クリエイティブとデータの両立で、 もっといいプロダクトを、 もっと速くつくれる組織へ。
前職の大手ITサービス企業では社会貢献サービスの全体統括、大阪開発室本部長などを担当し、天気アプリ、乗換案内アプリなどをヒットさせてきた宮内。2020年11月にディップにジョインし、現在は「バイトル」「はたらこねっと」「バイトルNEXT」3媒体の編集長と、ディップ総合研究所の所長などを兼務する彼に、ディップに入っての印象や、今後の展望について聞いてみました。
ディップには“いい人”が多い。
高橋:ディップに入社されて数ヵ月が経ちますが、もうだいぶ慣れましたか?
宮内:入社してから2ヵ月くらいは、各部署のコンディションや戦略を再確認しつつ、中期経営計画にも早くから携わっていたので、中期経営計画をつくるメンバーでありながら、メディアプロデュースの戦略をそこにアジャストしていくみたいなことをやっていましたね。あとはクリエイティブやプロダクトの課題について、ひとつずつ沈思黙考、ひたすら向き合っているという感じでした。
高橋:ディップの印象はどうですか?
宮内:いい人がすごく多いですね。たとえば何かを発言したときに、「それは違うんじゃないか」と否定から入るような批評家が少ないです。ディップでは社内SNSやSlackなどを活用していますが、普通、そういったところに投稿するのってちょっと怖いじゃないですか。誰かに何か指摘されるんじゃないかとか。ディップだとそういうことがあまりないので、コミュニケーションはとても取りやすいですね。
高橋:他には何かありますか?
宮内:自分で動ける人が多いなぁと思います。こちらが指示する前に自分で判断して「もうやっておきました」ということはよくありますし、部署と部署の間に落ちているような微妙なボールを誰かがパッパッと拾っていくんですよね。「これ僕やっときますよ」とか、僕に対しても「やっときましょうか?」と聞いてくれる。もちろん組織それぞれの役割はありながらも、みんな会社のビジョンに共鳴して、熱意を持ってやっていこうというメンバーが多いんだなぁと思います。
もっといいプロダクトを、もっと速くつくれるように。
高橋:宮内さんはサイトの企画・編集などを行うメディアプロデュース統括部やディップ総合研究所の組織長を担当されていますが(取材後の2021年3月よりシステム統括部長も兼務)、今後はどのようなことに取り組まれていくのでしょうか。
宮内:今後のディップにおいては、現在作成中である中期経営計画の実現が中心になってきますが、それをしっかりやり切るためのプロダクト、体制、カルチャーが必要だと考えています。
高橋:詳しく教えてください。
宮内:体制の話からすると、基本的に、企画部門と開発部門は距離を詰めれば詰めるほどいいものができます。だから、企画と開発の距離、社内だけでなく実際に開発を進めてくれるベンダーさんとの距離も詰めていきたいし、僕と豊濱さん(CTO)も密にコミュニケーションを取っています。一人ひとりの距離を縮め、開発と企画、デザインがひとつのチームとなって、スモールチームで仕事が行えるのが理想だと思います。
高橋:カルチャーについてはどうでしょう。
宮内:シンプルに言えば「スピードと品質をやり抜くチームになる」ことが重要です。たとえばベンチャーって3人くらいでひとつのサービスをつくりますよね。意思疎通の問題など気にすることなく、めちゃくちゃ速くつくる。それがベンチャーの強みなんですね。そういったスピードでは彼らのほうが優位なので、僕らは普通にやっていたら負けるわけです。だからできる限り速くする。「どうやったら速くできるか」にみんなが夢中にならない限り、絶対に速くなりません。だからスピードの問題は全員の問題だと思って取り組んでほしいし、そういったカルチャーをつくっていきたいですね。
高橋:スピードと質は両立しますか?
宮内:僕は両立すると思っています。やはり良いものをつくっているとみんな夢中になってつくるから、スピードが速いんですよね。さらに、良いものをつくって夢中になると無駄なことを考えなくて済むし、チームがうまくいかずにコミュニケーションで時間がかかるという問題もあまり起きません。だから、僕は品質とスピードは両立すると思うし、もっと一人ひとりが「いいプロダクトをつくりたい」「品質を良くしたい」というカルチャーにしていきたいなと思っています。
高橋:なるほど。単純に「スピードを速くする」というだけでなく、「良いものをつくりたい」という思いがスピードを生むと。
宮内:その際にキーになってくるのは、プロダクトをつくるときに「自分自身の人生や思いをどのように投影するか」だと思っています。
たとえば僕は前職で天気アプリをつくっていて、今では想像しにくいかもしれませんが、当時は天気予報といえばテレビで見るのが当たり前でした。スマートフォンができて、みんなが自由に生きられ、自由に過ごせる時代になっても、その習慣はあまり変わっていなかったんですね。だからそれを変えたいと思ったんです。「天気はアプリで見るのが普通の世界にしたい」と思い、良いプロダクトをつくり、それを実現することができました。
高橋:なるほど、「個人の思い、課題感」のようなものが重要になってくるんですね。
宮内:求人サービスも、人の人生に大きく関わるものですし、「仕事選び」はとても重要なことですよね。だから、ユーザーの方にもっと喜んでもらったり、楽しんでもらったり、いい企業、仕事が見つかりましたと言ってもらえるようなサービスの形を、みんなが思い描かない限り良いものにはならないんです。企画に携わっている一人ひとりがそういったことを思い描けるよう、文化として根付かせたいなと思っています。
クリエイティブとデータの両立。アート&サイエンスの思考。
高橋:「求人サービス」の話が出ましたが、宮内さんの前職はいわゆる人材業界ではないですよね。「求人サービス」に関して、どのようにお考えですか?
