
フルリモートでの研修となった20新卒。制作部はどう対応した?
コロナ禍で研修はすべてリモートで行うことになった20新卒。取材、撮影、ライティングなどが必要な制作部において、どのように研修を行ったのか。新卒研修プログラム担当の清崎広子、各拠点(東京・名古屋・大阪)で新卒サポーターを担当した鈴木亜依・鈴木章子・髙良児に話を聞きました。
まずは求人広告制作者としてのスタンスを理解してもらうところから。
上野:2020年の新卒入社約400名の中で、広告制作部への配属は6名でしたね。今年はコロナの対応により研修はリモート化したと伺いましたが…例年だとどんな研修をしてるんですか?
清崎:全社の合同研修を10日間ほど受けてもらって、営業部やシステム開発部、メディアプロデュース部といったすべての新卒と一緒に会社の仕組み・人材業界の動向・ディップのこれからなどについて学んでもらいます。そこから4月中旬に制作部(各拠点)へと配属され、制作の専門スキルを学ぶ研修が始まります。
上野:まずは社会人としての基本研修、次に制作としてのスタンスやスキルの研修なんですね。
清崎:そうですね。求人広告というのは、企業と求職者をつなぐ“仲介役”なんですよね。同じ求人でも、仕事や職場をどのように求職者に見せるかによって、応募数や応募してくる方のタイプも変わってきます。制作の研修では、まずはそういう“求人広告制作の基本”から理解してもらっています。
上野:仕事の社会的意義から説明してもらえるんですね。
清崎:社内での役割も同時に伝えます。営業さんも求人広告をクライアントに提案・作成をしているので、私たち制作部へ依頼が来るのは「クライアントの期待に沿う採用ができなかった」「想定していた応募数が来なかった」などの場合なんですね。つまり「採用難易度の高いもの」が制作部にやってきます。だからこそ、制作部としては、“効果を出すプロ”として、企業の課題を的確にとらえ、データや競合を見ながら最適なターゲット・魅力を見つけ出し、原稿を作成することが期待されています。ゆくゆくは「この人に頼めばなにかやってくれそう」と思われる制作者になってもらいたいと伝えています。
上野:実務的にはどのようなことを学んでいくのでしょうか?
清崎:まずは求人広告の設計、つまりこのお仕事はどんな人にぴったりか、その人に対して何をどのように打ち出していくべきか、というターゲット・コンセプトの設定方法からですね。自分が学生時代にやっていたアルバイトの求人をするなら?というテーマで練習をしていきます。その後、ターゲットがイメージしやすい居酒屋さんやカフェといった求人広告で練習していきます。
上野:まずは身近なことで、イメージしやすいものから始めるんですね。インタビューや写真、動画といった専門的なものは?
髙:取材も最初は座学で教えます。依頼のメールが来たらまず営業さんに取材背景を聞く、クライアントのこととか採用数とか、とにかく聞きまくる!とか。そのうえでネットで企業・業界・競合のことを調べて、現場に挑むといったことですね。
亜依:写真や動画は得意とする先輩からレクチャーします。社内にいる社員に声をかけて、撮影協力してもらったりしながらやっていました。
3月に新卒のリモート研修が決定、急いでオンライン化に対応。
上野:研修の全貌は分かりました。ではあらためて本題なのですが…今年はコロナの影響で研修はリモート対応になったと聞きました。どのように対応したんですか?
清崎:日本各地での新型コロナウイルスの感染者数の増加を鑑みて、3月の時点で対面での集合研修は行わないことに決定しました。4月1日の入社日のみ出社してもらうことにして、研修プログラムはすべてリモートで実施する仕様に切り替えたんです。
上野:わずか1ヵ月ほどでリモート用の準備をしたんですね。
清崎:そうですね。基本的には例年のレクチャー資料があったので、それを使いオンライン対応したという形になります。
上野:具体的にどのように進めたんですか?
髙:つねにグーグルのハングアウト(※1)をつなぎながら、講義形式で行いました。求人広告の設計・取材・写真撮影のポイントなどがメインですね。まずは資料を画面上に映しながら新卒みんなに講義をして、その後個人で演習、終わったらすぐに個別でメンター(新卒1名に1名の先輩がつく)が内容をチェックしてました。
上野:写真や動画などの編集方法はリモートだと難しかったのでは?
髙:教えながら、同時に見るというのはできなかったですね。こちらで専用ソフトをどのように使用するかを1回座学で教えて、その都度各自実行してもらうような感じに進めてもらいました。
リモートだからこそ生まれたライバル意識?
上野:何か工夫していたことはありましたか?
章子:新卒のみんなが連絡をとりやすいようにメールや電話だけではなく、グーグルのチャットを使用してましたね。この間私たち研修担当メンバーは1日中新卒たちと連絡をとっていました。
亜依:ずっとチャットしていましたよね!あとみんなが家で孤独にならないように、東京・名古屋・大阪全体で毎日1時間(朝30分、夕方30分)のハングアウト朝会・夕会みたいな感じでやっていました。
章子:いろんな先輩がいることを知ってもらうために、夕会には先輩たちを呼んで全員自己紹介をしてもらいましたよね。
髙:リモートだからこそ、ほかの社員も気軽にハングアウトに参加できたし、新卒のみんなもいろんな先輩がいるんだとわかっていい刺激になったと思います。
上野:リモートで実施したからこその気づきや、できたことがあったんですね。
章子:そうですね。また朝会・夕会に加えて週1回は、自分の学びを発表する場を設けたのもよかったです。ふだんは顔を合わせず、お互いが何をやっているかが見えづらいからこそ、週に1回の学んだことの発表の際に、自分と同期たちとの差が明確に見えたみたいで、すごいライバル意識が芽生えているのがよくわかりました。
亜依:直接同期の書いている原稿を見れるわけじゃなかったけど、その分みんなで管理画面内(※)で他の同期の原稿を確認し、切磋琢磨していましたよね。
髙:「○○(同期の名前)が△△って言ってたけど、私はそういう考え方はできなかったから頑張りたい」とか。
亜依:ありましたね。
章子:写真や動画の撮影練習も通常は会社でやっているけど、家の中で一緒に写ってくれる人がいなかったり、撮影で使える小道具がないからこそ、その場の発想で最大限にクリエイティブにやろうとしていましたしね。ぬいぐるみをお店のお客さんに見立てたりとか(笑)実際の取材でもその場その場で考えないといけないことがあって、そういう練習にも適していたと思います。
上野:そう考えると、リモート研修だからこそのいいところもあったわけですね。
髙:そうですね。今回やってよかったことは、今後リモートじゃなくなっても継続してもいいんじゃないかなって今話してみて思いました。
一同:たしかに…!
清崎:今後リモート勤務がメインではなくなったとしても、良いところは取り入れて新卒研修のプログラムを練るときに役立てたいですね。
※1:複数人でつなげるビデオ通話
※2:バイトルの原稿情報を管理する社内のサイト