仕事への向き合い方が大きく変わりました。「人事=仕組みをつくる人」という固定観念が、いかに現場の実態からかけ離れていたかを痛感したんです。社員一人ひとりの働く物語に寄り添うこそとが、本当に価値のある制度づくりに繋がるのだと確信しました。
編集部:聴覚に障がいがある中で、全国の社員の方々からヒアリングをする際に、どのような工夫をされましたか?
鈴木: 私には直接すべての声を聞き取ることが難しい特性があります。だからこそ、アンケートの言葉の裏にある「本当に伝えたい想い」を読み取ろうと、文字情報に深く集中しました。直接的な音の情報が少ない環境は、言葉のニュアンスやデータの裏側にある視覚的な情報に集中する力を磨いてくれました。この特性が、結果として、誰も気づかない「埋もれた本音」を掘り起こす力になったと感じています。
挑戦がもたらした「安心」と「成長」

編集部: 現場の埋もれた本音から生まれた制度には、どのようなものがあるのでしょうか?
鈴木: 以下の2つの制度を実現しました。
- 積立休暇制度の導入:万が一に備え、消滅する有給を積み立てておける
- 有給休暇の一斉付与:全社員の付与日を4月1日に統一し、誰もが公平に有給を確保できる
編集部: 制度ができてから、社員の皆さんからはどんな声が届きましたか?
鈴木: 「安心して働き続けられる」「制度がわかりやすくなった」といった声が増えましたね。私の取り組みは、単なるルール変更ではなく、社員が抱える不安に寄り添い、会社と社員の間に信頼を築く一歩となりました。この経験が評価され、29期1Q敢闘賞をいただくことができたのも、大きな自信につながっています。
次の舞台へ。そして、後輩・就活生へのメッセージ
編集部:鈴木さんご自身が、日々の業務の中で会社から受けているサポートがあれば、差し支えない範囲で教えていただけますか?
鈴木:会社からは、音声認識アプリなどのツール導入の支援や、会議やMTGには文字起こしを設定するなどの配慮などを受けています。社員総会では手話通訳の手配もしていただいています。ただ、何よりも大きいのは、周囲の理解と協力体制です。ツール以上に、上長が「どうすれば私が最大限の力を発揮できるか」という視点で接してくれるため、外部会社との重要な打ち合わせなども安心して担当できています。この心理的な安全性の高さこそが、私にとって一番大きなサポートだと感じています。
編集部: 「耳が聞こえにくい」というご自身の特性があるからこそ、人との向き合い方で意識されていることや、仕事の上でプラスに働いていると感じる点はありますか?
鈴木:意識しているのは、「伝わらない前提で、必ず確認する」ことです。議事録で認識をすり合わせたり、積極的に文書化したりすることで、かえって情報が正確になるようになりました。仕事のプラス面は、情報への感度が高くなったことです。音声情報が不足する分、アンケートやマニュアル、データなど目に見える情報に深く集中し、本質を読み解く力が、人事企画の業務で強みになっていると感じています。
編集部:これから入社するかもしれない、障がいのある後輩たちに、「ディップでは何も心配しなくていい」と伝えられる点は何ですか?また、入社前に準備しておくと良いことはありますか?
鈴木:ディップは、「挑戦の機会」を与えてくれる会社だと伝えたいです。個人の特性に関わらず、挑戦したい意欲に対しては、できることはどんどん伸ばしてくれます。そして、できないことは都度確認し、必要であればサポートに入ってくれるので、未経験だった業務が「経験」となり、自信につながっていきます。
入社前に準備すべきことは、「どんなサポートがあればベストなパフォーマンスを発揮できるか」を整理しておくことです。それを明確に伝えられれば、ディップは必ず応えてくれる環境です。安心して、自分の可能性を信じて飛び込んできてください!
編集部: 制度という「仕組み」だけでなく、その背景にある「ストーリー」を大切にされているのが印象的でした。本日は貴重なお話をありがとうございました。最後に、これからディップに入社する方や、同じ職種を目指す方に向けて、メッセージをお願いします。
鈴木:はい。人事の仕事は、人の想いやチームワークを大切にできる方、現場の声に耳を傾けて一緒に課題を解決していくことを楽しめる方に向いていると思います。そして何より、私の経験からお伝えしたいのは、「障がいがあっても、貴重な経験や挑戦をさせてもらえる会社」だということです。何よりも心強いのは、周囲のチームメンバーが私の特性を前提として協力してくれる体制があることです。未経験の業務も「貴重な経験」となり、自信につながっていきます。ぜひ、皆さんの「やってみたい」という気持ちを大切に、私たちと一緒に働くことを楽しみにしています。
インタビューを終えて
今回の鈴木さんのお話を通じて、ディップが社員の「安心」を真剣に考え、制度に反映させていることがよく分かりました。入社を検討されている皆さんにとって、ディップの働きやすさが社員の想いからつくられていることを感じていただけたのではないでしょうか。
ディップでは、働く一人ひとりの声に耳を傾け、皆が安心して挑戦できる環境づくりに取り組んでいきます。