宮内:求人に限らずですが、ユーザーはひとつの目的に対してそんなにたくさんのサイトやアプリを使わないですよね。いちばん良いのは「バイトだったらバイトル」とか「すべての仕事はディップで探せる」と思ってもらえる状態。バイトルも動画機能、体験・見学機能など、他社にはない独自の機能を取り入れてきましたが、まだまだ進化できると思うんです。ディップに限らず、求人サービスでやれていないことって実はまだたくさんあるんだろうと思います。
ディップのメディアプロデュースはグロースハックに強く、今後もそういった細かな改善を積み上げることは強みのひとつとして行っていきますが、その積み上げだけではいずれ頭打ちになってしまうのも事実です。そのときに必要なのがイノベーション。人間のクリエイティビティを大事にして、誰も考えたことがないところに到達する。もちろん誰もやったことがないからこそ、失敗することもあるんですけど(笑)でも今だったら失敗してもそんなに痛手を負わないやり方がいっぱいありますから、まずは小さく試してみる。そのための、仕組み、体制も取り入れていきたいですね。
高橋:Webサービスの企画をされている方って、クリエイティブというよりは「データ」を重視している印象でした。
宮内:どちらも大事なんです。データとクリエイティブのバランスは人それぞれだし、最終的には組織全体でバランスが取れたらいいなと思うんですけどね。でもデータを見ながらアーティスティックなセンス、クリエイティビティがある人というのはやはりいい分析をするし、いい発想を持っているなと思います。逆も然りですよね。アーティスティックなだけで数字が読めない人だとやはり困るので(笑)
よく「Art & Science(アート&サイエンス)」と言うじゃないですか。まさにそれですよね。ちょっと大それた言い方になってしまいますが、数字を追って言われたことだけをやるのではなくて、自ら考えて、他にないものをやっていけるようなアート&サイエンスな組織にしていきたいなと思っています。
高橋:なるほど。
宮内:大きいプロダクトになると、プロジェクトがいくつもあって、こっちはアプリ、こっちはWeb、こっちはバックエンドというように分かれるものなのですが、いちばん大事なのはそれをひとつに統一させるようなクリエイティビティのある人がきちんと指揮を執り、こだわり抜くということなんですね。もちろんチームのみんながそういう意識でやらなきゃいけないのですが、何よりそれをひとつにまとめる人がいないと、パーツは良くできていても、「ユーザーの体験がつながってないよね、これ」みたいな製品ができてしまう。だからこそ、やはりクリエイティビティのある人がちゃんとリーダーシップを執ることが大事かなと思います。
組織長の僕が、すべてを判断する時代じゃない。
高橋:最後に、中期経営計画が本格的に進み始めようとする今、メディアプロデュースでも採用活動を行っていくと思いますが、「こんな方に来てほしい」など何かメッセージがあれば。
宮内:自分で考えて自分で行動できる人。自走できる人。プロアクティブな人。このあたりはとても大事かなと思います。あとはやはりインターネットが好きとか、Webサービスが好きな人に来てほしいですね。
高橋:「自走」を重視するのはなぜですか?
宮内:僕がリーダーシップを執ってできることって、良くてまぁ3割くらいだと思うんです。これを8割とかに持って行くにはやはりみんなの力が必要で。だから僕が1人ですべて決めるというよりも、みんなが自分で決めていったり、自発的に動いていく組織にならないとダメだなと思います。
分かりやすい例で言うと、ユーザーエクスペリエンス(UX)って今ものすごく重要な企業の競合優位性になっていますよね。ユーザーの体験を向上させられない企業、サービスは死んでいくと言ってもいい。そのUXを実現するためには、僕に相談するとか、企画承認をもらうよりも、ユーザーにホントにこのサービスを使いたいかどうかを聞くことの方が大事で。だって、僕だって答えなんて持ってないですもん(笑)もう、そんな時代じゃないんですよ。
一人ひとりが、ユーザーがその機能、サービスを使ってくれるのか、使いたくなるか、使いやすいかを問いかけていかない限り、いいサービスにはならないなと思います。
高橋:なるほど。答えはユーザーが知っていると。
宮内:それに、ディップはまだいい意味で大企業にはなっていないので、自分でやりたいと思ったときにやれる範囲はとても大きいなと思います。たとえばもっと大きな企業になると、あるサービスに携わっても、実際に関われるのは「そのごく一部分」ということもよくあります。そんな中、ディップのメディアプロデュースはかなり幅広く携われると思いますし、何より「自分次第」な部分が大きい。だからこそ、主体性を持って、自らいろいろ関わりたい、動かしたいという方に来てほしいですね。